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結成!悪役令嬢連合①

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「……どういう事よ?」
 
 ギロリと睨み付けて聞くと、パトリシアはにやにやと楽しそうに笑ったまま答えた。

「んー、まんま言葉の通りやけど?
 うちはあんたら同様、元々は日本人や。
 ただしひとつ、違うんは……。
 うちは一回死んでるから、憑依者じゃなく転生者やってところだけ」

 一回死んでいるという、あまりにもショッキングな内容に怯んだ。
 だけど彼女はクスクスと可笑しそうに笑い、続けた。

「うちはな、『ルフ風』の小説のアンチ読者やってん。
 中でも悪役令嬢の、パトリシアが大っ嫌いやったんよ」

 彼女の話は、こうだ。

 転生前の彼女、木下 ゆかりは生まれつき体が弱く、学校にも通えずその人生の大半を病院のベッドの上で過ごしてきた。

 そんな彼女の唯一の楽しみは、小説を読むこと。
 しかしよかれと思って妹が買ってきてくれた『ルシタスフの風』の物語は、彼女の心に苛立ちと葛藤を与えた。

 ワガママで、意地悪で、傲慢な悪役令嬢 パトリシア・ドミニオン。
 健康な体を持ち、美貌にも、環境にも恵まれている癖に、本気で好きでもない皇太子の花嫁候補から外されたのを逆恨みして、自分を磨く努力もせずにアリシアやレイチェルに嫌がらせを続けるその姿に、怒りすら覚えたのだという。

 ゆかりは自身の命が尽きる瞬間、祈った。

 神様というのが、もしも本当にいるならば。
 どうか私を、悪役令嬢のパトリシアに生まれ変わらせて!
 私だったら誰かに意地悪する事無く、パトリシアとしての人生を謳歌してみせるから。
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