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悪魔の力を借りましょう
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しおりを挟むそれから一か月。
私は、ロバート様との回復魔法のレッスンに毎日明け暮れていた。勿論、レッスンの時はジルかテトが必ず同行してくれている。
「もう最終段階だね。」
ロバート様は、よく頑張ったね、と私の頭を撫でようと手を伸ばした。だが、その手をジルがペシリと跳ね除けた。
「触るなと言ってるだろう。」
「んもう、過保護なんだから!」
不満そうに口を尖らせたロバート様と、今にも噛みつきそうなジルの間に立たされるのも、この一ヶ月でもう慣れた。私は話題を変えようと、声を掛けた。
「ロバート様、最終段階と言うのは?」
「ああ。今までは基礎編だったんだ。それがもう終わりってこと。」
この一ヶ月、初めは萎れた小さな草花から、徐々に大きな植物に変わり、小さな動物に変わり……回復魔法を掛ける対象が少しずつレベルアップしていた。
「もう、僕たちと同じ猫に回復魔法を掛けても問題無いと思うんだけど……違う問題があるんだよねぇ。」
「違う問題?」
「力をつけるためには、実際に他の猫達に回復魔法を掛けて練習してほしい。だけど、そうするとサチがバレたくない相手に存在がバレてしまうかもしれない。」
ひやりと、全身が冷たくなった。固まってしまった私を見て、ジルの手が優しく私の背中を撫でた。ロバート様も、私の顔色に気付き、にこりと笑った。
「どうしたら良いか、少し考えるよ。心配しないで。」
二人に守られていることが、有難いのに、自分が情けなくて、私は声も出さずこくりと小さく頷いた。
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