2 / 2
ようこそ悪人ども
しおりを挟む
「おい、おい起きろ。起きろって。」
そんな声で僕は目を開けた。視界に入ったのは見覚えのない若い男の声だった。
若い、とはいえ生前高校3年生だった俺よりは年上そうな……生前?そうだ!俺はもう!
「俺は、死んだはずじゃ…」
「やはり君もか。後ろを見てごらん。」
そう言われて後ろを見た。後ろ、いや正確には後ろは後ろでも下だ。そこには何千、何万もの人がいた。後ろを振り向いて初めて気づいたが俺は崖の上にいた。
「あそこにいる奴ら全員が口を揃えて自分は死んだはずだというんだ。もちろん俺も自分は死んだと思っている。」
「あれだけの数の人間が全員?」
そうなるとここは
「ここは死後の世界。そう考えるのが妥当だろうな。」
俺の顔を見て何を考えているかがわかったらしい。
「自己紹介が遅れた。俺の名は松田創士(まつだそうじ)。自分の名前は割と好きだったが死んだ後まで使うことになるとは思わなかったよ。よろしくな。」
この流れで自分の名前を名乗っていいのだろうか。何せ今わからないことだらけの状態なのだ。一瞬そう悩んだが悪気のなさそうな顔をしていたので、深く考えるのはやめた。
「俺は海崎大地(かいざきだいち)。俺も海と陸どっちも制覇できそうなこの名前嫌いじゃない。よろしくな創士。」
「はは、お前面白いやつだな。」
「そいつはどうも」
と言ってお辞儀(じぎ)をして見せると、創士はさらに笑った。
すると下から「なんだあれ!」という声とどよめきが上がった。
その声で目線を創士から声のした方へ移すと、何かが宙に浮かんでいるのが見えた。
『レディース&ジェントルメーン!!ボーイズ&ガールズ!!』
その声は明らかに宙に浮かんでいる何かから発せられている。
「あれって、人間か?」
創士がそうつぶやいた。確かに人間のような姿をしている。だが人間にしてはサイズがでかすぎる。横にではなく、全体的にだ。言うなら人間ではなく巨人だ。だが巨人という言葉で片付けるのも違う気がする。もっと何か不思議なオーラのようなものを感じる。そんなものは俺個人の感想に過ぎないがともかく
「人間以外の何か、だな。」
『ここには現在100万の悪人があつまっていまぁーす。』
「悪人だあ?俺は何もした覚えないぞ!」
誰かが叫んだ。もちろん俺だって身に覚えがない。
『はあ、これだから人間は罪深い。あなた達本当に死ぬまでに一度も罪を犯さなかったと言い切れますか?』
「なんだと?」
『いいですか?罪に大小は存在しません。何も殺人や強盗などだけが罪ではないのです。
信号無視などの軽犯罪、さらに人に嘘をつくなども罪。最近ではながらスマホというが増えてますねえ。さあ、あなたはこれらの罪を一度も犯さなかったと胸を張って言えますか?』
するともう、誰も反論の声をあげなかった。
『あなた達も一度は聞いたことがあるでしょう?神様はいつも見ているよ、とね』
さっきから俺は1つ気になっていることがある。それはあの宙に浮かんでいる何かの声に何故か聞き覚えがあることだ。
『あ、申し遅れました。私、神です。以後よろしくお願いします。ヘルゲームプレイヤーの皆さん♫』
「神だと?テメェふざけるのもいい加減に」
「そんなことはどうでもいい!」
俺はそう叫んだ。すると言葉を遮られた奴が俺につっかかってくる。
「なんだテメェ?俺にケンカ売ってんのか。」
「だからそういう茶番は今どうでもいいだろうが。それより神とやら、早くそのヘルゲームってやつについて説明して貰おうか。」
『懸命な判断ですよ。さすがです、海崎大地君。』
「やっぱり。あの朦朧(もうろう)とする意識の中でごちゃごちゃ語りかけてきやがった声の主はお前だな?会えて嬉しいぜ。」
『察しがいいね、君。いいプレイヤーになりそうだ。それじゃ説明に入ろう。ヘルゲーム、通称償いのゲームについて…!』
そんな声で僕は目を開けた。視界に入ったのは見覚えのない若い男の声だった。
若い、とはいえ生前高校3年生だった俺よりは年上そうな……生前?そうだ!俺はもう!
