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オムライス①
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「今日は、オムライスでいいか?」
帰りに一緒に寄ったスーパーで、厚切りのベーコンを手に取りながら彼は聞いた。
ベーコンがたっぷり入ったオムライスは僕の、大好物だ。
しかし彼の死後分かった事だが、聡哉はベーコンの脂身が苦手だったらしい。
なのに僕が好きだと言うから、彼が作ってくれるオムライスにはいつも、鶏肉ではなくどっぷりのベーコンが使われていた。
……ホント、馬鹿なヤツ。
だから僕はクスリと笑い、それを彼の手から奪って陳列棚へと戻した。
「うん。聡哉の作ってくれる、オムライス好き。
でもこれからは、鶏肉入りのが食べたい。
……良いよね?」
驚く彼をしり目に、精肉コーナーへと移動する。
「うん、良いけど。
……もしかして、気付いちゃった?」
悪戯がバレた子供みたいに、ベェと舌を出す聡哉。
それがなんだか可笑しくて、また笑った。
「気付かいでか!
もっと早く、言えよな。
別に僕は、鶏肉も好きなんだから」
優しい優しい、僕の親友。
彼にこんなにも甘やかされ、愛されていたんだと思うと、なんだかくすぐったいような、むず痒いような気持ちになる。
……だけどなんだか、嬉しくて。
僕は照れ隠しに彼の持つ買い物カゴをやや乱暴に奪い取り、鶏肉の入ったスチロール容器をポイと入れた。
「ほら、早く!
お腹空いたからさっさと買って、お前んちに行こう」
恐らく真っ赤であろう顔を見せたくなくて、彼の前を足早に歩く僕。
そのあとを追い掛け、慌てて小走りする聡哉。
その時だった。嫌な気配がして、聡哉の頭上にふと目をやるとそこには、小さな小さな悪魔見習いの姿。
ニヤニヤ笑いを浮かべ、興味深そうに僕らを見つめるその視線が不快だったから聡哉にはバレぬよう、こっそりシッシと手で追い払うような動作をしてみせた。
すると悪魔見習いは無言のまま、スッとその姿を消した。
帰りに一緒に寄ったスーパーで、厚切りのベーコンを手に取りながら彼は聞いた。
ベーコンがたっぷり入ったオムライスは僕の、大好物だ。
しかし彼の死後分かった事だが、聡哉はベーコンの脂身が苦手だったらしい。
なのに僕が好きだと言うから、彼が作ってくれるオムライスにはいつも、鶏肉ではなくどっぷりのベーコンが使われていた。
……ホント、馬鹿なヤツ。
だから僕はクスリと笑い、それを彼の手から奪って陳列棚へと戻した。
「うん。聡哉の作ってくれる、オムライス好き。
でもこれからは、鶏肉入りのが食べたい。
……良いよね?」
驚く彼をしり目に、精肉コーナーへと移動する。
「うん、良いけど。
……もしかして、気付いちゃった?」
悪戯がバレた子供みたいに、ベェと舌を出す聡哉。
それがなんだか可笑しくて、また笑った。
「気付かいでか!
もっと早く、言えよな。
別に僕は、鶏肉も好きなんだから」
優しい優しい、僕の親友。
彼にこんなにも甘やかされ、愛されていたんだと思うと、なんだかくすぐったいような、むず痒いような気持ちになる。
……だけどなんだか、嬉しくて。
僕は照れ隠しに彼の持つ買い物カゴをやや乱暴に奪い取り、鶏肉の入ったスチロール容器をポイと入れた。
「ほら、早く!
お腹空いたからさっさと買って、お前んちに行こう」
恐らく真っ赤であろう顔を見せたくなくて、彼の前を足早に歩く僕。
そのあとを追い掛け、慌てて小走りする聡哉。
その時だった。嫌な気配がして、聡哉の頭上にふと目をやるとそこには、小さな小さな悪魔見習いの姿。
ニヤニヤ笑いを浮かべ、興味深そうに僕らを見つめるその視線が不快だったから聡哉にはバレぬよう、こっそりシッシと手で追い払うような動作をしてみせた。
すると悪魔見習いは無言のまま、スッとその姿を消した。
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