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第4章 星降る都市
【172話】 彼の末路
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──ピチャン、ピチャン
水音が滴り落ちる音が響き渡る。
ここはサンスインの地下に存在する地下水道、ここはサンスインだけではなく遠くの都市とも繋がっている。
水路を挟むような形出て人1人が通れるような足場があり、そこを歩く男が1人。
クラディだ。
優斗との戦闘後、負傷した彼はこの場所に来ていた。
「くそっ!あと少しだったというのに!」
横の石のレンガで出来た壁を殴りながら彼は怒りをあらわにする。
ヒョオナを使った計画が成功してさえいれば俺は……
俺は独立集落……都市の外にある村で平和に育った。
父も母も弟もおり、近所のおじさんおばさんとも交流を深めて毎日が平和だった。
魔法の素質があった俺は独学で自身の魔法の理解を深めていつかこの村を襲う奴等からみんなを護るため強くなった。
まぁ平和のままならというかずっと平和であってほしい……ほしかったんだ。
凶震戒の奴等が攻めてきた、俺はこの時のために強くなったんだ!とそう意気込んで奴等に挑んだ。
けれど彼らからボスと呼ばれる仮面の男は強く俺はあっけなく敗北した。
何をされたかなんて今でもわからない、ただ彼が反則級に強い、そうとしか思えなかったんだ。
俺は殺されるのかと思った、けれど俺は……俺だけは殺されなかった。
家族や近所の人達が無残にも殺されていく中、俺は強い、その理由で生かされたんだ。
そしてボスは俺に手を差し伸べて優しげな口調でこう言ったんだ。
「お前は強い、だから皆が望む世界のため、共に戦ってくれないか?
さすればお前の家族も生き返ろう」
ふざけている、自分達で殺しておいて生き返らせる?俺ははらわたが煮えくりかえそうになるのを必死に堪えて、堪えて彼の手を取った。
いつかコイツに復讐してやる、その一心で俺は凶震戒で戦いに明け暮れていた。
続く戦いで俺は村にいた時より格段と強くなっていて俺は十戒士に上り詰めていたのだ。
けれどまだ勝てない、だから俺はまだ力が欲しかった。
そんな時にサンスインの願いを叶える魔法の存在を聞いたんだ。
これならボスを屠る力が手に入る、そして俺の望んだ……争いがなくなって村にいた時みたいに平和に過ごせる世界を目指そうとした。
そしてその結果がこれだ。
あぁ、わかってる。
これ別に正しき行いではない。
俺は自分の村を滅ぼしたボス達が憎い、けれど俺だって自分の願いのために幾つもの都市や集落を壊滅させた。
俺は、俺を憎んでる奴等と同レベルのクズなんだ……
でもその道を選んでしまったんだ。
だから俺は止まれない、止まるわけにはいかないんだ。
あの男をボスは俺が殺す。
俺は知っているあの紳士のような態度や皆が望む世界なんて綺麗事をぬかしているが、俺にはわかる。
あの男にそんな殊勝な心がけなんてない、奴の仮面の奥底にはただ人を殺したいという獣のような欲求しか持ち合わせていない。
あんな気が狂ったか殺人鬼をこのままにしておくわけにはいかない。
「今回が……ダメでも……次こそは……」
壁に寄りかかりながらもゆっくり、ゆっくりと足を前へと進める。
今回の一件でヒョオナを使う作戦をまたやろうとするのは厳しいだろう。
都市の警戒度が上がり、更には俺の部下すらも今はいない。
それでも俺は……
「次なんてあると思っているのですか?」
!!?
声が聞こえてきた、前方暗がりで見えないところから水を踏みつけるよ音が聞こえ、1人の老人が俺の前に現れた。
「お前は……」
こいつは確か、いつぞやの……ユウト達への追撃の際、魔法で妨害をしてきた男!
コイツの実力は未知数……今の魔力が尽きかけた俺でどうにか出来るか?
幸いにもまだ一撃くらいは叩き込める……これなら……
「何者だ」
力を溜めるために多少の時間を稼ぐ。
「……まったく、同僚を前に何者だはないだろ」
突如、俺に応えるような形で老人は言葉を発した……いや、さっきの老人の声とは全く別人の声が老人から聞こえてきた。
するとおもむろに老人は手を自身の顔に近づける。
──ベリッベリベリリッ!!
