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ハリーside

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、美しかったわね。」

 キャシーの夫の宝石店に、指輪を受け取りに行くと、キャシーが待ち構えていた。

「あれほど美しければ、ハリーが囲うのもよく分かったわ。」

 ケラケラと笑いながら、俺を揶揄うキャシーを思わず睨み付ける。俺と同期だったキャシーは、年齢よりもずっと若く見える美女だと巷では噂らしい。俺からしたら、全く良さは分からないが、同期ということで気安い仲ではある。


「ハリー、あなたが囲っているのはもう社交界では噂になっているわよ。かなりのお誘いを断っているでしょう。」

 多くの貴族が、ハワード公爵家には畏れ多くて出せない招待状も、伯爵家には出しやすいらしい。俺を通して、シャーロットと近づきたい輩が多すぎて、俺はシャーロットに確認もせず全て断っている。

「少しは受けた方が良いのではなくて?」

「必要ない。」

 ばさりと、撥ね付ける。シャーロットは王家に散々苦労させられたのだ。もう社交で嫌な思いをさせたくない。だがそれだけでなく、あの美しいシャーロットを他の男たちの目に入れたくない、というどろどろとした想いも確かにあるのだ。



「それなら、ここに連れてきてよ。夫のことだって紹介したいんだから。」

 キャシーは夫へ優しく微笑む。キャシーは騎士団にいた頃は、想像できないほど甘い夫婦生活を送っている。

「お前は余計なことを言うだろう。」

「それは、婚約者様が王子妃だった頃、あなたがしょっちゅう王城の中庭のスズランを見てぼんやりしていたこと?それとも、婚約者様が訓練所に来ているのに、あなたの次に私が気付いた時、他の騎士には絶対言うなときつく口止めされたこと?」

「・・・っ!」


 キャシーの夫が見兼ねて収めてくれるまで、キャシーの揶揄いは続いた。
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