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魔女の目的①

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 とりあえずパトリシアに取り入る事には成功したものの、問題はまだまだ山積みだ。

 アリシアちゃんが幽閉されてしまったのも勿論どうにかしなければならないが、取り急ぎ先にやっつけるべきなのは、レイたんの解毒だろう。

 迎えに来てくれたコバン家の家紋の入った馬車に乗り込むと、馭者ぎょしゃの男性に告げた。

「今日は家に帰る前に、寄って欲しい所があるの。
 以前雨の日に寄った、お友達のイザベラ様のおうちまでお願い」

 幸い私は事前に小説でこの後の展開を知っているから、毒を調合した犯人はもう分かっている。
 ……作中で忌まわしき魔女と呼ばれていた、イザベラちゃんだ。

 正直私には、何故あのイザベラちゃんが、皇太子妃候補であるレイたんの命を狙ったのかだなんて全く分からない。
 そして毒などという物騒過ぎる代物を、何故作ろうとしたのかも。

 だけど毒を調合したのが彼女なのであれば、解決の糸口もきっとここにあるはず。
 それにもしかしたら解毒剤は、既にイザベラちゃんの手元にあるかも知れない。

 だって優秀な毒の使い手は、自身が危機的状況に陥った時に交渉の手段として使うため、解毒剤も同時に用意しておくらしい。
 ……とはいえこれは、漫画で得た知識だけど。

 『ルシタスフの風』の物語では、忌まわしき魔女 イザベラが毒薬を使い、憎きライバルであるアリシアを殺すようレイチェルをそそのかしたとされる。

 でも私は、イザベラちゃん自身も何者かに利用されただけなのではないかと思う。
 アリシアちゃんも、同じ考えのようだったし。

 では真犯人(仮)のパトリシアはいったいどのような言葉を囁き、素直で優しいイザベラちゃんに人の命を奪うような恐ろしい毒薬を作らせる事に成功したのだろうか?
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