37 / 95
ドラゴンなんて、原作には出てきませんでしたけど!?①
しおりを挟む
その日の、放課後。
自宅に戻り、アリシアちゃんと二人、いつものティータイム兼作戦会議にて。
「さて......どうしたもんかな。
イザベラちゃんってば原作と全然違って、ホントにめちゃくちゃいい子だったんだよ?
......レイたんを暗殺者に仕立て上げて、毒を盛らせた犯人が彼女だなんて、私には思えないんだけど」
私が言うとアリシアちゃんは、ティーカップを手に取りズズッと品なく紅茶を啜り飲み、ニヤリと笑った。
「うん、その通り。
イザベラはそんな大それた、悪事を働くようなタマじゃねぇよ」
「は!?何よ、それ!
アリシアちゃんは、気付いてたってこと!?」
思わず、大きな声が出た。
だけど彼女は優雅に微笑み、穏やかな口調で答えた。
「ヴァイオレット様、声が大きいですわよ。
壁に耳あり、障子に目ありという言葉を知りませんの?
......まぁこの世界には、障子なんてモノありませんけれど」
口元を白魚のような手で隠し、コロコロと可憐に笑う彼女。
それに苛立ち、私もティーカップを手に取ると、ひとくちわざと大きな音を立てて啜った。
そして当て付けがましくダンとテーブルにカップを置くと、ギロリとアリシアちゃんの愛らしい顔面を睨み付けた。
「でも忌まわしきはずの魔女イザベラが、全く忌まわしくなかったとなると。
......黒幕は、別にいる可能性が高いって事になるわよね?」
「ご名答。イザベラは、利用されただけだ。
......真の、悪党にな」
忌々しげに眉根を寄せ、今度は真剣な表情で彼女は告げた。
自宅に戻り、アリシアちゃんと二人、いつものティータイム兼作戦会議にて。
「さて......どうしたもんかな。
イザベラちゃんってば原作と全然違って、ホントにめちゃくちゃいい子だったんだよ?
......レイたんを暗殺者に仕立て上げて、毒を盛らせた犯人が彼女だなんて、私には思えないんだけど」
私が言うとアリシアちゃんは、ティーカップを手に取りズズッと品なく紅茶を啜り飲み、ニヤリと笑った。
「うん、その通り。
イザベラはそんな大それた、悪事を働くようなタマじゃねぇよ」
「は!?何よ、それ!
アリシアちゃんは、気付いてたってこと!?」
思わず、大きな声が出た。
だけど彼女は優雅に微笑み、穏やかな口調で答えた。
「ヴァイオレット様、声が大きいですわよ。
壁に耳あり、障子に目ありという言葉を知りませんの?
......まぁこの世界には、障子なんてモノありませんけれど」
口元を白魚のような手で隠し、コロコロと可憐に笑う彼女。
それに苛立ち、私もティーカップを手に取ると、ひとくちわざと大きな音を立てて啜った。
そして当て付けがましくダンとテーブルにカップを置くと、ギロリとアリシアちゃんの愛らしい顔面を睨み付けた。
「でも忌まわしきはずの魔女イザベラが、全く忌まわしくなかったとなると。
......黒幕は、別にいる可能性が高いって事になるわよね?」
「ご名答。イザベラは、利用されただけだ。
......真の、悪党にな」
忌々しげに眉根を寄せ、今度は真剣な表情で彼女は告げた。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
【本編完結済】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!
O.T.I
ファンタジー
★本編完結しました!
★150万字超の大長編!
何らかの理由により死んでしまったらしい【俺】は、不思議な世界で出会った女神に請われ、生前やり込んでいたゲームに酷似した世界へと転生することになった。
転生先はゲームで使っていたキャラに似た人物との事だったが、しかしそれは【俺】が思い浮かべていた人物ではなく……
結果として転生・転性してしまった彼…改め彼女は、人気旅芸人一座の歌姫、兼冒険者として新たな人生を歩み始めた。
しかし、その暮らしは平穏ばかりではなく……
彼女は自身が転生する原因となった事件をきっかけに、やがて世界中を巻き込む大きな事件に関わることになる。
これは彼女が多くの仲間たちと出会い、共に力を合わせて事件を解決し……やがて英雄に至るまでの物語。
王道展開の異世界TS転生ファンタジー長編!ここに開幕!!
