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共和国編〜好きに生きる為に〜
170話
しおりを挟むオークの軍勢と戦闘を開始してから早1時間。
俺達、いや全員がこう思ってるだろう……
「何匹居るんだよ!」
オークとの戦いは何が面倒かと言うと……火系統の魔法が使えないことである。
オークやゴブリン等の悪食系魔物は仲間の死骸でも平気で食べる為に
敵を倒す時に香ばしい匂いなんて漂わせたら食欲・性欲の象徴のコイツらは群がってくるのだ。
そんな時、中央で大規模氷魔法が発動された。
「ん? あれはトアの魔法ってことはアイツらも参戦したのか?」
正直、俺達は自由人なので各々が勝手に出撃したわけだが
アイツらには何も言わずに来たので戦闘音で魔物が来たことに気付いたのだろう。
『同胞達よ、物量で押し切れー!』
遠くでそう指示しているのは……何か凄いイケメン顔の豚鼻のオークだ。何か残念すぎる。
何あれ? 見たことない。何オークなんだろうな?
物凄いイケメンなのに豚鼻なのが全てを台無しにしている。
「『影針』うおっ? 防がれた?」
ちょっと遠くから指揮官を狙撃してやろうと思ったら防がれた。
オークアサシンやガッチガチの鎧を着たオークだった。
『おい! 貴様、卑怯だぞ!』
俺の目の前に来るオークイケメン。
「はんっ、戦争に秘境もクソもあるか!『ライトニングスピア』」
俺は全方向に無差別の雷の槍を放つ。
『ロイヤルガード』
先程の鎧オークが何と広範囲防御をやってのけた。
ちょっ! ロイヤルガードって……聖騎士の技なんだが?
『ふふふ、よくやった!聖騎士オークよ!
そしてお前にはこれから死んで貰うが、相手の名前を知らないのは可哀想だからな。
名乗ってやろう。僕の名前はオークプリンス。
今日が命日だ。有難くその命を散らすのだな!』
プリンスねぇ? キングよりも珍しい気もするけれどさ?
どっちが強いんだろうか? 特殊個体と思えばこちらの方が強いか?
オークキングは基本的に短絡的で力押しの魔物だ。
ならば知を持って戦闘を行うこいつらの方が厄介ではある。
そんな時、影の中からオークアサシンが飛び出して来たが俺はその影を思いっきり踏みつけた。まるで四股だな……
「残念、俺も得意属性は同系統なんだよ。『影返し』」
影の世界? という所に無差別で攻撃を行うとあちらこちらから影の柱が建つ。
うぇ、こんなに居たのかよ……
「影に潜んで相手を討ち取ろうなんて卑怯だと思わないか?」
『くっ、勝てば何でもありさ!』
おほー……さっきと言ってること真逆になりやがったぞ?
まぁ、嫌いじゃない。戦闘を神聖化してる連中からしたら嫌われるし汚いと言われるけど。
俺は生き汚い位が戦争には丁度良いと思っている。
どれだけ相手が強かろうと生き残る為には全てのプライドを捨てて戦い生き延びる方が死ぬよりお得だ。
『死ぬにはいい日だ』何て言葉は一種の諦めを含んだ言葉だ。
死ぬにはいい日何て無い。
幾億万の生物に等しく1つだけ平等に渡された死。
これを最後の徒花に綺麗に美化しよう何て言うのは無理だからな。
生き汚く生き延びて最後の日に笑顔で安らかに死ねるのが正解なのだろう。
「まぁ、そういうことだから死んでくれ『黒雷槍』」
こいつらは危険と判断して早々に決着を着けようと先程の実力から見て確殺の魔法を放つ。
『ロイヤルガード、プ、プギャァァァァ』
聖騎士オークの盾には穴が開き、鎧も軽々貫通する。
『くっ、なんだあの化け物は!撤退だ! 闇魔法を使えるということは神聖魔法は不得意の筈だやれ!』
そう言うとオークプリンスの隣に居たフードを被ったオークが短剣で自分の心臓を突き刺すと体から黒いモヤやレイス等の魔物が噴き出した。
「呪術師までいるのかよ! 『浄化』」
俺は魔法陣上乗せの浄化を使う。
魔法陣を組み合わせることによって大規模かつ広範囲にかけれるからな。
あれだ、汚いから新鮮な肉を手に入れるために広範囲に術を施していたら何か役に立った。
アイツらにとっては不幸だろうな……肉の保存の為に広範囲にそんな術を仕掛けているなんて思わんだろ? 普通。
『撤退だ!』
オークプリンスはその様子を見て顔が完全に引きつった状態でそう言うと水晶の様な物を叩きつけると消えた。
「うわー厄介だな。魔道具技師や鍛冶師、それに錬金術師まで居るな? こりゃ」
オークプリンスの実力は測れなかったがあまり強くないと仮定しても
人材が豊富に揃っている以上対策はされるだろうなぁ。
そんな時、俺の右方向から竜巻が起こる。
それも3つも、1つはユリアさんの、2つ目は多分カロン。 3つ目はネロの火炎竜巻だ。
もう面倒くさくなってきたのだろう。
意外とあの3人は飽きっぽいから……
意外だったのは学生時代優等生だったネロや圧倒的強者のカロン。
それにエルフという寿命が長い長命種のユリアさんが飽きっぽいということだ。
ナギは細々とした物をするのは好きらしい。
アームさんに至っては『修行とは細かく小さなことの繰り返しだ! 』と言っていたことには納得した。
3人が大技を使い尚且つ炎でこんがり焼けた匂いが辺りに撒き散らされたので興奮状態のオーク達はネロ達の方へと向かって行った。
「豚肉を食べるオーク。シュールだ」
結局夕方までノーマルオークという雑魚殲滅をしていたが10分の1位削れてたら有難いなぁという位しか削れなかった。
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