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第3章 パゼーレ魔法騎士団
【113話】 優斗VSジーリッチ
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デイとアベーレスの場面からユウトとジーリッチの場面へと移る。
両者武器を構えて動かずにいる、お互いがお互いに相手を強者と認めているからこそ無闇に手を出せないでいるのだ。
このまま停滞しているだけで優斗の時間稼ぎの役目は全うできる。
けどそれだけじゃ優斗の気が治らない。
この老人には昨日少し痛い目にあわされている、それにヴァーリンの一件についても少しイラついている。
このままここで立っているだけというのは彼の性に合わなかった。
そして優斗は動き出したのだ。
「自ら動くとは!!」
行動を起こした優斗に対してジーリッチは驚く。
さっきの睨み合いの状況は優斗にとってもかなりのいい状況だったはず。
それを自ら捨てて自分に向かってくることにジーリッチは驚いていたのだ。
「ならば迎え撃つまで!!」
ジーリッチは人器である木刀を片手に自分に向かってくる優斗に迎え撃つ。
優斗の2つの短剣とジーリッチの木刀がぶつかり合う、互いに力は拮抗しており膠着状態になる。
しかしこの状況では優斗が有利を取れる、なぜなら──
「くっ……!!」
ジーリッチは自分に向かって飛んでくる飛翔体をかわすように背後に飛ぶ、そうこれは優斗の短剣の3本目である。
「こしゃくな……ならばっ!」
さらにジーリッチに追い討ちをかけようと優斗は踏み込んだが、その時にはその場にはジーリッチはいなかった。
「なっ──!!」
まさか逃げた!?そう思った次の瞬間だった。
背後から俺への敵意を感じ、咄嗟に振り返り短剣で斬りつける。
たった一瞬だが、人影が見えたと思った瞬間に武器同士がぶつかり合うような感覚に襲われる。
その時即座に理解する。
ジーリッチは逃げたのではない、この部屋を高速で駆け回っているのだと。
ジーリッチは床、天井、壁を蹴り加速して俺へと襲い掛かっているのだ。
おそらくこれはジーリッチの魔法ではないだろう、これはジーリッチが長い年月鍛え上げて得た力……
俺は高速で動くジーリッチに対してジン器3本でもギリギリ防ぐ事に手一杯になっていた。
「その飛んでる刀が邪魔じゃな、では!」
部屋の至る所からジーリッチの声が聞こえてくる。
そしてさっきまで目視出来ていた宙に浮かせていた灰色の短剣が姿を消した。
姿を消した短剣はすぐに見つけられた、しかし……
短剣は俺の後ろのの壁に深く突き刺さっていたのだ。
俺はすぐに短剣が刺さっている壁へ走り短剣を壁から抜こうとする。
しかし短剣は余程深く突き刺さっているのか少し引っこ抜こうとしたくらいでは抜ける様子は無かった。
なら強い力をかければ……そうしようとしてもジーリッチからの攻撃が四方八方から飛んできてそれどころでは無いったのだ。
さっきまでは3本で拮抗出来ていたのにそれから1本減ったとなれば状況が変わってくる。
段々とジーリッチの攻撃を被弾するようになってくる。
右、上、左下、後ろ……予測出来ない箇所からの攻撃もあり優斗は体制を崩す。
その瞬間をジーリッチが見逃すはずはなく、強い打撃が優斗の腹部を襲った。
「がっ……」
優斗は打撃の衝撃で壁に飛ばされ、そしてそのまま壁を突き破り隣の部屋まで飛ばされて行ってしまった。
優斗は飛ばされた部屋を見た。
そこにあったのは金の斧、白銀の刀、黒い槍などなど数えきれないほどの武器が所狭しと置かれていたのだ。
そしてそれら武器には使用された形跡が残っているようだった。
「ここはワシの武器庫じゃ……」
背後からジーリッチが語りかけてくる。
この部屋の所有者は自分だとそう言ったのだ。
これほどの武器を一人で扱っているのか?そんなことが……
「そしてお主の終焉の場じゃ」
後ろからジーリッチの声がした途端、部屋にある武器が動き始め宙に舞った。
優斗は後ろを振り返りジーリッチを見る、そこにいたのは部屋中の武器を自分の身の回りに浮かせ武器の矛先を全てこちらに向けているジーリッチがいた。
「これがワシの魔法じゃ、所有している武器を自由自在に操れる……つまるところお主のその刀の上位互換じゃ諦める事じゃな」
ジーリッチは数の優位を感じて勝ち誇った表情をした。
確かにそちらはおそらく数十を超えるほど多くの武器、対してこちらは3本だけでしかも1本は現在使用することが出来ない。
不利なのはそうなのだろう、けれども勝ち目がないわけでない。
「さぁそれはどうかな?」
俺はジーリッチを挑発するような態度をとる。
「そうかならば串刺しじゃな」
そう一言だけ言いジーリッチは宙に浮かせていた武器を全て俺へと放った。
それはまるで武器による榴散弾のようだった。
そして数多の武器に対し、俺はジン器一つで対処をする。
「加速しろ……俺の体!」
魔力を回す。
これはこの男に勝つ為に!勝利を掴み取る為に!これから俺に向かってくる武器に対応する為に!!