※TS(性転換)転生ものです。精神的なBL要素を含みますので、苦手な方はご注意ください。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜
一ノ瀬 彩音
ファンタジー
元勇者パーティーで雑用係をしていたが、追放されてしまった。
しかし彼は本当は最強でしかも、真の実力を隠していた!
今は辺境の小さな村でひっそりと暮らしている。
そうしていると……?
※第3回HJ小説大賞一次通過作品です!
私の婚約者には、それはそれは大切な幼馴染がいる
下菊みこと
恋愛
絶対に浮気と言えるかは微妙だけど、他者から見てもこれはないわと断言できる婚約者の態度にいい加減決断をしたお話。もちろんざまぁ有り。
ロザリアの婚約者には大切な大切な幼馴染がいる。その幼馴染ばかりを優先する婚約者に、ロザリアはある決心をして証拠を固めていた。
小説家になろう様でも投稿しています。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
ガチャ転生!~異世界でFラン冒険者ですが、ガチャを引いてチートになります(アルファ版)
武蔵野純平
ファンタジー
「君は次の世界に転生する。その前にガチャを引いた方が良いよ」
ガチャを引けば特別なスキルカードが手に入ります。
しかし、ガチャに使うコインは、なんと主人公の寿命です。ガチャを引けば次の世界での寿命が短くなってしまいす。
寿命と引き換えにガチャを引くのか? 引かないのか?
そして、異世界に転生した主人公は、地獄で引いたガチャで特殊なカードを貰っています。
しかし、そのカードの使い方がわからず、Fランクの冒険者として不遇の日々を送ります。
カードの使い方に気が付いた主人公は、冒険者として活躍を始めます。
わたしがクランマスターですっ!〜転生幼女とおじさまパーティーの異世界生活《ライフ》〜
松田 詩依
ファンタジー
イケオジ好きゲーマー女子が幼女に転生! 新たな人生の舞台はなんと剣と魔法のファンタジー世界!?
順風満帆だったはずの人生は強豪クランマスターの父の死によって一変する。クランメンバーの裏切りによって父の遺産を奪われ、屋敷も追われ齢五歳で一文無しに……!
でも少女は諦めない。何故なら彼女はやり込んでいたオンラインゲームで習得した全てのスキルを使えるチート能力を授かっていたのだ!
少女は規格外のクラス適性と魔力量で最年少冒険者となり、色々訳ありなおじさまたちと異世界ライフを送りながら成り上がりを目指す!
※多忙につき更新停滞中です
〈とりあえずまた〆〉婚約破棄? ちょうどいいですわ、断罪の場には。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
辺境伯令嬢バルバラ・ザクセットは、第一王子セインの誕生パーティの場で婚約破棄を言い渡された。
だがその途端周囲がざわめき、空気が変わる。
父王も王妃も絶望にへたりこみ、セインの母第三側妃は彼の頬を打ち叱責した後、毒をもって自害する。
そしてバルバラは皇帝の代理人として、パーティ自体をチェイルト王家自体に対する裁判の場に変えるのだった。
番外編1……裁判となった事件の裏側を、その首謀者三人のうちの一人カイシャル・セルーメ視点であちこち移動しながら30年くらいのスパンで描いています。シリアス。
番外編2……マリウラ視点のその後。もう絶対に関わりにならないと思っていたはずの人々が何故か自分のところに相談しにやってくるという。お気楽話。
番外編3……辺境伯令嬢バルバラの動きを、彼女の本当の婚約者で護衛騎士のシェイデンの視点から見た話。番外1の少し後の部分も入ってます。
*カテゴリが恋愛にしてありますが本編においては恋愛要素は薄いです。
*むしろ恋愛は番外編の方に集中しました。
3/31
番外の番外「円盤太陽杯優勝者の供述」短期連載です。
恋愛大賞にひっかからなかったこともあり、カテゴリを変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる