死亡フラグを回避しつつ、苛め役令嬢Bはツンデレが過ぎる悪役令嬢を全力で推していきたいと思います。

結成！悪役令嬢連合③

「あのなぁ、ヴァイオレットちゃん？　
　……これからは平和な人生を謳歌しようとしてたうちが、なんでわざわざ何のメリットもない嫌がらせを、このタイミングで再開したんやと思う？」

　……言われてみれば。
　考えに集中するあまり、眉間に深いシワが寄る。
　しかし私が正解に辿り着く前に、彼女は呆れたように言った。

「うちが犯人やと疑ってる間は、アンタは真犯人に辿り着く事はない。
　真犯人もヴァイオレットちゃんがうちに纏わり付いとる間は、自分は安全やと思って油断して、うっかり隙を見せるかも知れんやろ？」

　それは、うん。そうかも知れない。知れないけれど……。

「……何よ、それ。
　私を邪魔者扱いした上、あわよくば敵の尻尾を掴むための餌に使ってやろうとしてたって事！？
　キィィィィイッ！！」

　怒りのあまり、つい大きな声が出てしまった。
　するとパトリシアは地団駄を踏む私のおでこをピンと指先で弾き、不愉快そうに唇を歪めた。

「落ち着き。そんなワケ、ないやろ？
　逆や、逆！
　……全部アンタを守るために、アリシアちゃんが考えた事や」

　その言葉に、ハッとさせられた。
　確かに考えてみたら、その方がしっくり来るかもしれない。
　だって彼女は意地悪だけれど、いつだって私の安全を最優先してくれたではないか。
　……一瞬でもそんな風に考えてしまった自分が、恥ずかしいし情けない。

　それに私がもしも真犯人とやらの正体に気付いたならば、間違いなくさっきみたいに詰め寄り、全てを台無しにしたに違いない。
　だけど犯人は、レイたんを毒殺しようなどと企むサイコパスなのだ。
　……私の命だって、狙わないとは言い切れないではないか。