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第2章 マジックフェスティバル
【55話】 しばしの休息
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審判が俺の勝利宣言をする。
『けっ、決着!決着ニャァ!!勝者はユウト選手!!ゲドウ選手を相手に完勝ニャァ!』
実況席から驚くような声が聞こえる。
俺は壁にもたれかかっているレイナを攫うように命令したであろう男を見下ろす。
レイナを攫った事に怒りを感じて、俺はこの男を何度も殴り蹴った。
特にスカッとしたという感情はなかった。
この男を殴った拳には魔力を乗せていない。だって弱そうだったから。もし魔力を込めて殴っていたら死んでしまうかもしれないから。
俺は倒れている男を背にしてグラウンドから立ち去った。
グラウンドから廊下へ出るとそこにはデイが待っていた。
「何はともあれ、3回戦出場おめでとう!」
廊下のど真ん中で立っていたデイが俺に賞賛してくれた。
「そういうお前も、試合この後だろ?頑張れよ。」
そう、次の試合はデイが戦う事になっていて、俺はその激励をした。
「あぁ、絶対勝ってお前とまた戦ってやる。」
デイは強気に、自信満々で答える。
それっていわゆるフラグって奴なのでは?と一瞬思ったが、その考えを振り払って。
「期待してるぜ。」
そして言葉を交わし終わった後、俺たちはすれ違って互いに反対方向へと向かった。
デイの試合を観る為に俺は観客席の方へと向かう。その最中、係員に呼び止められる。
「お疲れ様でした!本日はもう一戦やりますので、試作の魔力回復剤をお取りください。」
と何やら液体が入っている白い瓶を1つ俺に手渡してきた。
「……大丈夫?何か変な物入ってない?」
瓶を遠ざけるように持ちながら、俺は怪しむように言った。もしかしたら毒とか入っているかもしれない。
「いえいえそんな、少量ですが魔力を回復させることが出来ますので……3回戦目が始まる前には飲んでいただきたく……」
この係員の態度からは怪しさは伺えない、まぁ受け取るだけ受け取っておくか。
「……わかったありがたく受け取っておきます。」
ご好意に甘え、瓶を持ったまま観客席へと向かった。
「おーい!!ユート!!」
観客席へ着くとすぐに俺を呼ぶ声がした。
その呼び声がする方へ顔を向けると、そこにはさっきまでゲドウの策略により捕まっていたレイナが元気そうに手を振っていたのた。
「だ、大丈夫かレイナ?」
レイナがいる席に近づきながら、心配するように言う。
「うん、私は大丈夫だよ!」
俺の問いかけに対して明るく応えてくるレイナ。凄い明るいな。
「あれ?私もいるんですけど?」
「ぼぉくもいますよぉ。」
ヴァーリンとパートリーが顔を出して、いますよアピールをしてきた。
それに応えてながら俺は観客席についてデイの試合が始まるのを待つ。
「……あれ?ユートそれは?」
レイナが俺の手に持っている瓶に気が付いて瓶に指を刺して聞いてきた。
「ん?これか、さっき係員さんにもらった魔力を回復させるっていうやつらしいんだけど。」
俺はこの瓶について話した。
「あーそれですか……」
ヴァーリンは何か知っているのか顔を背けてしまう。
いったいなんなのだろうか?まぁせっかくこれについて触れたんだし、飲むとするか。
そう思って俺は瓶の蓋を取り、そのまま一気に飲み干した。
だが飲んだ瞬間、口の中が地獄と化した。
まるで雑草のような青臭さにものすっごく苦いのと酸っぱいのが混ざりあったかのような感覚が口の中いっぱいに広かった。
一言で言うと……
「まっずっっ!!」
『けっ、決着!決着ニャァ!!勝者はユウト選手!!ゲドウ選手を相手に完勝ニャァ!』
実況席から驚くような声が聞こえる。
俺は壁にもたれかかっているレイナを攫うように命令したであろう男を見下ろす。
レイナを攫った事に怒りを感じて、俺はこの男を何度も殴り蹴った。
特にスカッとしたという感情はなかった。
この男を殴った拳には魔力を乗せていない。だって弱そうだったから。もし魔力を込めて殴っていたら死んでしまうかもしれないから。
俺は倒れている男を背にしてグラウンドから立ち去った。
グラウンドから廊下へ出るとそこにはデイが待っていた。
「何はともあれ、3回戦出場おめでとう!」
廊下のど真ん中で立っていたデイが俺に賞賛してくれた。
「そういうお前も、試合この後だろ?頑張れよ。」
そう、次の試合はデイが戦う事になっていて、俺はその激励をした。
「あぁ、絶対勝ってお前とまた戦ってやる。」
デイは強気に、自信満々で答える。
それっていわゆるフラグって奴なのでは?と一瞬思ったが、その考えを振り払って。
「期待してるぜ。」
そして言葉を交わし終わった後、俺たちはすれ違って互いに反対方向へと向かった。
デイの試合を観る為に俺は観客席の方へと向かう。その最中、係員に呼び止められる。
「お疲れ様でした!本日はもう一戦やりますので、試作の魔力回復剤をお取りください。」
と何やら液体が入っている白い瓶を1つ俺に手渡してきた。
「……大丈夫?何か変な物入ってない?」
瓶を遠ざけるように持ちながら、俺は怪しむように言った。もしかしたら毒とか入っているかもしれない。
「いえいえそんな、少量ですが魔力を回復させることが出来ますので……3回戦目が始まる前には飲んでいただきたく……」
この係員の態度からは怪しさは伺えない、まぁ受け取るだけ受け取っておくか。
「……わかったありがたく受け取っておきます。」
ご好意に甘え、瓶を持ったまま観客席へと向かった。
「おーい!!ユート!!」
観客席へ着くとすぐに俺を呼ぶ声がした。
その呼び声がする方へ顔を向けると、そこにはさっきまでゲドウの策略により捕まっていたレイナが元気そうに手を振っていたのた。
「だ、大丈夫かレイナ?」
レイナがいる席に近づきながら、心配するように言う。
「うん、私は大丈夫だよ!」
俺の問いかけに対して明るく応えてくるレイナ。凄い明るいな。
「あれ?私もいるんですけど?」
「ぼぉくもいますよぉ。」
ヴァーリンとパートリーが顔を出して、いますよアピールをしてきた。
それに応えてながら俺は観客席についてデイの試合が始まるのを待つ。
「……あれ?ユートそれは?」
レイナが俺の手に持っている瓶に気が付いて瓶に指を刺して聞いてきた。
「ん?これか、さっき係員さんにもらった魔力を回復させるっていうやつらしいんだけど。」
俺はこの瓶について話した。
「あーそれですか……」
ヴァーリンは何か知っているのか顔を背けてしまう。
いったいなんなのだろうか?まぁせっかくこれについて触れたんだし、飲むとするか。
そう思って俺は瓶の蓋を取り、そのまま一気に飲み干した。
だが飲んだ瞬間、口の中が地獄と化した。
まるで雑草のような青臭さにものすっごく苦いのと酸っぱいのが混ざりあったかのような感覚が口の中いっぱいに広かった。
一言で言うと……
「まっずっっ!!」
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