次の瞬間、老人の顔が剥がされていく。
そして老人の顔だった何がこの男の顔から剥がれて男の素顔が晒される。
「同僚と言っても、俺あんたの魔法とかは知らなかったんだよな」
クラディはその顔を見て溜めていた魔力を解いてしまう……
「……アーサー・ノエル」
クラディの目の前に現れこの都市まで優斗達を送ってきた老人の正体、十戒士が1人アーサー・ノエルだった。
「あぁ、そういえばそうだったな。俺の魔法は物体の変形……さっきまでの顔もその応用で作った。まぁ暑苦しくて仕方なかったけどな」
手で顔を仰ぐような動作をしながら軽い口調で話す。
「それで……何のようだ?もしかして助けてくれるのか?」
こちらの口調も軽く尋ねる。
「ボスからの命令でお前の素行調査と言ったところか、何もなければそれまで。
けれどもし叛逆の意思があるのなら……処刑せよとの事だ」
まぁそうだろうな。
もうすぐボスを倒せる算段がつくと思ってそこの警戒を怠っていた……だから怪しまれた。
おそらく単身で潜入すれば俺が警戒するだろうと踏んでユウト達と共に都市内に入ったのだろう。
そして俺はコイツの前で凶震戒を裏切るとか宣言している。
はっきり言って詰みだ。
「だから俺はお前を処しに来た。俺がお前を倒しても良かったが……
面白いものが見れそうだったからここまで放置しておいた」
淡々と説明するもその表情には喜びが感じられる、彼アーサーは強い者との戦闘を好むそうだ。
そんな彼が目を付けたと言ったら……
「ユウトか……」
「あぁそうだ!アイツはいずれ強き者となる、その時が来れば俺が奴と戦って倒す!
強き者との戦いはいつだって心躍るものだ」
アーサーのテンションは一気に有頂天まで跳ね上がる。
強い者との戦いが好きだと聞いていたがこれほどとはな……
「すまない取り乱した、さてと叛逆者への鉄槌を下すとするか
構えろ元同僚のよしみだ、俺の一撃で葬ってやる」
アーサーは横の壁に手を置きそのまま壁から手を引く。
彼が手を引く後に続くように壁から石製の剣が現れる。
俺は再び魔力を溜める。
勝てるなんて思わない、奴は十戒士において最強に位置する者。
そんな彼に今の俺が勝てるわけがない。
それでも……最後まで足掻いてみよう。
たとえそれが無駄だとしてもこの都市の人間がしたように俺も最後は足掻いて終わろう。
剣はアーサーによって振りかざされる。
彼の周りに広がる光、ここら辺一帯の魔力が大気が震え上がる。
彼が技を放つ前には俺はもう既に溜めた魔力を彼に撃つ。
「──煌めけ」
それは剣の最期の煌めき、たった今作られたばかりの剣はこの一撃に全ての魔力を放ち己の存在を知らしめる。
その一撃の名は──
「──エクス カリバー!!」
解き放たれた魔力の光はクラディの放った魔力を通過しクラディさえも飲み込んでこの空間を光で包み込む。
光の通った道には何もなく、横で通っていた水路の水は蒸発し姿を消していた。
辺りにクラディの魔力はなく、彼の生命はここで終わりを迎えたのだ。
「まったく派手にやってくれる」
そんなアーサーの後ろから声をかける人物がいた。
「もうバレたか……で?何しに来たチャーチス”中隊長"さん??」
アーサーはニヤけながら背後のチャーチスに向かい尋ねる。
「何しにって……そりゃ我が主、セリティアに害を及ぼすであろう存在を放っておくわけないだろ」
チャーチスは人器である槍を構えて戦闘体制を取る。
「ボスからの命令は達成した、これ以上戦う必要はないんだが……まぁそういうわけにもいかないよな。あぁ、いいとも!軽くあしらってやるよ。
それと1つだけ聞かせてくれ、なんで俺に気付いた?」
