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第三章 ギルド結闘編

第83話 ギルド対抗戦・本戦2日目…そして…

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 ギルド対抗戦・本戦の2日目。
 僕たちは、時間いっぱいまで修行をかさねる。
 今回はヒロさんに司令塔の説明をした後に、僕がフィールドに出ようと思う。
 ルールなどは分かるだろうけど、カード化されているアイテムを置く場所や、ギルドキャノンの発動するボタンなどの細かい部分の説明が必要だと思う。
 僕は、装備の見直しや強化などをやっておく。ハニポンが僕の肩に止まって言った。

「2回戦が始まるねぇ。またあんたは司令塔で指示出すのぉ?」

「いや、今回はヒロさんに司令塔のシステムを説明したあとは僕が出るよ。色んなスキルを試したいし」

「ふーん。成長したあんたの戦いを楽しみにしてるわぁ。下手な戦いをして恥を晒さないようにねぇ」

「頑張るよ! でも、少し緊張するなぁ」
 
 そして、対抗戦の時間がやってきた。

 ギルドロビーには、僕とヒロさんとルナさんの3人。ルナさんは今回は見学だ。

 今回の相手ギルドも初心者って感じだ。マッチングはランダムだからね……。だけど、油断せず行こう!

 時間になり、試合が始まった。
 僕はヒロさんに司令塔の説明をする。

「『ギルドキャノン』や対抗戦アイテムを使う時は、最初にこのカバーを開けてから、カードを差し込んで下さい。そしたら、次はこのボタンを押せば使用できますよ」

「ふむふむ。操作方法はゲームの頃と変わらないんだね。場所は覚えたし、もう大丈夫! ありがとうトワ君!」

「もう仕組みを理解したんですか……? 凄いですね。では、僕は行きますのでよろしくお願いしますね」

「うん! 任せて! 気をつけてねぇっ」

「はい、行ってきます!」

 僕の肩で昼寝をしているハニポンをヒロさんに預け、グーファーさんに交代申請をだす。

 そして、受理されると5秒のカウントダウンが始まる。ーーカウントが0になると、グーファーさんがいた場所に僕は瞬間移動した。

 僕はボイスチャットをヒロさんに飛ばす。

「ヒロさん。聞こえますか?」

 30秒ほど経つと、返事が返ってきた。

「ごめんねぇ! ボイスチャットの切り替え方が分からなくて! もう一回ボタンを押したら、パーティーのボイスチャットになるんだよね?」
 
「そうです。項目の個人チャットの名前を押すと、送る相手の切り替えができますよ」

「分かったー! やってみるー!」

 ヒロさんがそう言ったので、僕は目の前の戦闘に集中することにした。
 『アクセル』の練習をしていたのだが、ちゃんとプレイヤーとの実戦でも扱えるようにならないといけない。

「よし、行くぞぉ。『アクセル』!」

 狙いを定め、アクセルを使用して相手プレイヤーの背後を取ったのだが、少し行き過ぎたみたいで、攻撃は掠った程度だった。

(や、やばい……恥ずかしい!!)

 恥ずかしさを隠しながら戦闘を行った。数分で決着をつけ、勝ち点5も手に入れた。

 そして、来る日も来る日も対抗戦を行い、勝ち点を獲得していった。ある日は守護獣のHPを削られてしまったり、5キルをできなかったりで、勝ち点を落とすこともあった。

 そして、期間内に合計10試合を終えた時、僕たちの勝ち点は46点となった。トーナメントの出場権を得るには、いい数字だと思う。
 

 予選が終わり、数日が経った。『ギルド対抗戦・本戦トーナメント』に出場資格を取得した、8つのギルドが発表された。
 その中には僕たちのギルド、『永遠の絆』の名前もあった。みんなで喜んでいると、後ろから懐かしい声が聞こえた。

「やぁ、トワ君。約束通り本戦トーナメントに出場してくれたみたいだね」

 その声の正体は橘さんだった。

「あ……橘さん! はい! なんとか出場できました! 橘さんのギルドはどれですか?」

「僕が作ったギルド名は『bystander《バイスタンダー》』ーー傍観者って意味だよ」

 僕はトーナメント表を確認すると、第一試合にその名前があった。
 僕たちは第四試合にあるので、勝ち続ければ、決勝戦であたる組み合わせだ。奇跡なんだろうか、それとも神の悪戯か……?

「なるほど……では、決勝戦……楽しみにしてますね」

「そうだね。僕たちも負けないように気をつけなきゃね」

 橘さんと話していると、横からリーフィスさんが話しかけてきた。

「橘様! こんばんは! ご無沙汰しております、お元気でいらっしゃいましたか?」

 リーフィスさんを見た、橘さんは片膝を着き、リーフィスさんに挨拶を交わす。

「これはこれは、リーフィス姫。相変わらずお美しい。先日の対抗戦での戦いで、疲れは残っておりましたが、リーフィス姫の労いのお言葉をいただき、この橘、疲れが吹き飛びました」

「うふふ。変わらずお上手ですね」

 橘さんの冗談をリーフィスさんは笑顔で返す。
 そろそろだろうな……ジークさんが橘さんに突っかかるのは……。

「いえいえ、とんでもない。私は本当のことを述べたまでですよ」

「橘様もお元気そうで良かったですわ。決勝戦で……」

 リーフィスさんの言葉を遮り、ジークさんが橘さんに突っかかる。

「リーフィス姫! こんなインチキナンパ師の言葉に耳を傾けないで下さい!」

「えぇ!?」

「暑苦しいかと思えば、暴走王子様ではありませんか。インチキナンパ師とは……嬉しいことを言ってくれますねぇ」

 驚くリーフィスさんに冷静な態度の橘さん。その言葉にジークさんは、睨みながら話す。

「褒めてねぇよ! リーフィス姫に手を出してみろ! 俺が許さないからな!」

「ほぉ、リーフィス姫への真っ直ぐな愛の告白……この橘、しっかりと受け止めました」

「ち、ちがっ! と、とにかくだ! インチキメガネ! 俺らが勝つ! 覚悟しとくんだな!」

「はい、肝に銘じておきます」

 リーフィスさんは一礼して、ジークさんと共にルナさんたちの元へと戻る。

「あはは、あははぁ」

 僕は乾いた笑いをしてその場を誤魔化した。

「では、トワ君。また決勝戦で会おう。僕たちと戦う前に負けないで下さいね」

「もちろんです! 橘さんも負けないで下さいね!」

「はっは。そうだね。気をつけるよ。じゃあお互い頑張ろう。またね」

「はい、おやすみなさい」

 橘さんは満足そうな顔をしてその場を後にした。僕たちも解散して、トーナメントに備えることにした。
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