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最終章:知識の街

244話

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 食べ盛りチームや大食漢連中の腹を満たしデザートを出し始めた頃に親父が爆弾発言をしやがった。

「あ、ケビン。来月皇女様達がこの街の学校とやらや孤児院の視察に来るそうだ」

 ん? 達?

「はぁ? 皇帝陛下は普通に送り出したのか?」

「うむ、既に商業ギルドマスターには通達してある。
 そもそも竜人族の長代理に水仙国王、エルフ族の長代理まで居るのに
 人族だけ伯爵家じゃバランスが取れぬだろう?
 獣王は今は衰弱して動けんから後ほど来るだろうな。王女はプライドがどーたらで今はダンジョンに籠ってるらしい」

 うん、それは2度と出てこないで欲しい。

「へぇ!お姉様達が来るのね!」

 そういやあんたのこと忘れてたわ。ローズティアさん。

「結局、あんたは平民なのか? それともどうなんだ?」

「んー多分それも一緒に通達に来るのでは無いかしら?」

 へぇ、まぁあんたは兎に角創造神教って新しい宗教作って治療院作ったんだから頑張れ。

 周りのアホな宗教みたく神の嫁だから結婚は……なんてことも無しにしたしな。

 創造神の像や他の神の像も順次俺が造った。
 龍神だけは人型のアホ面で作ったら本神からブーブー言われた。
 とにかく人体構造の勉強をさせてから治癒魔法を学ばせているので
 普通の治療院よりかは治癒率が高くそれに薬師ギルドのバックアップもあるので病気も対応している。


「未だにあったことの無い神は想像で創る訳にも行かないのが難点だよな……」

 そして最後の片付けを子供達に任せて俺はキャロ、セラ、カイン、親父、母上、義母上を応接間に呼んだ。

「どうしたケビン? 改まって……」

 カインは何故か緊張してるせいでこちらも緊張しそうなんだけど?

「冥界に行って自分を見つめ直す良い機会を貰ったんだ……
 その時に家族のことを思い出してこっちに戻って来れたよ。
 ありがとうございました! こんな放蕩息子に愛情を注いでくれて。

 キャロやセラはなんのこっちゃと思うかもしれないけれどな。
 俺は5歳辺りから家を出て好き勝手し放題していた」

「ん? ハビスや騎士達から聞いてる」

 おっふ! セラよ、それは秘密にしといてくれ。

「私もムゥ、メロ、サツキから聞いてますわ!」

 キャロ……あいつら何故かキャロの護衛やってんだっけ?

「もう、今更よ?」

 母よ……諦めた様に言わんといてくれ!

「そうね! 美泥パックの材料で相殺出来てるわね!
 カインも何か考えなさい! ケビンばっかり良い物を作るんじゃなくてね!」

 義母上! それは辛い要求だぞ!?

「ぐはっ!? お前がちゃらんぽらんなのは我が家では当たり前で頭が良いのも知ってたさ!

 だからこそそれに負けないようにした結果、父上に追い縋ることは出来るくらいの実力はある。
 後はケビンのお陰で領地経営は順調だしな!」

「カイン……ありがとうな!」

「む? 俺には何か無いのか?」

 ……? 首を傾げてみる。

「そろそろ娘離れしたらどうだ?」

「……確かに」

「その通りですわ!」

「父上…… それは私も同意しますね!」

 俺→セラ→キャロ→カインのキラーパスにより親父に言葉の針がクリティカルヒットした。

「ぐはっ!? 子供達が辛辣!」

 こうしてずっとあったわだかまりが消えた時だった。

「そう言えばお・兄・様?」

 キャロが口火を切り始めた。

「ん? どうしたキャロ?」

「お兄様の周りには女性が多すぎませんこと?」

 何か姑みたいなこと言い出したぁぁぁ!?

「セラもそう思う。トア、ミア、メル、ナギ、カロン、ユリア。そして今日ミカサ商会の人達も追加された」

「いや、ミカサ商会は立ち上げ時に俺が一応建物とか資金の1部を出資していたからな?」

「それはあれか? ミカサ商会のオーナーは誰だか知られてないがケビンお前だったのか?」

「は? はぁぁぁ!? アイツら儲けたら俺の口座に金入れて買い取れって言ったのにやってないのかよ!?」


 全員がため息をつく。

「そりゃお前……あの下着のアイディアを出したんだろ?
 それにボタンも。ならそんなアイディアを出せる人間を商人が手放す訳なかろうよ」

 珍しく親父がまともなこと言ってるぅぅ!?

「お前のことは知らなくても今この街には経済も権力者もいない状態だ。
 まだまだ人が集まり多種族集合都市になるそぞ?」

 親父の言葉に俺はニヤリと笑い。

「多種族が集まるからこそ知識も集まるんだよ。住む場所が違えばその風土の知識や風習がまたこの街を育てるんだ」

 そう言い切り更に話す。

「知識はワインの醸造の様に沢山熟成させて発展していくのにそれを種族が違うからと拒絶するのは1番の悪手さ。
 今回のエルフ族がいい例だ、水仙国と早くから交流していればもっと早く世界樹の件は終わっていた。

 まぁ、戦士達はおまけだったけどな?」

 親父は考えて質問してくる。

「ケビン知識とはなんだ?」

「力かな? 技術だって知識だし、勉強の知恵だって知識だ。
 あって困るものじゃない。だから剣術道場だって俺達は受け入れているさ!」

 そう言うと剣術道場の辺りで親父が反応したので道場破りはやめてくれよ?

 その後ミカサ商会の3人を呼び女性陣の服や下着の商売をしていたので俺達男は脱出した。
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