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共同戦線②

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「でも不細工な間抜け面のまま、下手くそな癖に指笛を必死に鳴らそうとする姿を見てるのは、中々楽しかったけれど」

 予想外の出来事に、馬鹿みたいに口を開けたまま、彼女の口元をガン見する私。

「リリィ……アンタ、話せたのね」

 愕然と、呟いた。
 するとリリィは心底呆れたように溜め息を吐き、しれっと答えた。

「話せるわよ?ただし、話したいと思えない相手の前では、話してあげないけどね」

 やっぱりこのドラゴン、意地も性格も悪い。
 ……飼い主に、似たのかしら?
 
 そんな風に考えていたら、ドラゴンは翼を大きく広げた。

「用が無いのであれば、もう行くわよ?
 じゃあね、小娘!もう二度と私を、呼び出さないでちょうだい!」

 だから私は慌てて、必死に訴えた。

「ごめん、リリィ。ある!用なら、あるから!
 リリィ……アンタの鼻水を、私にこの瓶一杯分だけわけて!」

 私のお願いの言葉を耳にしたリリィは、ドン引きしたように一歩後退あとずさった。

「鼻水って……昨日あれだけ、引っ掛けてやったのに。
 ……あなた本当に、気持ちが悪いわね」

 しみじみ、言われてしまった。
 だけど私は彼女の足にすがり付き、なおも訴え続けた。

「何とでも、言いなさい!
 でもアンタの鼻水があれば、レイたんの命が助かって、その上アリシアちゃんの殺人犯容疑が晴れるかもしれないの!」

 リリィは私を振り払おうと、足を左右にブンブンと振っていたけれど、その言葉に反応しピタリと動きを止めた。

「何よ、それ……。
 なんで私の可愛いアリシアが、そんな目に遭ってるのよ!?」

「今からちゃんと説明するから、落ち着きなさい。
 とはいえアリシアちゃんは、『リリィの』じゃないけどね!」

 ゼェゼェと息を乱しながらも、そこは強く否定しておいた。
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