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青崎真司郎と企み
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観客席の上、そこにあるのは恐らくVIP席。そこでは莫大な金が動く賭けが行われている。ならばその賭けを成立させる運営が必要なはず。運営を受け持つのが街の役場の奴で、そのトップ運営委員長的な役回りを受け持つのは街の上層部と見て間違いない。
もしそこで俺が暴れたら相手の最優先手はVIP客の保護。こっちが先手を取れていれば勝機は……
「トイレはそっちじゃねえぞ。」
不意に背後から話しかけられて少し動揺を覚える。
「らしくねえな。俺が背後についてくることくらいおまえなら匂いと気配でわかるんじゃねえのか? そんなことも忘れるくらい冷静さを欠くなんて。」
「……別に。せっかくだからシステムの中見て回ってみようかと思って。入院してた頃から気になってたんだ。」
「そんな薄っぺらい嘘はいらねえ。おまえ何をする気だ青崎。」
問い詰める白松の目を見て俺は諦めたようにフッと笑った。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「突撃~~!!」
合図とともにどす黒い球体から20近くの黒い手が放たれる。通山がそれを回避するたびに地面がえぐれて振動が起きる。
「俺に攻略できない、ねえ。さすがトップ5は言うことが違う。けどなあ俺ももう上位ランカーになって12年だ。いい加減2桁に甘んじるのはうんざりなんだよ!」
言葉と同時に通山の周辺を円を描くように風が生じる。その渦はだんだん強く、だんだん大きくなっていき会場の地面を削るほどの威力を見せつける。
「俺の奥義トルネードだ。人間の1人や2人簡単に殺すことが可能だ。これでもテメェの能力には及ばないか?」
すると黒い手はトルネードに突っ込み、次々と消滅する。
「びっくりドッキリ~~~!」
「その耳障りな声、やめろよ。」
通山は殺気に満ちた目で睨みつけるとトルネードを常坂の方向へと進行させる。
『地面を巻き込みながら進むトルネードはさらに大きくなっていき、その猛威はただ1人常坂に向けて放たれる。観客席から見てもわかる明らかに尋常じゃないまさに最強の風!!
ここにきて互いの奥義をぶつけ合う力押し勝負だ!!』
「僕のブラックホールは~~~~!!!」
常坂は引くことはせず、黒い球体をトルネードに当てる。上位ランカー同士が切り札を見せ合う激しいバトル展開に観客も盛り上がる。
「すげえ! 異次元のバトル! やっぱり上位ランカーってのは化け物だな!」
「1番楽しんでた2人がいないけどな。」
テンションの上がる堀川に末高が水を差す。
「どこ行ったのかしら。青崎君……。」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「……まあ、ここまできて誤魔化そうだなんて甘いよな。」
俺は笑顔を意識的に消して、白松の真剣な眼差しに答える。
「いいぜ、言うよ。俺が何をしたいのか、何をしようとしてるのかをな。」
すぐ下から聞こえる大きな歓声も今の2人にはただのBGMと化していた。
もしそこで俺が暴れたら相手の最優先手はVIP客の保護。こっちが先手を取れていれば勝機は……
「トイレはそっちじゃねえぞ。」
不意に背後から話しかけられて少し動揺を覚える。
「らしくねえな。俺が背後についてくることくらいおまえなら匂いと気配でわかるんじゃねえのか? そんなことも忘れるくらい冷静さを欠くなんて。」
「……別に。せっかくだからシステムの中見て回ってみようかと思って。入院してた頃から気になってたんだ。」
「そんな薄っぺらい嘘はいらねえ。おまえ何をする気だ青崎。」
問い詰める白松の目を見て俺は諦めたようにフッと笑った。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「突撃~~!!」
合図とともにどす黒い球体から20近くの黒い手が放たれる。通山がそれを回避するたびに地面がえぐれて振動が起きる。
「俺に攻略できない、ねえ。さすがトップ5は言うことが違う。けどなあ俺ももう上位ランカーになって12年だ。いい加減2桁に甘んじるのはうんざりなんだよ!」
言葉と同時に通山の周辺を円を描くように風が生じる。その渦はだんだん強く、だんだん大きくなっていき会場の地面を削るほどの威力を見せつける。
「俺の奥義トルネードだ。人間の1人や2人簡単に殺すことが可能だ。これでもテメェの能力には及ばないか?」
すると黒い手はトルネードに突っ込み、次々と消滅する。
「びっくりドッキリ~~~!」
「その耳障りな声、やめろよ。」
通山は殺気に満ちた目で睨みつけるとトルネードを常坂の方向へと進行させる。
『地面を巻き込みながら進むトルネードはさらに大きくなっていき、その猛威はただ1人常坂に向けて放たれる。観客席から見てもわかる明らかに尋常じゃないまさに最強の風!!
ここにきて互いの奥義をぶつけ合う力押し勝負だ!!』
「僕のブラックホールは~~~~!!!」
常坂は引くことはせず、黒い球体をトルネードに当てる。上位ランカー同士が切り札を見せ合う激しいバトル展開に観客も盛り上がる。
「すげえ! 異次元のバトル! やっぱり上位ランカーってのは化け物だな!」
「1番楽しんでた2人がいないけどな。」
テンションの上がる堀川に末高が水を差す。
「どこ行ったのかしら。青崎君……。」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「……まあ、ここまできて誤魔化そうだなんて甘いよな。」
俺は笑顔を意識的に消して、白松の真剣な眼差しに答える。
「いいぜ、言うよ。俺が何をしたいのか、何をしようとしてるのかをな。」
すぐ下から聞こえる大きな歓声も今の2人にはただのBGMと化していた。
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