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苛め役令嬢 Aの決意②

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『私だって皆様と同じ、この学園の生徒です。……なのに』

 泣きそうになりながら、それでも懸命に震える声で訴えるシルヴィアちゃん。

『あぁ、可笑しい!
 まさかそれ、本気で仰ってますの?
 あなたのような下品な成金と、私達のように格式高き家門の人間が、本当に同じだと?』

 既に半泣き状態のシルヴィアちゃんを、更に追い込もうとする性悪女。
 するとそこにレイたんと、その忠実なる小判鮫……つまり、私が現れた。

 レイたんはシルヴィアちゃんの頬を伝う涙をそっと指先で拭い、立てるよう手を貸してから、くるりとパトリシアの方へと向き直った。

『この学園では、皆に学ぶ機会が与えられます。
 家門は関係なく、平等に。
 ……パトリシア様も、ご存知ですわよね?』

 凛とした表情でそれだけ言うと、レイたんは穏やかに微笑んだ。
 なのにその迫力は、雑魚キャラパトリシアとは段違い。
 
 怒りの波動すらも気高く、こんなにも神々しいとか……。
 さすがは私の最推し悪役令嬢、レイたん!

 そこで脳内に流れてきた映像のようなものは、プツリと終わってしまった。

 でも、あぁ……そっか。
 私は完全に、思い違いをしていたのか。

 気が弱く流されやすいシルヴィアちゃんは単に、長いモノには巻かれろ精神で、レイたんの取り巻きをしているのだと思っていた。

 だけど、そうじゃなかった。
 ……純粋にレイたんの事が大好きで、憧れているから側に居たんだ。

 小説だけでは分からなかった、シルヴィアちゃんとレイたんの本当の関係性。
 これはきっと全て、ヴァイオレットが実際に経験した記憶なのだろう。

 本当は今すぐその肩を抱き、慰め、パトリシアのほっぺたのひとつでもひっぱたいてやりたかった。
 しかしここで反論しては、全てが台無しになってしまう。
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