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天は我に、味方せり②

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 恥ずかしそうに、頬を染めるイザベラちゃん。
 それはそんなにも、言いにくい代物という事なのだろうか……?
 
 不思議に思いながらも、微笑み答えた。

「もちろんですわ」

 するとイザベラちゃんは小さな震える声で、ボソッと呟くように答えた。

「……の、鼻水です」

 鼻水……?それは確かに、口にするのは少し憚られるかもしれない。
 だけどそこまで、恥ずかしがるほどか?
 
「ごめんなさい、よく聞き取れませんでした。
 イザベラ様……何の、鼻水ですの?」
  
「えっと……その……。
 ……ドラゴンの、鼻水……ですわ」

 返答がちょっと、遅れたためだろう。
 イザベラちゃんはますます赤くなりながら、私に言った。

「……おかしいですよね?やはり」

 拗ねたように涙目で私を軽く睨みながら、ぷぅと頬を膨らませるイザベラちゃんの、破壊力よ……。 
 危うくはぁはぁと息を乱しながら、変質者のごとく再び抱き締めそうになったけれど、ギリギリのところで踏み留まった。

 あれ?でも、ちょっと待って……。
 イザベラちゃん今、ドラゴンの鼻水って言った!?
   
 アリシアちゃんとの空中デートの際、背中に乗せて貰ったドラゴンのリリィ。
 恋のライバル(?)である私に向かい、あの性悪ドラゴンは何度もぶぇっくしょーんと豪快なくしゃみ攻撃を繰り出した。

 しかも毎回毎回、アリシアちゃんが少し側を離れた、そのタイミングを狙ってである。
 結果私の洋服と髪はリリィのヨダレと鼻水でグッチャグチャになり、早めの解散を余儀なくされたのだが……。

「おかしい……とは、全く思いませんが。
 それはそんなにも、貴重なモノなのですか?」
 
 忌々しい想いで、聞いた。
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