Strelitzia

大石或和

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序章

最初の夜明け 後編

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「涼雅さん、分かりました!有能なのは【燦々火花】です!それを使ったら、とにかく相手の全ての足に攻撃を与えてください!!」

「了ー解!!」

 今度は灼の指示に従い、涼雅は短時間で全ての足に攻撃できるルートを探し出した。
 リサイクラーは円状に立つ生物故、周囲をぐるぐると回りながら攻撃すれば、全箇所に当たる。
 それも、数発。

「行くぞ。──花月刀燦々火花《かげつとう さんさんかばな》ッ!!」

 涼雅の怒号と共に、花月刀から無数の火花が散り、切り裂いた足を燃焼させていく。
 攻撃する度に飛び散る火花が、やけに幻想的に映る。
 一本、二本、三本、四本、五本、六本、そして七本!!
 全ての足に攻撃が当たり、次なる灼の指示が入る。

「そしたら、逃げて!!」

「え?」

 爆発。
 涼雅の背後を煙幕が追い続ける。
 全速力で走ったが、涼雅は煙のその速さゆえに簡単に追いつかれてしまった。

「げっほ!!お前、マジ後でしばく」

「ええ!?」

「でもまあ、結果オーライか」

 リサイクラーの姿を見るなり、涼雅はニコリと笑って灼にサムズアップしてみせる。
 涼雅はやれるだけのことをしてみせた。
 次は灼の番だ。
 リサイクラーは予定通り全ての足を落とされ、膝を着いている。

「行け!でっかいの一発、ぶちかましてやれ!!」

「はい!!」

 灼はショットガン片手に必死で走り、炸裂弾を装填し、リサイクラーの眼前にショットガンを突きつける。
 両手で力強く構え、外れることはないだろうが、正確に狙いを定める。

「ごめんな。でも、その分俺が絶対に晴らす。みんなが背負った、その恨みを」

 灼は引き金を引いた。
 刹那、通常クリーチャーと同様にリサイクラーも頭が吹き飛ぶと、体の中心から破裂する。
 血が雨のように降りしきり、その後太陽が完全に昇りきり、夜明けと共に戦いの終わりを知らしめた。
 血の雨も引き、空が晴れる。
 何故だか不思議と、何回も経験してきた夜明けの中で、一番清々しく気持ちの良いものに感じられた。
 安全を確認し終えた涼雅は、成長した灼に声をかけた。

「終わったな」

「はい。終わりました、涼雅さん」

 でも、本心では、やはりまだ人を殺したことを引きずっていた。
 逆に忘れちゃいけないのかもしれない。
 目的を果たすまでは。
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