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お茶会ですのよ①

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「では私は、これで失礼いたします。
 今日は大切な、約束がありますの」

 麗しき悪役令嬢 レイたんにそう告げて、私は馬車にて帰宅した。
 とはいえ馬車、まだ慣れない。
 ......結構揺れるから、毎回吐きそうになる。

 そして帰宅後、程無くしてアリシアちゃんが邸宅を約束通り訪れてくれた。
 個室に入るまでは可憐で愛らしい貴族令嬢モードだったが、完全に私と二人きりな状況になると、彼女はふぅと大きなため息を吐きニヤリと不敵に笑った。

「今日も、お疲れ!
 それでそっちは何か、進展あったか?」

 メイドが用意してくれたマカロンをひとつ手に取り、一口で頬張ると、彼女は大股を開いた。
 それに少しだけ呆れながらも、紅茶が注がれたカップを手に答えた。

「とりあえず、皇太子様とレイたんは接触させてないから、特に大きく事態は変わっていない......かな?」

 するとアリシアちゃんはむぐむぐと口を動かしながら腕組みをして目を閉じ、何やら考え込んでしまった。

 まつ毛、なっが!肌、しっろ!

 変質者の如き、舐め回すような私の視線に気付いたのか、彼女はスッと瞳を見開き心底げんなりした様子で言った。

「......お前、マジでやべぇな。
 皇太子でもそこまで露骨に、俺の事をじろじろ見てきたりしねぇぞ」

 それからプッと吹き出して、彼はお腹を抱えて爆笑した。
 そんな仕草はご令嬢らしいモノではなかったけれど、何故か目を奪われた。

「こっちは皇太子に捕まりはしたけど、早々に逃げてやった。
 お前と約束があるって言ったら、珍しく素直に引いてくれたよ」

 なおもヒィヒィと笑いながら、彼は言った。

「そうなの?なら私も、少しは役に立てているんだね」

 彼女の言葉に気を良くして、笑顔で答えた。
 するとアリシアちゃんはクスクスと笑いながら、私の頭をくしゃりと撫でてくれた。

「おぅ、勿論!これからも、よろしく頼むわ。
 R指定付きの小説じゃないから、襲われそうになった事は今のところ無いけれど、今後は分からんしな。
 アイツ絶対、ムッツリすけべだもん」

 皇太子が、ムッツリすけべって。
 ......かなり嫌だけれど、それを否定する言葉は残念ながら何一つ浮かばなかった。
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