ジーリッチの武器が俺へと到達しようとするその瞬間に俺は短剣で武器を撃ち落とす。
「速っ……!」
ジーリッチは驚きで思わず声を上げる。
その時の優斗の武器を撃ち落とす速さは腕の動きや優斗の持っているジン器が見えないほど加速していたのだ。
1つ1つ向かってくる武器を見極め弾く、1個の武器に割ける時間と余裕は少ない。
良かったのはどうやらジーリッチはこの魔法を使っている際はその場に留まっているところだろう。
完全に消耗戦を覚悟の上での攻防だ。
この男に勝つ為に集中し見極めろ!そして勝利を掴み取れ!
「まぁ速いと言ってもこのままワシの武器を捌けるはずもない、体力が尽きて終い……えっ?」
武器の攻撃が止んだ。
どうやらジーリッチは一瞬だが俺への違和感に気付いたらしい。
「お主……武器片っぽ違くないか?」
震えながら俺が握っている武器を指差すジーリッチ、そのジーリッチが指を差している俺が握っている武器は黒の短剣と……
さっきまでこの部屋にあった白銀の刀だったのだ。
「あぁ、これ?少し借りた」
その瞬間ジーリッチの背後から何かが迫っていた。
それを咄嗟にジーリッチは振り返り木刀にて撃ち落とした。
「甘く見るなよ小僧、背後から奇襲してくるなんて咄嗟に対応出来るわい!
いつの間にワシの後ろに白い方の刀を……あれ?……この刀、灰色?」
ジーリッチが白い短剣だと思って撃ち落とした刀は、さっきジーリッチが隣の部屋で壁に突き刺したはずの灰色の短剣だったのだ。
それじゃあ白い短剣はどこに行ったかというと……
「ど、どこじゃ!?もう一本はどこ……グハァッ!!??」
周りを見回し白の短剣を探していたジーリッチのその頭上から何か降って来てちょうどジーリッチの頭部に激突する。
ジーリッチは頭部の衝撃でよろめきながらも降って来た物の正体を見た。
それは自分が探していた優斗の白い短剣が柄の部分を下にして落ちて来ていたのだ。
そう優斗はジーリッチの武器たちを弾く際に咄嗟に白の短剣を手放して飛んできた白銀の刀を掴んでそのまま使用していたのだ。
その後、白の短剣を先程の部屋の灰色の短剣が突き刺さる壁に動かし壁を破壊しながら灰色の短剣を取り出すことに成功していたのだ。
「この……小癪な……」
なんとか体制を立て直そうとするジーリッチだったがこのチャンスを優斗が逃すはずもなかった。
即座にジーリッチの目の前にまで踏み込み脚をギュッとたたみ。
「昨日のお返しだ!」
ジーリッチの腹部目掛けて風の魔力で加速された鋭い蹴りが炸裂し、そのままジーリッチは蹴り飛ばされた反動で後方の壁に衝突、以降複数の壁や部屋を突き破っていったのだった。
「俺の勝ちだな」
優斗はジーリッチが吹き飛ばされていった部屋まで行き、壁にもたれかかるジーリッチを見ながらそう呟いた。
「あぁ……そのようじゃの……全くか弱い年寄りになんて事してくれたのじゃ」
「あんたをか弱い扱いは出来ないだろ」
「はははっそうじゃの……ワシらはただ、ヴァーリンの事を思っていただけなんじゃよ」
ジーリッチは少し笑った後、顔を下に向け静かに語った。
確かに子供や孫を危険な目に合わせたくないそれは大人としての責務なのだろう。
けれども……
「あんたらの気持ちは少しはわかる、だけどな……ヴァーリンの意思も尊重してやれよ」
その親切心には本人の意思が関わっていない、親からの押し付けだけじゃ子供は成長しないのだ。
「まぁそうじゃな……やれやれ、とりあえずこの馬鹿げた喧嘩を終らせるかの」
ジーリッチはそう立ちあがろうとした瞬間だった……
「──伏せろっ!!」
優斗は何かを感じた……とてつもなく恐怖そして殺意を……
優斗はジーリッチに覆いかぶさるように倒れ込む。
そして次の瞬間、爆音と共に2人のいる部屋の壁が吹き飛んでいった。
両者武器を構えて動かずにいる、お互いがお互いに相手を強者と認めているからこそ無闇に手を出せないでいるのだ。
このまま停滞しているだけで優斗の時間稼ぎの役目は全うできる。
けどそれだけじゃ優斗の気が治らない。
この老人には昨日少し痛い目にあわされている、それにヴァーリンの一件についても少しイラついている。
このままここで立っているだけというのは彼の性に合わなかった。
そして優斗は動き出したのだ。
