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学園編

35話

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 父上、母上、キャロ、ハビスに挨拶して
俺は宿を出たのだが……出た後、振り返って驚いた。帝都1の高級宿だったからだ。

「母上とキャロの為に奮発したと言う名目かな?」

 父上は帝都に来た理由を俺にして無い。
 それをしてしまえば各家の失態が全ての家に伝わってしまうからだ。

 貴族の使用人が冤罪をけしかけて学園内で刑を出そうとしたのだから。
 全てにおいて狂っているのだ学園は。

 父上が介入しなければ俺は退学という事で終わっていたかも怪しいのだ。
 下手すれば奴隷落ちもあったのだ。

 俺はもう自重しないと決めたので堂々と学園に向かう。
 帝都住みの平民以外の貴族子息令嬢は基本的に馬車で登校してくる。

「おい!お前!何で学園にまだ居る無視するんじや、ひっ!」

 俺は睨み魔圧を放つ。登校するまでに既に5回。

 そんな時だった。

「ケビン!何で生徒指導室から出てる?」

 俺を睨み付ける金髪の生徒……カイン・クロスと取り巻き3人だった。

「はぁ……とても残念だよ。だからお前は何時までも嫡男として不安がられるんだよ」

 カインは不機嫌そうに俺を睨み、取り巻きが憤慨しだす。

「貴様平民の分際で何様のつもりだ!伯爵家だぞ!? 不敬罪で首を落としてやる」

 その言葉にカインがちょっとヤバいという顔をした。

「ふぅん君誰? そして出来んの? んで誰がいつ平民って言ったの? 教えてよ?」

 俺は平静を装い取り巻き1号に声を掛けた。

「ふん、偉そうに俺はカラサ子爵家「黙れ」ひっ」

 魔圧を仕掛け気絶させた。

「なぁカインお前何様何だ? 教えろよ? 何時から伯爵家嫡男のお前が伯爵家を背負ってるんだ? 答えろ!!」

 俺は魔圧でカインを威嚇する。
 取り巻き? 全員気絶してるさ。

「ぼ、僕は伯爵家なんて言ってないコイツらが「隣で黙って聞いてたら一緒だろうがっこのクズ!」う、うるさい!」

 今まで貴族子息令嬢達は俺を罵っていたり陰口を叩いていたのに
 俺が反応してこなかったのに対して真正面から喧嘩してる様子にポカーンとしていた。

「父上は俺達に散々言ったよな? どんな才能を持っても研鑽せねば何にもなれぬと。
 お前の努力、研鑽ってのが人を見下す為の者か? 平民だと? 領地に居る人々を思い出してそんな言葉吐けんのか? あぁ?

 あんな毎日挨拶してくれる優しい人達が働いて俺達に管理をお願いするから俺達が生きていけんだぞ? そんな事も理解出来ねぇのかこのボンクラ!?」

 俺はもう我慢の限界だったので普通にカインをぶん殴った。

 カインはそこでついにブチ切れたっぽい。

「うるさいっ!いつもお前みたいな頭の良い奴が居るから僕が苦しんでるんだろうがぁ
「ボケェー!脳筋で領主が務まるかぁ」ぶへぇぇえ」

 あれ? カイン? 弱くない?

 吹き飛んだカインを見て混乱してしまう。

「な、なぁカインさ? お前体術の訓練はしてないのか?」

「あ、当たり前だろ? 武神の加護貰ったんだぞ!武器使わなくてどうするんだ!武器さえありゃお前なんて「拾えよそこの取り巻きの剣」へ?」

 最初に俺を打首にするとかの賜っていた取り巻き1号が帯剣していたので拾えと伝える。

 カインの目には怒りの感情が灯る。

「そうやっていつもバカにしやがって!」

 剣を持った瞬間から動きが変わったんだけど……如何せん遅い。
 俺は魔力を循環させて身体強化する。

「なぁ? カイン1つだけ、いや2つだけ教えてやるよ。兄弟だからな!」

「うるせぇぇぇぇ」

「ひとぉぉぉつ!武神に声を掛けて貰ったのは加護じゃなくて指針だアホぉぉぉ」

 カインが丁度よく突っ込んで来たのでカウンターパンチを繰り出す。

「ぶへぇぇえ」

 吹き飛んでも受け身をとり立ち上がった。

「ちきしょぉぉぉぉ」

 鼻水、涙ダラダラで向かって来るカイン。

「勝てないと分かってても向かって来るその意気や良し!
ふたぁぁぁぁつ! 武とは弱き者が強き者を打ち倒す為の技術で
 技術は基本的に素の身体能力が無いと十全に扱えないんだよぉぉぉ」

 剣を振り下ろそうとした腕を掴み内側に入り込みそのままの流れで体を打ち上げぶん投げる。

「わかったかカイン!今の2発どちらもほとんど力を使ってない。
 魔物を倒す時は最小限の力で最大限の効果を発揮せよだ。
 対人も対魔物基本は変わらないんだよ。
 倒す時の力、技術、継続戦闘の為の体力、そして戦闘時に強い心を持つ為の精神力。

 心·技·体揃って初めて武術何だよ!お前が言ってたのは技のみだ。

 そんな状態で自分を強者だと思うな!いくら最高の指針を貰っても今のお前じゃ普通の人3人同時に攻撃されたら死ぬぞ」

「そこまで!」

 俺は声のする方を見ると何か偉そうな爺さんが出てきた。

「おい!そこのEクラスの平民!何て事をしやがった? 問題ばかり起こしやがって」

「お前誰?」

「貴様!学園長の顔すら知らんのか!!」

「あー手紙握りつぶしたのお前?」

 あれ? 顔が真っ赤になってら? そんな高血圧だと死ぬよ?

「儂は先代ゴーエン伯爵じゃぞ? 貴様なんぞ幾らでも潰せるんじゃぞ?」

 ニタニタと脅し始めるアホの親玉。

「へぇ、じゃあ鬼がそのうち貴方の元に向かうそうです。
 頑張って寿命が切れないと良いですね?」

「は?」

「じゃあ選民思想のクソ爺に俺の名前を教えてやるよ。
 初めまして、私アレクサンダー・クロス伯爵の次男ケビン・クロスです。
 以後お見知り置き。いやこれで最後かな? 
 特殊試験者として皇帝陛下にもこの学園に入る許可を頂いて居りますので
 この学園のアホな思想を持った貴族子息令嬢達の所業は全て皇帝陛下に報告行ってます。それでは失礼致します」

 ポカーンとした表情の後、学園長はガタガタと震え真っ青になったと思ったら
 皇帝陛下の名前を出した途端顔の色が土気色にまでなった。
 父上が挨拶に来る前に天命を迎えるのでは? と心配になるのであった。

「では学園長良い1日を」

 そう言って俺はニッコリ笑う。

 登校するだけでこんなに絡まれるとはそして自分の兄弟がこんなに情けないとは思わなかった。

「はぁ。疲れた」

 そう言って教室に入るのであった。
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