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最終章:知識の街

265話

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 西の辺境伯領地で予定外の滞在を1日した後に転移可能範囲に入ったので転移する。

「ん? 失敗したな? 沼地のマーキングしか残ってなかったとはな」

 そういえば帝都には帰るつもりがなかったからマーキング消したんだった。
 たまたま残ってたのは下着素材確保の沼地付近だった。

「セラこの辺はフロッグ系が出るから気をつけろ……よ?」

 後ろを振り返ると物凄い嫌そうな目で変な所を見ていたので
 その視線を追うと何故そんなにも嫌そうな顔をしていたのか理解した。

 あれだ昔聞いた毎年事故の起きるフロッグ飲み込まれ変態さんに丁度遭遇してしまったのだ。

 やばい顔した女がすげぇいい笑顔で飲み込まれてる。
 しかも片腕が出ているが同じフロッグ素材を使っているということは真性の変態だ。

 前世のカエル同様この世界のフロッグの魔物も胃を洗う為に自分の革に胃液が付着しても溶けないのだ。

 仲間を奪われ変態の為の玩具になるなんてフロッグの魔物にも多少同情したくなるな……
 しかし下着の売上は未だに伸びているが為にまだまだ乱獲は止まらないだろうという悲しき宿命。

 最近はビキニアーマーを作る鍛冶師や服飾師もついに下着メーカーとして参戦を始めた。
 型番や基準が既に存在している為、中々ミカサ商会と競っているらしいが
 保証契約の溝は深いのと販売初期に各国で契約した女性中心のクランの力が強いらしい。

 男にとってはフロッグの素材が欲しいと言われ卸すが
 女性達にとってはこれが良品質なら優先的に新作下着が贈られてくるのだ。
 最高品質の素材を卸す為に作業標準書的な物まで存在してるらしい。

 変態が叩き出されてクランの人達によって狩られた。
 鮮やかな手口で一突きで決裁するなんて中々の腕前だ。

「あぁ……ケロスゥゥゥ!!」

 変態女はフロッグに名前をつけていたらしく叫んでいるが、ならテイマーにでもなれば良いのにね。
 食事かと思ったら主人を飲み込んでくれとか魔物側からしたら好感度だだ下がりだけどな。

 俺とセラは見て見ぬふりをして帝都に向かい俺は転移で侵入してセラは貴族専用門から入った。

 これでセラは入都の記録が残ったが俺は

「これはこれは不法侵入はいけませんなぁケビン様」

 セラを待っているとハビスが数十人を連れて俺を囲んでいた。

「いやぁ? なんか包囲網的なもんを敷こうとする強欲な権力者が居るからこうでもしないと入れないんだよなぁ?」

 俺とハビスが向き合っているとセラがそこに転移してくる。

「兄様? ハビスにお仕置でもしたら?」

 俺はニヤリと笑い、ここを包囲している全員をセラに持たせた試作品魔道具を使用してもらう。

「む? ここは?」

「ハビスでさえも感知出来ないと、これは最高傑作の予感だな」

「でもセラが使わないと逃げやすいよ?」

 セラの鋭い指摘に俺は「うぐっ!?」っとなってしまう。

「ふむ、結界とは違い完全に空間を隔離した訳ですな。
 さてさて、ケビン様には久々に爺の怖さを知ってもらいますかな?」

 ふん!? っとハビスが力むと上半身の服が弾けた。
 確かにハビスはムキムキだけれど無駄な魔力を使って演出までするとはアホなのか?

 そう思っているとハビスは目の前に転移して来て打突を繰り出してきたので
 俺はそれを指で受け止めて中心点をずらし足を引っ掛ける。

 本当なら腕を掴みとり投げる技なんだけど、この世界の魔力量と魔法を使う時の魔力線の太さによる常時体に流れている魔力量の差が顕著に身体能力に出る。

 つまり俺とハビスでは基本的な魔力の差があるのでこんな小手先の技が効くのだ。

「ふむ、強くなられたと佇まいから把握してましたが……これ程の差があるとは爺は嬉しいですぞ!?」

 ハビスの本気は暗器や短刀系の正に暗殺者の装備だ。
 暗殺者タイプに空間魔法はチートなので余り良くないと思うぞ?

「ハビス? 気配が完璧に消せているのに魔力や魔法行使の隠蔽が出来てないと魔法師にはバレバレだぞ?

 そして同系統の使い手なら空間魔法の空間に干渉した時の揺らぎが見えるから一瞬で死ぬぞ?」

 そう指摘するとハビスは気配隠蔽を止めて気の発露を行う。
 ハビスも親父もどちらも魔法と気の修練を積んでいるが為に面倒だった。

 どちらも大成出来る段階に到達出来てるのはネロ以外に見たことがない。
 カロンは魔法は武器の効果で使うし、アースさんに至っては種族の血を色濃く受け継いだが故に土や大地属性の魔法が使えるだけだ。


 寧ろ大地に直接干渉して強制的に事象を起こす竜気はもっとチートかもしれない。


 全員ぶちのめした後に全員をクロス家の本邸に送り届けてあげた。
 ハビスに今回使ったのは柔術と合気道に近い物だった。

 ハビスからの評価は……

「対人戦特化の技ですな? 私が覚えるのには少々遅かったかもしれませんね。
 なのにこの新たな技術があるというのはなんという喜びを感じさせるのでしょうか?」


 俺は本を数冊渡しハビスはスキップして帰って行った。

「あいつ結局何しに来たんだ?」

「さあ?」

 ちょっと呆れた俺とセラだった。
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