「俺は、死んだはずじゃ…」
「やはり君もか。後ろを見てごらん。」
そう言われて後ろを見た。後ろ、いや正確には後ろは後ろでも下だ。そこには何千、何万もの人がいた。後ろを振り向いて初めて気づいたが俺は崖の上にいた。
「あそこにいる奴ら全員が口を揃えて自分は死んだはずだというんだ。もちろん俺も自分は死んだと思っている。」
「あれだけの数の人間が全員?」
そうなるとここは
「ここは死後の世界。そう考えるのが妥当だろうな。」
俺の顔を見て何を考えているかがわかったらしい。
「自己紹介が遅れた。俺の名は松田創士(まつだそうじ)。自分の名前は割と好きだったが死んだ後まで使うことになるとは思わなかったよ。よろしくな。」
この流れで自分の名前を名乗っていいのだろうか。何せ今わからないことだらけの状態なのだ。一瞬そう悩んだが悪気のなさそうな顔をしていたので、深く考えるのはやめた。
「俺は海崎大地(かいざきだいち)。俺も海と陸どっちも制覇できそうなこの名前嫌いじゃない。よろしくな創士。」
「はは、お前面白いやつだな。」
「そいつはどうも」
と言ってお辞儀(じぎ)をして見せると、創士はさらに笑った。
すると下から「なんだあれ!」という声とどよめきが上がった。
その声で目線を創士から声のした方へ移すと、何かが宙に浮かんでいるのが見えた。
『レディース&ジェントルメーン!!ボーイズ&ガールズ!!』
その声は明らかに宙に浮かんでいる何かから発せられている。
「あれって、人間か?」
創士がそうつぶやいた。確かに人間のような姿をしている。だが人間にしてはサイズがでかすぎる。横にではなく、全体的にだ。言うなら人間ではなく巨人だ。だが巨人という言葉で片付けるのも違う気がする。もっと何か不思議なオーラのようなものを感じる。そんなものは俺個人の感想に過ぎないがともかく
「人間以外の何か、だな。」
『ここには現在100万の悪人があつまっていまぁーす。』
「悪人だあ?俺は何もした覚えないぞ!」
誰かが叫んだ。もちろん俺だって身に覚えがない。
『はあ、これだから人間は罪深い。あなた達本当に死ぬまでに一度も罪を犯さなかったと言い切れますか?』
「なんだと?」
『いいですか?罪に大小は存在しません。何も殺人や強盗などだけが罪ではないのです。
信号無視などの軽犯罪、さらに人に嘘をつくなども罪。最近ではながらスマホというが増えてますねえ。さあ、あなたはこれらの罪を一度も犯さなかったと胸を張って言えますか?』
するともう、誰も反論の声をあげなかった。
『あなた達も一度は聞いたことがあるでしょう?神様はいつも見ているよ、とね』
さっきから俺は1つ気になっていることがある。それはあの宙に浮かんでいる何かの声に何故か聞き覚えがあることだ。
『あ、申し遅れました。私、神です。以後よろしくお願いします。ヘルゲームプレイヤーの皆さん♫』
「神だと?テメェふざけるのもいい加減に」
「そんなことはどうでもいい!」
俺はそう叫んだ。すると言葉を遮られた奴が俺につっかかってくる。
「なんだテメェ?俺にケンカ売ってんのか。」
「だからそういう茶番は今どうでもいいだろうが。それより神とやら、早くそのヘルゲームってやつについて説明して貰おうか。」
『懸命な判断ですよ。さすがです、海崎大地君。』
「やっぱり。あの朦朧(もうろう)とする意識の中でごちゃごちゃ語りかけてきやがった声の主はお前だな?会えて嬉しいぜ。」
『察しがいいね、君。いいプレイヤーになりそうだ。それじゃ説明に入ろう。ヘルゲーム、通称償いのゲームについて…!』
0
お気に入りに追加
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
私が産まれる前に消えた父親が、隣国の皇帝陛下だなんて聞いてない
丙 あかり
ファンタジー
ハミルトン侯爵家のアリスはレノワール王国でも有数の優秀な魔法士で、王立学園卒業後には婚約者である王太子との結婚が決まっていた。
しかし、王立学園の卒業記念パーティーの日、アリスは王太子から婚約破棄を言い渡される。
王太子が寵愛する伯爵令嬢にアリスが嫌がらせをし、さらに魔法士としては禁忌である『魔法を使用した通貨偽造』という理由で。
身に覚えがないと言うアリスの言葉に王太子は耳を貸さず、国外追放を言い渡す。
翌日、アリスは実父を頼って隣国・グランディエ帝国へ出発。
パーティーでアリスを助けてくれた帝国の貴族・エリックも何故か同行することに。
祖父のハミルトン侯爵は爵位を返上して王都から姿を消した。