アーサーは壁から再び剣を取り出す、そして余裕を見せるように剣の剣先をチャーチスに向けながら尋ねる。
チャーチスはいつから自分がアーサーだということを知っていたのか、純粋な疑問である。
「最初から怪しんでたよ……それが確信に変わったのはお前に押されてこの都市に入った時だ。」
チャーチス達がこの都市に入ったのは様子を伺っている時に後ろからアーサーが扮した老人に押されたからである。
「あの時俺は魔力で足を固定させたのにお前が押した時その固定をなかったかのように引き剥がされた。
そんなこと出来るのはかなりの強者だとその時確信した、けれど下手に指摘して敵対されるとまずいと思ったから黙っていた。
何故かは知らないが老人に変装していたお前からは危険を感じられなかったからな」
チャーチスの危険を感知する魔法、それが機能していなかったということは彼にこちらに危害を加えることはないという意思である。
「なるほど、そういうことか!まぁ納得したとかころで……」
彼にとっての謎が解け、アーサーはこちらに笑顔を向ける。
「ヤるとしますか!!」
そうしてアーサーから仕掛け戦闘は開始される。
その数分後……
「……俺の負けだ殺せ」
壁や床が歪な形に変形しまくった水路の壁にもたれかかるように倒れているチャーチスはアーサーにそう言い放つ。
結果は完敗、こちらは完全に戦闘不能にされた状態です相手はほとんど無傷だ。
以前にも戦ったことはあるが、あの時と力の差は全く埋まっていない……
「いや、殺さない。
そもそも俺の今回の役目は終えたんだ、わざわざ殺す動機がない。
それじゃあ俺は帰らせてもらう……
そうだ!ユウトに伝えておいてくれ。
強くなったらその時はよろしくと」
そう言い残してアーサーはその場を去ろうとする。
「あぁ、そうかユウトをご所望か。
そりゃお目が高い、アイツは俺が期待し始めた男だけだからな」
その時に俺はアーサーの後ろ姿を見ながら強気に言い放つ。
アーサーはこちらを振り返りニヤリとだけ笑ってそのまま去っていった。
自分だけがこの空間に残され敗北の悔しさに打ちひしがれるしかなかった。
滴り落ちる水滴が地面へポチャンッと落ちた。
水音が滴り落ちる音が響き渡る。
ここはサンスインの地下に存在する地下水道、ここはサンスインだけではなく遠くの都市とも繋がっている。
水路を挟むような形出て人1人が通れるような足場があり、そこを歩く男が1人。
クラディだ。
優斗との戦闘後、負傷した彼はこの場所に来ていた。
「くそっ!あと少しだったというのに!」
横の石のレンガで出来た壁を殴りながら彼は怒りをあらわにする。
ヒョオナを使った計画が成功してさえいれば俺は……
俺は独立集落……都市の外にある村で平和に育った。
父も母も弟もおり、近所のおじさんおばさんとも交流を深めて毎日が平和だった。
魔法の素質があった俺は独学で自身の魔法の理解を深めていつかこの村を襲う奴等からみんなを護るため強くなった。
まぁ平和のままならというかずっと平和であってほしい……ほしかったんだ。
凶震戒の奴等が攻めてきた、俺はこの時のために強くなったんだ!とそう意気込んで奴等に挑んだ。
けれど彼らからボスと呼ばれる仮面の男は強く俺はあっけなく敗北した。
何をされたかなんて今でもわからない、ただ彼が反則級に強い、そうとしか思えなかったんだ。
俺は殺されるのかと思った、けれど俺は……俺だけは殺されなかった。
家族や近所の人達が無残にも殺されていく中、俺は強い、その理由で生かされたんだ。
そしてボスは俺に手を差し伸べて優しげな口調でこう言ったんだ。
「お前は強い、だから皆が望む世界のため、共に戦ってくれないか?
さすればお前の家族も生き返ろう」
ふざけている、自分達で殺しておいて生き返らせる?俺ははらわたが煮えくりかえそうになるのを必死に堪えて、堪えて彼の手を取った。
いつかコイツに復讐してやる、その一心で俺は凶震戒で戦いに明け暮れていた。
続く戦いで俺は村にいた時より格段と強くなっていて俺は十戒士に上り詰めていたのだ。
けれどまだ勝てない、だから俺はまだ力が欲しかった。
そんな時にサンスインの願いを叶える魔法の存在を聞いたんだ。
これならボスを屠る力が手に入る、そして俺の望んだ……争いがなくなって村にいた時みたいに平和に過ごせる世界を目指そうとした。
そしてその結果がこれだ。
あぁ、わかってる。
これ別に正しき行いではない。
俺は自分の村を滅ぼしたボス達が憎い、けれど俺だって自分の願いのために幾つもの都市や集落を壊滅させた。
俺は、俺を憎んでる奴等と同レベルのクズなんだ……
でもその道を選んでしまったんだ。
だから俺は止まれない、止まるわけにはいかないんだ。
あの男をボスは俺が殺す。
俺は知っているあの紳士のような態度や皆が望む世界なんて綺麗事をぬかしているが、俺にはわかる。
あの男にそんな殊勝な心がけなんてない、奴の仮面の奥底にはただ人を殺したいという獣のような欲求しか持ち合わせていない。
あんな気が狂ったか殺人鬼をこのままにしておくわけにはいかない。
「今回が……ダメでも……次こそは……」
壁に寄りかかりながらもゆっくり、ゆっくりと足を前へと進める。
今回の一件でヒョオナを使う作戦をまたやろうとするのは厳しいだろう。
都市の警戒度が上がり、更には俺の部下すらも今はいない。
それでも俺は……
「次なんてあると思っているのですか?」
!!?
声が聞こえてきた、前方暗がりで見えないところから水を踏みつけるよ音が聞こえ、1人の老人が俺の前に現れた。
「お前は……」
こいつは確か、いつぞやの……ユウト達への追撃の際、魔法で妨害をしてきた男!
コイツの実力は未知数……今の魔力が尽きかけた俺でどうにか出来るか?
幸いにもまだ一撃くらいは叩き込める……これなら……
「何者だ」
力を溜めるために多少の時間を稼ぐ。
「……まったく、同僚を前に何者だはないだろ」
突如、俺に応えるような形で老人は言葉を発した……いや、さっきの老人の声とは全く別人の声が老人から聞こえてきた。
するとおもむろに老人は手を自身の顔に近づける。
──ベリッベリベリリッ!!
次の瞬間、老人の顔が剥がされていく。
そして老人の顔だった何がこの男の顔から剥がれて男の素顔が晒される。
「同僚と言っても、俺あんたの魔法とかは知らなかったんだよな」
クラディはその顔を見て溜めていた魔力を解いてしまう……
「……アーサー・ノエル」
クラディの目の前に現れこの都市まで優斗達を送ってきた老人の正体、十戒士が1人アーサー・ノエルだった。
「あぁ、そういえばそうだったな。俺の魔法は物体の変形……さっきまでの顔もその応用で作った。まぁ暑苦しくて仕方なかったけどな」
手で顔を仰ぐような動作をしながら軽い口調で話す。
「それで……何のようだ?もしかして助けてくれるのか?」
こちらの口調も軽く尋ねる。
「ボスからの命令でお前の素行調査と言ったところか、何もなければそれまで。
けれどもし叛逆の意思があるのなら……処刑せよとの事だ」
まぁそうだろうな。
もうすぐボスを倒せる算段がつくと思ってそこの警戒を怠っていた……だから怪しまれた。
おそらく単身で潜入すれば俺が警戒するだろうと踏んでユウト達と共に都市内に入ったのだろう。
そして俺はコイツの前で凶震戒を裏切るとか宣言している。
はっきり言って詰みだ。
「だから俺はお前を処しに来た。俺がお前を倒しても良かったが……
面白いものが見れそうだったからここまで放置しておいた」
淡々と説明するもその表情には喜びが感じられる、彼アーサーは強い者との戦闘を好むそうだ。
そんな彼が目を付けたと言ったら……
「ユウトか……」
「あぁそうだ!アイツはいずれ強き者となる、その時が来れば俺が奴と戦って倒す!
