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世界樹を救え?

210話

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 龍達の魔力渡し? が終わった後、龍達は森の中心に近い部分を大規模に破壊して行った。

 そんな時にユリアさん、俺、グロリアスの3人が顔を顰める。

「なんだこの魔力?」

 龍達の荒ぶる魔力とは別にかなり感じにくい自然に近いかなり感知しにくい魔力を感じたのだ。

「精霊かね? それとも何か違うねぇ?」

 ドライアド、俺の周りに普段居る精霊、ユリアさんミアとの契約精霊が少し動揺と敵意を見せていた。

『なんでアイツらがこっちに残ってんのよ!』

 そう言い姿を現したのはユリアさんと契約する高位精霊だ。

「シルフィード? 知ってるんですの?」

 ユリアさんの質問にぷくーっと頬を膨らませ風の大精霊が怒り始める。

『アタシ達とは袂を別れた妖精よ! アイツら……好き勝手にしちゃって!』

 そう言うと森の中に空気を送り始める。
 精霊達がその光景を見て闇精霊達も魔力を放ち始める。

『ふふん! 貴方達もアイツらが気に食わないのね! 力を借りるわよ!』

 そう言うとシルフィードの起こす風の種類が変わり黒いモヤを持ち始める。
 そして目の前に手を翳すと俺以外にも見える羽を持つ小人が大量に落ちてきた。

「これが妖精ねぇ?」

 俺は1人ツマミ上げるとピクピクと痙攣している。
 そんな俺達の目の前に普通の男性位の大きさの羽の生えた妖精が空から降りてきた。

『ふん!我が軍門がやられるから見に来て見ればこれはこれは精霊の中でも大精霊が居るとは思いもしなかったわ!』

 そう言うと手を翳し妖精達に治療を始める。

『ふん!妖精王のお前が何故ここにいるのよ!』

 なんかわーきゃーやってるなぁ。見るに堪えない口喧嘩が始まったので
 俺は転移魔法で妖精王とやらの目の前に立ち頭を掴む。

『ぐぬぬ、貴様! 我の頭を掴むとは不敬ぞ!』

 俺は魔力強度をどんどんと高めて行き抵抗しようとした妖精王と張り合う。

「今は龍に精霊に妖精、更に籠り人のエルフ族のカオスな状況なんだよ。
 この状況をどうにか出来んのか簡単に言えよ?

 この森を改善しようと動いてる中お前らだけが敵意に近い行動を取ったから邪魔なんだよなぁ?」

『ぐぬぬ、コレットめ。こんな化け物が居るなんて聞いてないぞ!』

 ん? こいつ今なんていった? コレットだって?
 懐かしい名前が出てきたもんだな。

「そりゃ、あの国の中に閉じこもって世界を見てない奴が世界の広さを知るわけないだろよ」

 そう言うと中央から数多くの魔力が森の外に向けて動き出した。

『ふん、あれだけふんぞり返っておきながら世界樹を置いて逃げるとは何とも情けない種族だな?』

 そう言うとユリアさんとカイナは悲しそうな顔をした。

「まぁ、そう言いたい気持ちも分かるが何ともな……それで世界樹の説得を任せてもいいか?

 魔力の貯蓄量は龍のお陰でしばらくは大丈夫だろ? それに森の改善も半分は終わったからな。
 俺達には今の所、世界樹を説得する為の材料もそもそも近付くことすら出来ないんだ。
いけるか?」

『決裂したとしても我を責めぬというのならやってやろう! 
 それと我の様な存在は沢山こちらの世界に残って新たなる超越者が現れバランスを崩す前に平定しようぞ』

 その言葉に頭が痛いぞ……また近くに異常が無いだけで問題が起きてる国はあるんだろうなぁ。
 何で回収しないんだろうなぁ神は?

 そう考えていると妖精王が答えてくれた。

『貴様は何故帰らんのだと思ってるが我らの役目でもあるのだ。
 ダンジョンを作る為のな? 神が作ると全てのダンジョンの中身が同じになってしまうからな。

 我らが住みやすい空間を作りそれを素にしてダンジョンを作ることで色々な種類のダンジョンが出来るということだ』

 へぇ、そんな感じなんだな。
 確かに人の好みも神の好みも偏るってことだな。

 それだけ話すと妖精王は妖精達を連れて飛んで行った。

「はぁはぁ……ケビンさん達はあんな存在によく勝てましたね……」

 ミアとカイナがトアの意見にブンブンと首を縦に振り同意している。俺は苦笑いしてしまう。

「勝ってないぞ? あの双子狼は知り合いだっただけなのと食事で釣っただけだ」

 そう言うとユリアさんとグロリアスも『あんなの勝てんわ』と同意した。

「それに妖精王は多分魔法タイプだから近接戦闘の中では弱い方だし神級と分類される中では弱い方だぞ?」

『そうよ!あんな奴アタシにかかれば瞬殺よ!シュッシュッ!』

 お前完全に空気だったじゃん……シルフィードよ。

 それからも俺達は間伐を行っていると遂に中央から逃げ出してきたと思われるエルフ族数人がこちらに一切声をかけず弓を放ってきた。

 カイナは対話をしようとしていて完全に同族ということもあり油断していて思いっきり矢が肩に刺さっていた。

「どっ、どうして?」

 そう言うと倒れるカイナに俺とユリアさんは可哀想な奴を見る目で見てしまった。

 それもそのはず、エルフ族にとって今は命の危機に晒されている絶体絶命の状況で形振り構ってる暇など無いのだから。

 そんなことも分からずに使者として派遣されて来たこの平和ボケ使者に俺達が可哀想な目で見るのも仕方ないと言える。

「クソがぁ邪魔じゃどけぇ! 儂らは元老院の長老じゃぞ!」

 あ、捕獲対象じゃねこいつら?

「ケビン! こいつらはエルフ族の膿中の膿だよ!捕らえな!」

 やっぱりか……グロリアスの声に長老達が目を見開く。

「グロリアスじゃと? お主どうやって儂らよりも永きに渡り老いずにいられるのじゃ?」

 その言葉に俺はもう刈っちゃダメかな? と魔力大鎌を出してみたが止められるのであった。
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