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情報量が、多すぎる!②

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「……ド、ド、ド、ド、ド、ド!!」

 壊れたラジオみたいに、何度も『ド』の音だけを連発するイザベラちゃん。

 まるで『ウォーター』という言葉が水を指すのだと、初めて認識した時のヘレン・ケラーみたい。
 だとしたら今の私は差し詰め、彼女の師であるサリバン先生というところかしら?
 
「うんうん、そうね。イザベラ様。
 ドラゴン。……この子はドラゴンの、リリィって言うのよ」

 腰を抜かしてその場にペタリと座り込んでしまったイザベラちゃんの白魚のような手を取り、ルシタスフ文字をひとつずつ丁寧に形取らせながら、優しい口調で教えてあげた。

「ド……ドラゴン!リ……リリィ!」

 ガクガクと震えながら、リリィに触れるイザベラちゃん。
 するとそこでこれまでこの小芝居をおとなしく見守っていたリリィが、心底呆れたように言った。

「ねぇ、あなた達。なんだか謎に盛り上がってるところ、非常に申し訳ないんだけど。
 時間が、無いのよね?
 さっさと鼻水の採取を、始めて欲しいんだけど!」

 ダン、と地団駄を踏まれ、地面が大きく揺れたせいでピョンと跳ね上がる私とイザベラちゃんの体。
 おっと、いけない!確かに、こんな事をして遊んでいる場合じゃなかったわ。

「ごめん、リリィ。
 でもイザベラ様が、あまりにも良い反応をしてくれるものだから」

 てへ☆と舌をペロリと出して謝罪の言葉を口にしたら、尻尾で軽くお尻を叩かれてしまった。暴力、反対!

 しかしそこでようやく発作・・が落ち着いたのか、心臓の辺りでぎゅっと手を握ったまま、イザベラちゃんが言った。

「すみません、取り乱してしまって……。
 だってまさか、本物のドラゴンにお逢い出来る日が来るだなんて……。
 はぁ……なんて神々しい、お姿なのでしょう!
 あぁ……こんなにも美しい生物が、この世に存在するだなんて……!」

 今にもヨダレを垂らしそうになりながら、目を爛々と輝かせる魔女見習いの少女。
 完全に、イっちゃってる!

 マッドサイエンティストさながらな雰囲気で恍惚とした表情のまま語るイザベラちゃんを前に、いつも私も美少女を語る際にこんな顔をしているのだろうかと考え、少しだけ反省した。
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