強き者との戦いはいつだって心躍るものだ」
アーサーのテンションは一気に有頂天まで跳ね上がる。
強い者との戦いが好きだと聞いていたがこれほどとはな……
「すまない取り乱した、さてと叛逆者への鉄槌を下すとするか
構えろ元同僚のよしみだ、俺の一撃で葬ってやる」
アーサーは横の壁に手を置きそのまま壁から手を引く。
彼が手を引く後に続くように壁から石製の剣が現れる。
俺は再び魔力を溜める。
勝てるなんて思わない、奴は十戒士において最強に位置する者。
そんな彼に今の俺が勝てるわけがない。
それでも……最後まで足掻いてみよう。
たとえそれが無駄だとしてもこの都市の人間がしたように俺も最後は足掻いて終わろう。
剣はアーサーによって振りかざされる。
彼の周りに広がる光、ここら辺一帯の魔力が大気が震え上がる。
彼が技を放つ前には俺はもう既に溜めた魔力を彼に撃つ。
「──煌めけ」
それは剣の最期の煌めき、たった今作られたばかりの剣はこの一撃に全ての魔力を放ち己の存在を知らしめる。
その一撃の名は──
「──エクス カリバー!!」
解き放たれた魔力の光はクラディの放った魔力を通過しクラディさえも飲み込んでこの空間を光で包み込む。
光の通った道には何もなく、横で通っていた水路の水は蒸発し姿を消していた。
辺りにクラディの魔力はなく、彼の生命はここで終わりを迎えたのだ。
「まったく派手にやってくれる」
そんなアーサーの後ろから声をかける人物がいた。
「もうバレたか……で?何しに来たチャーチス”中隊長"さん??」
アーサーはニヤけながら背後のチャーチスに向かい尋ねる。
「何しにって……そりゃ我が主、セリティアに害を及ぼすであろう存在を放っておくわけないだろ」
チャーチスは人器である槍を構えて戦闘体制を取る。
「ボスからの命令は達成した、これ以上戦う必要はないんだが……まぁそういうわけにもいかないよな。あぁ、いいとも!軽くあしらってやるよ。
それと1つだけ聞かせてくれ、なんで俺に気付いた?」
アーサーは壁から再び剣を取り出す、そして余裕を見せるように剣の剣先をチャーチスに向けながら尋ねる。
チャーチスはいつから自分がアーサーだということを知っていたのか、純粋な疑問である。
「最初から怪しんでたよ……それが確信に変わったのはお前に押されてこの都市に入った時だ。」
チャーチス達がこの都市に入ったのは様子を伺っている時に後ろからアーサーが扮した老人に押されたからである。
「あの時俺は魔力で足を固定させたのにお前が押した時その固定をなかったかのように引き剥がされた。
そんなこと出来るのはかなりの強者だとその時確信した、けれど下手に指摘して敵対されるとまずいと思ったから黙っていた。
何故かは知らないが老人に変装していたお前からは危険を感じられなかったからな」
チャーチスの危険を感知する魔法、それが機能していなかったということは彼にこちらに危害を加えることはないという意思である。
「なるほど、そういうことか!まぁ納得したとかころで……」
彼にとっての謎が解け、アーサーはこちらに笑顔を向ける。
「ヤるとしますか!!」
そうしてアーサーから仕掛け戦闘は開始される。
その数分後……
「……俺の負けだ殺せ」
壁や床が歪な形に変形しまくった水路の壁にもたれかかるように倒れているチャーチスはアーサーにそう言い放つ。
結果は完敗、こちらは完全に戦闘不能にされた状態です相手はほとんど無傷だ。
以前にも戦ったことはあるが、あの時と力の差は全く埋まっていない……
「いや、殺さない。
そもそも俺の今回の役目は終えたんだ、わざわざ殺す動機がない。
それじゃあ俺は帰らせてもらう……
そうだ!ユウトに伝えておいてくれ。
強くなったらその時はよろしくと」
そう言い残してアーサーはその場を去ろうとする。
「あぁ、そうかユウトをご所望か。
そりゃお目が高い、アイツは俺が期待し始めた男だけだからな」
その時に俺はアーサーの後ろ姿を見ながら強気に言い放つ。
アーサーはこちらを振り返りニヤリとだけ笑ってそのまま去っていった。
自分だけがこの空間に残され敗北の悔しさに打ちひしがれるしかなかった。
滴り落ちる水滴が地面へポチャンッと落ちた。
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