リバース

ryon*

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エピローグ 神に愛され過ぎた男②

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 境内を出たところで、犬を連れて散歩中のおじいさんに遭遇した。
 無類の犬好きである俺のテンションは、一気に急上昇。

「あっ、木内...見ろよっ!
 …めっちゃ可愛い、あのワンコ。
 トイプーかな?
 うぉ、こっち来たっ!
 ...触っても、いいですか?」

 しゃがみこみ、許可を得られたのでワンコをワシワシと撫でる俺。

 それを木内も途中までは、ニコニコ笑って見守っていたのだけれど。

 俺はスッカリ、忘れてたんだ。
 ...この男の俺に対する、異常なまでの嫉妬深さと、執着心を。

 しばらく愛でさせて貰った後、ワンコに引きずられるようにしておじいさんは行ってしまったから、その場に残されたのは俺と木内の、二人きり。

 ムッ、と唇を尖らせたかと思うと再び神社の方を向き、パン!と両手を合わせ、何やら祈りを捧げる木内アホ
 訳がわからず、ポカンとそれを見上げる俺。

 ...何やってんだ、コイツ?

 でもその、直後。
 ...俺は起きたばかりの予想外過ぎる、あまりにも阿保くさい超常現象に愕然とし、パカリと口を開いた。

 ...そう、木内の頭に大きな耳が、ケツからはもふもふでフッサフサな尻尾が生えたのだ。

「...やっぱり、神様スゲェ。
 大悟...俺、犬になったよっ!
 だから俺の事も、可愛がって?」

 耳と尻尾を手で確認し、嬉しそうに満開の笑みを浮かべ、こてんと首を傾げる金髪碧眼のアホ王子。

「はぁぁぁぁあっ!?」

 思わず大声で、叫んだ。
 有り得ない...有り得なさ過ぎる。
 ...んでもって神様、コイツに甘過ぎんだろ。

 石段の上方を、忌々しい気分で軽く睨み付け、慌てて彼にパーカーのフードを被せて耳を隠させた。

 心底げんなりしながらも、たぶんきっと木内の望みが叶うまでは、前回同様この状況は終わらないであろうと思われる。

 似合っているとはいえ、ずっとこのままというわけにもいくまい。

 喜色満面といった感じで、俺の顔を見下ろす木内。

 それを見てあまりにもバカらしくなり、俺はついまた噴き出して。
 ...そのまま腹を抱えて、爆笑した。

                                                     【...fin】
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