アリスを追い出せたと喜ぶ王太子だが、激怒した国王に吹っ飛ばされた。
「この馬鹿息子が!お前は帝国を敵にまわすつもりか!!」
一方、帝国で仰々しく迎えられて困惑するアリスは告げられるのだった。
「さあ、貴女のお父君ーー皇帝陛下のもとへお連れ致しますよ、お姫様」と。
******
週3日更新です。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
王子は婚約破棄をし、令嬢は自害したそうです。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「アリシア・レッドライア! おまえとの婚約を破棄する!」
公爵令嬢アリシアは王子の言葉に微笑んだ。「殿下、美しい夢をありがとうございました」そして己の胸にナイフを突き立てた。
血に染まったパーティ会場は、王子にとって一生忘れられない景色となった。冤罪によって婚約者を自害させた愚王として生きていくことになる。
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした
葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。
でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。
本編完結済みです。時々番外編を追加します。
オタクおばさん転生する
ゆるりこ
ファンタジー
マンガとゲームと小説を、ゆるーく愛するおばさんがいぬの散歩中に異世界召喚に巻き込まれて転生した。
天使(見習い)さんにいろいろいただいて犬と共に森の中でのんびり暮そうと思っていたけど、いただいたものが思ったより強大な力だったためいろいろ予定が狂ってしまい、勇者さん達を回収しつつ奔走するお話になりそうです。
投稿ものんびりです。(なろうでも投稿しています)
「おまえを愛することはない!」と言ってやったのに、なぜ無視するんだ!
七辻ゆゆ
ファンタジー
俺を見ない、俺の言葉を聞かない、そして触れられない。すり抜ける……なぜだ?
俺はいったい、どうなっているんだ。
真実の愛を取り戻したいだけなのに。
異世界二度目のおっさん、どう考えても高校生勇者より強い
八神 凪
ファンタジー
旧題:久しぶりに異世界召喚に巻き込まれたおっさんの俺は、どう考えても一緒に召喚された勇者候補よりも強い
【第二回ファンタジーカップ大賞 編集部賞受賞! 書籍化します!】
高柳 陸はどこにでもいるサラリーマン。
満員電車に揺られて上司にどやされ、取引先には愛想笑い。
彼女も居ないごく普通の男である。
そんな彼が定時で帰宅しているある日、どこかの飲み屋で一杯飲むかと考えていた。
繁華街へ繰り出す陸。
まだ時間が早いので学生が賑わっているなと懐かしさに目を細めている時、それは起きた。
陸の前を歩いていた男女の高校生の足元に紫色の魔法陣が出現した。
まずい、と思ったが少し足が入っていた陸は魔法陣に吸い込まれるように引きずられていく。
魔法陣の中心で困惑する男女の高校生と陸。そして眼鏡をかけた女子高生が中心へ近づいた瞬間、目の前が真っ白に包まれる。
次に目が覚めた時、男女の高校生と眼鏡の女子高生、そして陸の目の前には中世のお姫様のような恰好をした女性が両手を組んで声を上げる。
「異世界の勇者様、どうかこの国を助けてください」と。
困惑する高校生に自分はこの国の姫でここが剣と魔法の世界であること、魔王と呼ばれる存在が世界を闇に包もうとしていて隣国がそれに乗じて我が国に攻めてこようとしていると説明をする。
元の世界に戻る方法は魔王を倒すしかないといい、高校生二人は渋々了承。
なにがなんだか分からない眼鏡の女子高生と陸を見た姫はにこやかに口を開く。
『あなた達はなんですか? 自分が召喚したのは二人だけなのに』
そう言い放つと城から追い出そうとする姫。
そこで男女の高校生は残った女生徒は幼馴染だと言い、自分と一緒に行こうと提案。
残された陸は慣れた感じで城を出て行くことに決めた。
「さて、久しぶりの異世界だが……前と違う世界みたいだな」
陸はしがないただのサラリーマン。
しかしその実態は過去に異世界へ旅立ったことのある経歴を持つ男だった。
今度も魔王がいるのかとため息を吐きながら、陸は以前手に入れた力を駆使し異世界へと足を踏み出す――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる