185 / 296
共和国編〜好きに生きる為に〜
184話
しおりを挟むお茶会の翌日、俺とセラリウムとハビスの3人は街の外にある拡張区域内の暫定農地に来ていた。
それは昨日のことだった。
そろそろお茶会が落ち着いた様子だったのでセラリウムに聞いたのだ。
「なぁ? 空間魔法は何種類使えるんだ?」
セラリウムは首を傾げて固まってしまった。
ハビスを見ても同じで更にはナギまで『何言ってたんだコイツ?』という顔をしていて唖然とした。
「ケビン様? 空間属性は簡単に言うと転移と収納の規模の大小の数しかございませんので2つですぞ?」
「よしセラリウム!明日お兄ちゃんと一緒に魔法の練習すっか? 今ならなんとハビスも知らない魔法を伝授してやるぞ?」
「行く!!」
「私めも行きますぞぉぉぉ!」
ハビスがガシッと脚にしがみつく、この爺さん最近厚かましいぞ?
「ハビスは仕事しろよっ!?」
◇
そして今ハビスも来ている……親父。監督はしっかりしようぜ。
「ケビン様何をすればよろしいのですかな?」
「ん? 畑の土を工夫して混ぜろ。これはハビスの宿題な? 勝手にくっ付いて来たんだから頑張れ。
よしセラリウムはこっちでやるぞ」
「ん! セラで良い」
「そっか。じゃあセラ行くぞ!」
「天国と地獄ですぞぉぉ」
知らんよ……いい歳こいたお爺さんが何を言ってるんだか。
俺はまずずっと感じいて居たことを聞いてみる。
「よし、まずセラ。左手でマジックボックスを開いてくれ」
コクリと頷き実行するも何も起きなかった。
「ん? えっ!?」
「じゃあ次だ。左足を踏み出す感じで転移してくれ」
しかし何も起きない。
人間にとって1番怖いことは何かと言うと『慣れと先入観』だ。
セラは驚き過ぎて完全に固まっていた。
「さぁ。セラ面白い物を見せよう」
俺は普通に立っている状況から目の前に氷球を作る。
「なぁ? セラ? お前魔法って片手から出るもんだと思ってないか?
魔法は自由だぞ? 俺みたいな魔法剣士や戦士は武器や体術と共に魔法を使うから何処からでも放出出来ないと困るからなぁ」
俺は左手でマジックボックスを使うと中から木刀を取り出しそこら辺に投げる。
カランカランという音が鳴り響いてる中、突然その音が消える。
「さぁ木刀はどこに行ったでしょうか?」
その声にセラが驚き後ろを振り返ると俺の右手には木刀が握られていた。
「え? 何で?」
「あ~これ? 簡単さ。何で物や人を空間ごと転移出来るのに俺達から離れた所にある物を空間ごとこっちに持って来れないんだろうなってな?
最初は難しいから硬貨でしてみると良い」
俺は右手と左手に硬貨を持ち魔法でビュンビュンと移動させる。
「どっちだ?」
セラは完全に当てずっぽうで最初に硬貨を見せた手とは逆をさしたが……
「残念、正解は……セラの靴の裏!」
「えっ!? ほんとにあった!すごぉい!」
驚いて足をあげるとそこには確かに硬貨が置いてあったことに喜びの声をあげるセラ。
「次は魔力感知を働かせて場所を当てて見ると良い」
そう言うと3回連続でセラは硬貨の場所を言い当てた。
「じゃあお遊びの最後に難題を見せてやろう……」
俺はコイントスをしてキャッチした瞬間に大袈裟にアクションして袖の中に硬貨を隠した。
そして何度も手の中で硬貨がまるで移動してる様な演技をする。
「さてどっちだ?」
セラは顔を顰めて分からないけど適当に右手を指定した。
「残念……「なら左手は?」こっちも残念」
「え? 硬貨どこ?」
「まぁセラ。魔法が使えなくても人の技術力だけでここまで出来るんだよ。
だから自分の限界を自ら狭めるのだけはダメだぞ?」
そう言うと多分俺が見た中で1番の笑顔で笑っていた。
この子は自由に魔法が使える様に教育しないとな。
そして1週間後……
俺とセラは向かい合っていた。そう模擬戦だ。
「ケビン兄行くよ?『空間切断』」
「うん、中々良いじゃん。『遮断』」
俺は完全にイメージが出来上がってるので最初に空間等付け加えなくてもその魔法が使える。
セラは俺の横に転移してきて一言。
「『空間膨張』」
しまった、これは……遮断の派生系か!?
四角い箱型の目には見えない物により体が思い切り打ち上げられたのだ。
「『固定』『断層』」
自分の体を空中に固定し迫り来る『空間膨張』を『断層』でぶっ壊した。
2人が定位置に戻った所でセラがぺこりとお辞儀をした。
降伏のサインだな、中々面白かったな。
俺達の模擬戦を見た保護者達は……
「「「「「や、やりすぎだぁぁ!!」」」」」
きっちり仕上げたのにしっかりと怒られた。
ハビスは簡単に俺が教えたことを模擬戦の後のお披露目実践で出来るならもう少し真面目にしてくれたらちゃんと教えるのにな。
カレーの為になるとグイグイ来てやかましいからな。
ハビスにヒントを与えて教えたのは物質の任意転移だ。
まぁ、簡単に言うと少し離れた所から無機物に限り転移させることが出来る。
ハビスは驚異的な頭脳でちゃっちゃと覚えてしまった。
今日こそこの理不尽の塊に天誅を!!
6
お気に入りに追加
2,524
あなたにおすすめの小説
異世界で生きていく。
モネ
ファンタジー
目が覚めたら異世界。
素敵な女神様と出会い、魔力があったから選ばれた主人公。
魔法と調合スキルを使って成長していく。
小さな可愛い生き物と旅をしながら新しい世界で生きていく。
旅の中で出会う人々、訪れる土地で色々な経験をしていく。
3/8申し訳ありません。
章の編集をしました。
転生した社畜は異世界でも無休で最強へ至る(旧題|剣は光より速い-社畜異世界転生)
丁鹿イノ
ファンタジー
【ファンタジア文庫にて1巻発売中!】
深夜の職場で人生を終えた青桐 恒(25)は、気づいたらファンタジーな異世界に転生していた。
前世の社畜人生のお陰で圧倒的な精神力を持ち、生後から持ち前の社畜精神で頑張りすぎて魔力と気力を異常に成長させてしまう。
そのうち元Sクラス冒険者である両親も自重しなくなり、魔術と剣術もとんでもないことに……
異世界に転生しても働くのをやめられない!
剣と魔術が存在するファンタジーな異世界で持ち前の社畜精神で努力を積み重ね成り上がっていく、成長物語。
■カクヨムでも連載中です■
本作品をお読みいただき、また多く感想をいただき、誠にありがとうございます。
中々お返しできておりませんが、お寄せいただいたコメントは全て拝見し、執筆の糧にしています。
いつもありがとうございます。
◆
書籍化に伴いタイトルが変更となりました。
剣は光より速い - 社畜異世界転生 ~社畜は異世界でも無休で最強へ至る~
↓
転生した社畜は異世界でも無休で最強へ至る
アーティファクトコレクター -異世界と転生とお宝と-
一星
ファンタジー
至って普通のサラリーマン、松平善は車に跳ねられ死んでしまう。気が付くとそこはダンジョンの中。しかも体は子供になっている!? スキル? ステータス? なんだそれ。ゲームの様な仕組みがある異世界で生き返ったは良いが、こんな状況むごいよ神様。
ダンジョン攻略をしたり、ゴブリンたちを支配したり、戦争に参加したり、鳩を愛でたりする物語です。
基本ゆったり進行で話が進みます。
四章後半ごろから主人公無双が多くなり、その後は人間では最強になります。
無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す
紅月シン
ファンタジー
七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。
才能限界0。
それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。
レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。
つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。
だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。
その結果として実家の公爵家を追放されたことも。
同日に前世の記憶を思い出したことも。
一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。
その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。
スキル。
そして、自らのスキルである限界突破。
やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。
※小説家になろう様にも投稿しています
伯爵家の三男は冒険者を目指す!
おとうふ
ファンタジー
2024年8月、更新再開しました!
佐藤良太はとある高校に通う極普通の高校生である。いつものように彼女の伶奈と一緒に歩いて下校していたところ、信号無視のトラックが猛スピードで突っ込んで来るのが見えた。良太は咄嗟に彼女を突き飛ばしたが、彼は迫り来るトラックを前に為すすべも無く、あっけなくこの世を去った。
彼が最後に見たものは、驚愕した表情で自分を見る彼女と、完全にキメているとしか思えない、トラックの運転手の異常な目だった...
(...伶奈、ごめん...)
異世界に転生した良太は、とりあえず父の勧める通りに冒険者を目指すこととなる。学校での出会いや、地球では体験したことのない様々な出来事が彼を待っている。
初めて投稿する作品ですので、温かい目で見ていただければ幸いです。
誤字・脱字やおかしな表現や展開など、指摘があれば遠慮なくお願い致します。
1話1話はとても短くなっていますので、サクサク読めるかなと思います。
公爵家次男はちょっと変わりモノ? ~ここは乙女ゲームの世界だから、デブなら婚約破棄されると思っていました~
松原 透
ファンタジー
異世界に転生した俺は、婚約破棄をされるため誰も成し得なかったデブに進化する。
なぜそんな事になったのか……目が覚めると、ローバン公爵家次男のアレスという少年の姿に変わっていた。
生まれ変わったことで、異世界を満喫していた俺は冒険者に憧れる。訓練中に、魔獣に襲われていたミーアを助けることになったが……。
しかし俺は、失敗をしてしまう。責任を取らされる形で、ミーアを婚約者として迎え入れることになった。その婚約者に奇妙な違和感を感じていた。
二人である場所へと行ったことで、この異世界が乙女ゲームだったことを理解した。
婚約破棄されるためのデブとなり、陰ながらミーアを守るため奮闘する日々が始まる……はずだった。
カクヨム様 小説家になろう様でも掲載してます。
暗殺者から始まる異世界満喫生活
暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。
流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。
しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。
同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。
ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。
新たな生活は異世界を満喫したい。
悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが……
アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。
そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。
実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。
剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。
アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる