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共和国編〜好きに生きる為に〜

115話

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 ギルドの建物の前に戻り中に入ろうとすると酔っ払いの大声が響いて来た。

 まだ昼過ぎなんだけどな……ん? おや?

「あのクソガキ、本当に腹立つなぁ……あぁ? 才能? 天才? あぁ羨ましいなぁ。

 あの年齢でCランクまで上がれんだぞ? 
 クソがっ! あー腹立つなぁ! リンチでもしてやろうか?」

 あー……俺の事だな? こういう発表システムって正直やめて欲しいなぁ。
 こういう、ランクアップをしたギルド支部に実績が加わるとはいえ無駄なトラブルを引き起こしてるやん?

 俺がギルドに入ろうか入らないか迷ってる時だった。

「おい、オッサン!! 才能がどうこうじゃねぇよ!

 あの年齢でここまで上がれるまで努力してきたって何で分からねーんだよ?

 お前らみたいに人を羨んで、昼間から酒を飲むような奴らが
 軽々しく人を『天才』なんて言うんじゃねぇよ!」

 俺は驚いた……そう言ったのはミアの兄貴だったからだ。
 皇国では誰よりも力を欲して居たけどビビって蹲ってる様な奴だったのに。

 今は冒険者として丁度壁にぶつかった様な連中に……
 そして皇国のチンピラよりも遥かに強い連中に真正面から物が言える様になったなんて

「あぁ? なんだクソガキてめえ俺に喧嘩売ってんのか? 
 天才に天才って言って何か悪ぃのかよ?

 この世界は才能がなきゃこうしてグダグダ群れて行動しねぇと生きて行けねーんだよ」

 わー……凄いなぁ。
 自分には才能が無いから群れてます!ときっちり自己分析して言えるのは流石だけど

 それを棚上げして年下や自分より下のランクに絡むのはダメだろ?

 確かに、この世界争い事が多いから才能は必要だけど本当に必要なのは
 自分にあった道を見つけて尚且つ向上できる筋道を見つける事だと思う。

 俺は身体強化をかけてミアの兄を持ち上げている冒険者や囲んでいる冒険者の中に入り
 ミアの兄貴を掴んでいた腕を掴んだ。

「ねぇ? 人を天才呼ばわりして諦めてるお兄さんは幾つから冒険者始めたんだ?」

 本人登場に少し面食らってたが、直ぐに顔を真っ赤にしていた……酔ってるからか? 
 わからんが答えてきた。

「あぁ? 15歳から初めて3年目だこの野郎!」

 ミアの兄貴を手放し俺が掴んだ腕が痛かったらしく殴りかかって来た。

 俺はその拳を避けて、脚を思い切り蹴り尚且つ
 魔力全開の身体強化で頭を掴み床に打ち付けた。

「ふーん、じゃあさ。
 5歳から初めて今年で5年目の俺がランク上がって何か悪いのかな? ?」

 そう言うと全員が逃げようとした為に

「逃がさんよ? 『スタンボルト』」

 中範囲麻痺攻撃をしかけた。

「な、何で俺まで……」

「あっ!ごめんね? それと名前も知らんけどミアのお兄さんだったよね?
 俺を庇うのも正論を言うのも良いけど周りの状況を確認してからね?

 それと、“天才って簡単に言うけれど、その人の努力を見ろ“という言葉。
 まぁ簡単に訳しちゃったけど痺れたよ?

 ありがとうね」

 俺は状態異常回復の魔法をかけてミアの兄貴へと感謝の言葉をかけた。

「え!? 俺の名前知らないのかよ……
 スクテロだ!ミア共々、トヤ・トアと同じ様に接してくれればありがたいよ。殿?」

 おー……こういう才能こいつありそうだな!

「うわっ!そんな言い方されるなんてな?
 まぁ、帝国、皇国、共和国で文化の違いはあれど楽しくやって行こうぜ?

 今日はトヤ・トアを呼んでランクアップのお祝いしようと思ってたから是非参加してくれ!」

 するとスクテロは首を傾げつつも握手に応じた。

「ん? 出身国言ったっけ? まぁよろしく」

 うおっち!やってもうた!んー……何て誤魔化そうかな?

「あ、あぁさっきの啖呵切る時に少し訛りが出てたぞ?」

「まじか! 気を付けるわー」

 こうしてスクテロとの数年振りの邂逅で仲良くなるのであった。

 宿に戻り、タビに準備と食堂の一角を借りてお祝いしようとしたんだが……

 結局泊まってる奴全員での騒ぎになった。

 俺にとって当たり前にある物って忘れやすいけれど……こう思う。
 カレーは暴力だ! 勝てる味が無く、尚且つ匂いでも勝てない。

 因みに〆の1杯にうどんは凄く喜ばれ、食事はトッピングを付けると喜ばれてタビはホクホク顔だった。

 これは何だ? という質問の乱舞が宴会の最後に飛び交い食堂のおばさんに怒鳴られるのであった!

 こういう時の冒険者のノリは好きだ。

 全員で、

「「「「すみませーん!!」」」」

 と謝って皆、部屋に散り散りに戻るのであった。

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