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お茶会ですのよ②

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「それにしても、皇太子め。
 ......俺の体にGPSでも仕込んでんじゃねぇかってくらい、行く先々に居るんだけど」

 心底ゲンナリしたように、彼女は虚ろな笑みを浮かべて言った。

 確かに乙女ゲームなんかでは、吃驚するぐらい都合良く、ヒロインは攻略対象と遭遇する。
 そしてヒロインは運と見た目の愛らしさだけを武器にあっさり攻略対象と恋に落ち、駄目なヒロインダメインだのチョロいヒロインチョロインだのと化すのである。
 ......恐ろしい。

 それに引き換え皇太子様に逢いたいと願う悪役令嬢のレイたんは、可哀想になるくらい彼に逢えない。
 それこそ待ち伏せ待機していても、あっさり彼はそれを回避し、いつの間にやらヒロインとのフラグを乱立させているのだ。
 ......本当に不憫な、レイたん。ホロリ。
 
 でもそこで、ふと思い付いた。

「ねぇ、アリシアちゃん。
 ちょっと、思ったんだけど。
 ......アリシアちゃんとレイたんが常に一緒に居たら、皇太子様を釣れないかな?」

 それを聞き、アリシアちゃんはアイスブルーの瞳をカッと大きく見開くと、バンと机に両手をついて立ち上がった。

「それだ!
 ......確かに俺からしてみたら迷惑でしかねぇこの謎糞スキルも、使い方次第では皇太子ホイホイに使えるかもだな」

 ニヤリと笑うその表情は、あまりにも凶悪だった。
 ......ヒロインというよりも、もはや悪役にしか見えない。

「逃げる事に手一杯で、全然考え付きもしなかったわ。
 でかしたぞ、美里!」

 立ったまま私の頭に手をやり、ワシワシと撫でるアリシアちゃん。

 私の事、犬か何かと勘違いしてないか?

 だけどやっぱり不快では無かったから、おとなしくされるがままにしておいた。
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