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【第76話】ジィ2人

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「というわけで、陽向に悪魔がとりついているようですが様子見ということになりました。」

「悪魔がねぇ。」
ローマンの報告を受けたクルミは考えた。悪魔は欲望が強い人に取り憑く、
ルーク公爵に取り憑いたように。ただまだ小さな子供に取り憑くメリットは悪魔にないはずだった。

悪魔も全てが悪ではないということは知っているのだがそれでも欲望を糧とするのは確かだった。

「ちょっとわからないけど、何かあったら抑えることはできそう?」

「はい、それは大丈夫かと。久遠殿が常に近くにいますので。」
草薙の炎を持っている久遠ならば、上位の悪魔でも倒せると思う。草薙は神剣。神が作りし剣で悪魔の天敵でもある。

「それと、タルタルにはあまり悪魔の相手をさせないで悪魔落ちしても困るから。」

「承知いたしました。またその悪魔落ちについても教えていただければ助かります。」

「また今度ね。それよりお願いがあるんだけど・・・・・」
クルミは本題に入ることにした。

「はい、何でしょうか?」

「その、お金が・・・・」

久しぶりの街で買い物をしすぎてしまったのだ。アクセサリー、洋服など買いまくってしまった。アリス、メリットの分も買ったのだが何故かライゲン将軍、与一将軍の分も、払うことになってしまった。

「フリードではなくてよかったですね。タルタルにお願いして送るようにします。」

「ありがとう!!流石ローマン!」
ローマンは今だにクルミの財布だった。フリードはお金について多少厳しいところがある。目的を話さないとくれない時が増えてきた。それでも最終的にはくれはするのだが、ローマンは何を言わずに出してくれる。

この街について、まずは観光というか買い物をすることになった。

まだ少し元気がないアリスに与一将軍、ライゲン将軍が気を使って観光地の案内をしたあと洋服屋に入っていった。

「クルミお姉ちゃん、わたし急いで準備をしてきたからお金そんなに持ってないよ。」
アリスが申し訳なさそうに言ってきた。

「大丈夫!こう見えても女王だから気にせず好きな物を選んで!」
この一言が余計だった。

「ほらクルミ様もこう言っておられます。これはいかがでしょうか?」
与一将軍が勧めてくる。値段に驚く着物だった。魔力補助もされており防御力も高かった。

「あぁ あのー」
「おおー まずはこちらで試着を!」
ライゲン将軍が試着室に連れて行く。

「クルミ殿まずい展開ではないですか?」
シャオも心配して声をかけてくる。

「いや、まだ大丈夫!与一将軍とライゲン将軍もお金を出してくれると思うから!」
「そうでしょうか?」
シャオが不安気に聞いてくる。

「クルミちゃんわたしのもよろしくね!」
メリットもちゃかりしている。こんな時はちゃんで呼ぶメリットだった。

「こうなったら、あんたも何か選びなさいよ!ジークに力を貸してくれているお礼するわ。」

「ありがとうございます。」
シャオも防具、武器を見に行った。
そっちの方が高いでしょ!!と思ったクルミだった。

そして着物を来たアリスが出てきた。
「おーー!知世様!母上の知利様そっくりです!」
おじいちゃん2人が感動して涙を流している。

「ライゲンおじいちゃん!わたしのはどう?」
メリットが嫌味のように聞いてきた。

「あっ いいと思いますじゃ。」
軽い返事が返ってきた。メリットが呆れている。

クルミも物色している。
温泉用、川洗用の水着が売っていた。
恥ずかしかったが買ってみた。ジークと一緒に温泉でもと妄想を膨らませていた。

「あの、お客様。お会計をお願いできますか?」
店員が聞いてきた。

「えっ!全部。」
「クルミ様ありがとうございます!私ども一族は、財政的に厳しい中助かりまする。」
「流石は、一国の王女様だけあります。」
与一将軍、ライゲン将軍が有無言わせないコンビネーションでまくし立てた。

止めは店員の一言だった。
「王女様でしたか、今後とも私共の店をご贔屓にお願いいたします。」

旅行資金が大幅に減った。
悩みながら店を後にしたが、与一将軍、ライゲン将軍を呼び出した。

「なんであんた達の分も奢らなくちゃいけないの?!」
少し不機嫌そうに問い詰めた。

「今回の旅はクルミ様が言い出したもの、従者に正当な報酬でございます!」
「このようなことを言っておりますと器が小さいやつだと他国の者に思われますぞ!」

「そう!もういいわ。従者ってことならもうあなた達は、与一ジィ、ライゲンジィって呼ぶからね!」

皮肉のつもりに言ったのだったが、

「おぉ~ いいですな。クルミ様が孫ですか、これは嬉しいですな!」
「全く、アリス様と同じくお世話をさせていただきます!」

クルミは呆れてしまったのだった。
こうしてローマンに追加融資のお願いをしたのだった。

それから街でも有名になって面会が後を立たなくなってしまったのは仕方がなかった。
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