「自ら動くとは!!」
行動を起こした優斗に対してジーリッチは驚く。
さっきの睨み合いの状況は優斗にとってもかなりのいい状況だったはず。
それを自ら捨てて自分に向かってくることにジーリッチは驚いていたのだ。
「ならば迎え撃つまで!!」
ジーリッチは人器である木刀を片手に自分に向かってくる優斗に迎え撃つ。
優斗の2つの短剣とジーリッチの木刀がぶつかり合う、互いに力は拮抗しており膠着状態になる。
しかしこの状況では優斗が有利を取れる、なぜなら──
「くっ……!!」
ジーリッチは自分に向かって飛んでくる飛翔体をかわすように背後に飛ぶ、そうこれは優斗の短剣の3本目である。
「こしゃくな……ならばっ!」
さらにジーリッチに追い討ちをかけようと優斗は踏み込んだが、その時にはその場にはジーリッチはいなかった。
「なっ──!!」
まさか逃げた!?そう思った次の瞬間だった。
背後から俺への敵意を感じ、咄嗟に振り返り短剣で斬りつける。
たった一瞬だが、人影が見えたと思った瞬間に武器同士がぶつかり合うような感覚に襲われる。
その時即座に理解する。
ジーリッチは逃げたのではない、この部屋を高速で駆け回っているのだと。
ジーリッチは床、天井、壁を蹴り加速して俺へと襲い掛かっているのだ。
おそらくこれはジーリッチの魔法ではないだろう、これはジーリッチが長い年月鍛え上げて得た力……
俺は高速で動くジーリッチに対してジン器3本でもギリギリ防ぐ事に手一杯になっていた。
「その飛んでる刀が邪魔じゃな、では!」
部屋の至る所からジーリッチの声が聞こえてくる。
そしてさっきまで目視出来ていた宙に浮かせていた灰色の短剣が姿を消した。
姿を消した短剣はすぐに見つけられた、しかし……
短剣は俺の後ろのの壁に深く突き刺さっていたのだ。
俺はすぐに短剣が刺さっている壁へ走り短剣を壁から抜こうとする。
しかし短剣は余程深く突き刺さっているのか少し引っこ抜こうとしたくらいでは抜ける様子は無かった。
なら強い力をかければ……そうしようとしてもジーリッチからの攻撃が四方八方から飛んできてそれどころでは無いったのだ。
さっきまでは3本で拮抗出来ていたのにそれから1本減ったとなれば状況が変わってくる。
段々とジーリッチの攻撃を被弾するようになってくる。
右、上、左下、後ろ……予測出来ない箇所からの攻撃もあり優斗は体制を崩す。
その瞬間をジーリッチが見逃すはずはなく、強い打撃が優斗の腹部を襲った。
「がっ……」
優斗は打撃の衝撃で壁に飛ばされ、そしてそのまま壁を突き破り隣の部屋まで飛ばされて行ってしまった。
優斗は飛ばされた部屋を見た。
そこにあったのは金の斧、白銀の刀、黒い槍などなど数えきれないほどの武器が所狭しと置かれていたのだ。
そしてそれら武器には使用された形跡が残っているようだった。
「ここはワシの武器庫じゃ……」
背後からジーリッチが語りかけてくる。
この部屋の所有者は自分だとそう言ったのだ。
これほどの武器を一人で扱っているのか?そんなことが……
「そしてお主の終焉の場じゃ」
後ろからジーリッチの声がした途端、部屋にある武器が動き始め宙に舞った。
優斗は後ろを振り返りジーリッチを見る、そこにいたのは部屋中の武器を自分の身の回りに浮かせ武器の矛先を全てこちらに向けているジーリッチがいた。
「これがワシの魔法じゃ、所有している武器を自由自在に操れる……つまるところお主のその刀の上位互換じゃ諦める事じゃな」
ジーリッチは数の優位を感じて勝ち誇った表情をした。
確かにそちらはおそらく数十を超えるほど多くの武器、対してこちらは3本だけでしかも1本は現在使用することが出来ない。
不利なのはそうなのだろう、けれども勝ち目がないわけでない。
「さぁそれはどうかな?」
俺はジーリッチを挑発するような態度をとる。
「そうかならば串刺しじゃな」
そう一言だけ言いジーリッチは宙に浮かせていた武器を全て俺へと放った。
それはまるで武器による榴散弾のようだった。
そして数多の武器に対し、俺はジン器一つで対処をする。
「加速しろ……俺の体!」
魔力を回す。
これはこの男に勝つ為に!勝利を掴み取る為に!これから俺に向かってくる武器に対応する為に!!
