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共和国編〜好きに生きる為に〜

103話

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 俺は今戦慄している。

 アサダ州だけなのか? それとも共和国全土なのか分からないが。

 1階層とは言え5、6歳の子供が「てぃやー」と叫び声を上げながらゴブリンに斬りかかっていた。(自分を棚上げしまくってる)

 俺の場合は護衛もとい成人した仲間が居たからノーカウントのはず。

 まず、奇襲なら声を出すなよ……
 そんなことを思っていると女の子の方がこっそりとゴブリンの後ろに回ってる。

 ゴブリンの後ろから女の子が短槍をぶっ刺した!!

「ぐっぎゃぁぁ」

 すげえ……ゴブリンってあんなに高くジャンプ出来たんだな。

 いやぁ、ダンジョンとは言えゴブリン君。
 槍でカンチョウは辛いな。

 ダンジョンの魔物って感情あったんだな。
 あんなに辛そうなゴブリン初めて見たわ。

「おいっ!子供が何の用だ!」

 胸を張り、ドヤ顔のポンコツ少年。
 オレの方一応歳上なんだけどね?

「トヤそんな事言っちゃダメだよ?」

「うるせぇい、なんでい俺らのとった素材が狙いかぁ?」

 何でこの少年こんなにもべらんべい口調なの? このこちょっとおもしろいかも?

「いや、俺は既に冒険者だから」

 俺は2人に冒険者証を見せると少年はいきなり

「それ、よこしやがれください!」

「何語?」

 俺はそれを避けて避けて避けてちょっと硬めの魔力球で少年に当て続ける。

「うぺっ、うぐ、ま、まって、わ、わかった。わかったから」

 俺はやめない。
 これがもし、悪人だったり質の悪い冒険者だった場合殺されているからだ。

 それなりのベテラン冒険者なら俺みたいに罰(ゲンコツ) 1つで済むけれどね。

 前世と違い、正当防衛がかなり強く過剰防衛何て言葉はない。

 手加減して自分が死んだら意味無いから最初から殺りに行くのが正解なのだ。

「ご、ごめんなさい! お願いします。助けてください」

俺は女の子の謝罪を受け入れて魔法を止めた途端。

「し、死ねぇぇ!!」

 少年は短剣を持って突っ込んできた。
 魔力で身体強化すると、どれだけ繊細に手加減して扱っても多分ほぼ殺してしまうので

 久しぶりに気の循環による身体強化をかける。

 飛びかかってきた少年に合わせて俺も少年の方へ踏み込み
 短剣を避けたその勢いのまま少年の後頭部に回し蹴りをかました。

「ふぅ、久々だと辛いな。修行不足だな『バインド』
 全く、俺より年下なのにこれだけやれるとは中々だな」

「あ、あの!弟がごめんなさい!」

 俺は謝ってきた少女を見ると何か違和感があったので魔眼を発動させると頬が引き攣った。

 普通の人より魔力が2倍あり、そして先程のトヤと呼ばれていた少年も
 手合わせした時の感触と感知で気の量がかなり多い。

 違和感の正体には魔眼によって気付いているけど、指摘して良いかと悩む。

 少女と少年の姿を見ると余りご飯が食べれてないのか青い髪は艶を失い、
 常に食べ物を欲する胃や腸は消化するもの寄越せとガスが溜まりぽっこりお腹になっていた。
 このまま放置して餓死するか、奴隷にされるとさらに困るのも目に見えていたので悩む。


「ん、良いよ。それじゃこの悪ガキがやばい事しない様に今日は見張っててやるから。

俺はケビン、君は?」

「私はトアです! こっちが弟のトヤです!
私が7歳でトヤが5歳です!」


 1階層での戦果!!

 子供2人(災厄決定)

 体の状況や健康状態を魔眼で見た結果、置いてはいけないけど連れていく気にもならない子達だなぁが結論だった。

 俺達は2階層に降りる。

 正直に言うと、トヤは既に起きている。
 感知が得意な人ならすぐに気付くのだが、やはりお子ちゃまなのでお姉ちゃん大好きっ子らしい。

 俺は2階層でコウモリの魔物や、カマキリの魔物を倒す。

 そして遂に6階層に来た。

 ここには目的の品があるのだ。

 ほら来た。

「ブフぃぃぃぃ!!」 

 オークは俺とトヤを見てフンッとそっぽ向いたと思ったらトアを見て

「ブヒャブヒャブヒャ!!」

 と喜び始めてトアも恐怖で動けないらしい。

 さてと、このままアホな踊り見てても良いけどトヤが戦闘してボロ負けするのが見えてるので

「おい、豚。『ウィンドカッター』喰らえよ」

 オークの首は落ちて霧散した。

「お? ラッキーじゃん!初っ端から肉ドロップとかさ!」

 トヤは驚愕、トアは唖然としてる。

「おい。トヤ。何を驚いてるんだよ? 
 オーク単独ならEランク冒険者パーティーで受注可能だぞ?

 ソロでDランク冒険者なんてのはな、時と場合と条件次第ならBランク依頼に呼び出される事もあるんだぞ?」

 そういうと、トヤは気を取り直した様だ。
 俺はマジックボックスから昔1回だけ使った杖兼棍棒を出してトアに渡す。

 トヤにはガントレットと短剣を渡す。

「おい、トヤ。お前は手を貸せ」

「あぁ?何でい? 姉ちゃん以外と手なんて繋ぎたくないぜぃ?」

 うるさいわっ!俺だってそんな趣味ないわっ!?

「うるせーい!ほら、この今流れてきてる力を意識して戦え。

 お前らの種族は内なる心に戦い方は載ってるだろうさ。
 でも放出は禁止だぞ? 俺は普段魔力しか使わないから気力の回復薬持ってきてないからな」

 トヤはかなりツンツンツン系だけどやっぱり男だよな。
 武器貰った瞬間に物凄い嬉しそうだったもんな。

 トアの元へ行き、手を繋ぐ。

 魔力。魔力……硬ぁぁ。

「なぁトア……魔力何時から使ってない?
 くそ硬くてほぐし作業がいるんだけど?」


「えっと、生まれてこの方魔力は使った事ありませんの?」

 ん? おかしいぞ? 人間族なら5歳で必ず1度制限を解除してもら……あ。

「君達【洗礼式】は? 」

 2人ともシンクロ的な綺麗に揃った首の傾げ方だった。
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