ジーリッチの武器が俺へと到達しようとするその瞬間に俺は短剣で武器を撃ち落とす。
「速っ……!」
ジーリッチは驚きで思わず声を上げる。
その時の優斗の武器を撃ち落とす速さは腕の動きや優斗の持っているジン器が見えないほど加速していたのだ。
1つ1つ向かってくる武器を見極め弾く、1個の武器に割ける時間と余裕は少ない。
良かったのはどうやらジーリッチはこの魔法を使っている際はその場に留まっているところだろう。
完全に消耗戦を覚悟の上での攻防だ。
この男に勝つ為に集中し見極めろ!そして勝利を掴み取れ!
「まぁ速いと言ってもこのままワシの武器を捌けるはずもない、体力が尽きて終い……えっ?」
武器の攻撃が止んだ。
どうやらジーリッチは一瞬だが俺への違和感に気付いたらしい。
「お主……武器片っぽ違くないか?」
震えながら俺が握っている武器を指差すジーリッチ、そのジーリッチが指を差している俺が握っている武器は黒の短剣と……
さっきまでこの部屋にあった白銀の刀だったのだ。
「あぁ、これ?少し借りた」
その瞬間ジーリッチの背後から何かが迫っていた。
それを咄嗟にジーリッチは振り返り木刀にて撃ち落とした。
「甘く見るなよ小僧、背後から奇襲してくるなんて咄嗟に対応出来るわい!
いつの間にワシの後ろに白い方の刀を……あれ?……この刀、灰色?」
ジーリッチが白い短剣だと思って撃ち落とした刀は、さっきジーリッチが隣の部屋で壁に突き刺したはずの灰色の短剣だったのだ。
それじゃあ白い短剣はどこに行ったかというと……
「ど、どこじゃ!?もう一本はどこ……グハァッ!!??」
周りを見回し白の短剣を探していたジーリッチのその頭上から何か降って来てちょうどジーリッチの頭部に激突する。
ジーリッチは頭部の衝撃でよろめきながらも降って来た物の正体を見た。
それは自分が探していた優斗の白い短剣が柄の部分を下にして落ちて来ていたのだ。
そう優斗はジーリッチの武器たちを弾く際に咄嗟に白の短剣を手放して飛んできた白銀の刀を掴んでそのまま使用していたのだ。
その後、白の短剣を先程の部屋の灰色の短剣が突き刺さる壁に動かし壁を破壊しながら灰色の短剣を取り出すことに成功していたのだ。
「この……小癪な……」
なんとか体制を立て直そうとするジーリッチだったがこのチャンスを優斗が逃すはずもなかった。
即座にジーリッチの目の前にまで踏み込み脚をギュッとたたみ。
「昨日のお返しだ!」
ジーリッチの腹部目掛けて風の魔力で加速された鋭い蹴りが炸裂し、そのままジーリッチは蹴り飛ばされた反動で後方の壁に衝突、以降複数の壁や部屋を突き破っていったのだった。
「俺の勝ちだな」
優斗はジーリッチが吹き飛ばされていった部屋まで行き、壁にもたれかかるジーリッチを見ながらそう呟いた。
「あぁ……そのようじゃの……全くか弱い年寄りになんて事してくれたのじゃ」
「あんたをか弱い扱いは出来ないだろ」
「はははっそうじゃの……ワシらはただ、ヴァーリンの事を思っていただけなんじゃよ」
ジーリッチは少し笑った後、顔を下に向け静かに語った。
確かに子供や孫を危険な目に合わせたくないそれは大人としての責務なのだろう。
けれども……
「あんたらの気持ちは少しはわかる、だけどな……ヴァーリンの意思も尊重してやれよ」
その親切心には本人の意思が関わっていない、親からの押し付けだけじゃ子供は成長しないのだ。
「まぁそうじゃな……やれやれ、とりあえずこの馬鹿げた喧嘩を終らせるかの」
ジーリッチはそう立ちあがろうとした瞬間だった……
「──伏せろっ!!」
優斗は何かを感じた……とてつもなく恐怖そして殺意を……
優斗はジーリッチに覆いかぶさるように倒れ込む。
そして次の瞬間、爆音と共に2人のいる部屋の壁が吹き飛んでいった。
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