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【第70話】久遠との対話
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クルミは、ミン宰相と話をすることにした。国を作るのは、避難民へ安心、安全を与えるのでまだ許せる。
統治するのが私って、正直意味がわからなかった。
部屋に入ると、ミン宰相が先に待っていた。
「この度は、おめでとうございます。」
「何がおめでたいのよ!どういうこと?」
「それは・・・・」
「とにかく、もとの姿に戻って。」
ミン宰相は、ミンシアの姿になった。
「複雑な状況で、アリスさんをそのまま新しい統治者にすることができなかったのですわ。」
要約すると、アリスを統治者にすると富士の国、トルゴラムと間違いなく揉めるとのこと。そして戦争継続の危険性が高い。全く別の国で、ラルセット公国、竜神王国の支持があれば手を出されないとのことだった。
「それはわかるけどなんで私よ!!」
「それについては、竜王様がそろそろクルミ様も腰を据えてもらったほうがいいとのお言葉をいただきまして。」
「それに、ジーク王子との今後も有利になるかと思いますよ。」
ミンシアがこそっと告げる。
「そうかな?」
クルミも考える、ただの冒険者よりも一国の王女だったら付き合うなら王女の方が有利なのは確かである。
「もう今さら断れないしね。はぁ~。やるしかないかぁ。」
ドアが開いた。
「クルミ様おめでとうございます!」
「多少不謹慎な時期ですが、我々にとっては記念すべき日ですね。」
ローマンとフリードが入ってきた。
「あなた達、あとでちょっとお話があります。」
「はい・・・」
「それはそうとアリスの状況は?」
「与太郎殿からの話では、まだ塞ぎ込んでいる様子とのこと。言葉も話せないくらいに落ち込んでいるようです。」
クルミが統治者として引き受けた最大の理由はアリスの為だった。
避難民としては、アリスが富士の国の正当な後継者になるわけだが、まだ幼い女の子だった。
他にできる立場の人がいないのも事実だった。
「今はそっとしてあげてて。」
「わかりました。」
「フリード、私はお飾りの方がいいのはわかるよね?」
クルミは威圧を込めてフリードに問いかけた。
「くっ・・わかっております。雑務についてはお任せを。」
「ローマン、親衛隊を中心として軍隊を早急に作って。」
「わかりました!」
「当面の目的は、富士の国を取り戻す!!お願いね!」
『承知。』
「ミンシア、カーグシン竜王にも連絡取って話したいことを伝えて。」
「わかりました。早急に会談の手配をいたします。」
まずは、国としてトルゴラムの武力に対応できるようにしないといけないとクルミは考えていた。
「与一将軍、与太郎にも会わないとね。今2人は?」
「まもなくお越しになるかと。」
「コンコン、与一でございます。」
ローマンがドアを開ける。
「この度は、国主として・・・」
「ストップ!!」
クルミが話を止めた。
「はっきりさせるけど、なる気がないけどアリスの為だからね!そこだけは間違えないで、あと普段はいつもどおりでお願い。」
「わかりました。しかし助けられたことには違いがありません。この恩は必ずお返しいたします!」
深々と頭を下げた。
「与太郎は?怪我がまだ治らないの?」
「いえ、アリス様の部屋で見張りをしております。傷はいただいた薬で治っていますが、党首として不甲斐ない自分を許せぬのでしょう。」
2人ともまだ傷が癒えてないのね。
しばらくは与太郎が見張りをしているのならば、安全面でも助かるとプラスに考えることにした。
「それで、鈴多は大丈夫?親が亡くなったのでしょ?」
「はい、鈴多の父も母も厳しい方で、泣いていては父上、母上に怒られると。避難民達への案内など雑用をお願いしています。治安維持にもなりますしな。」
久遠がいるのは助かる。話ではジャイブ大臣を倒したようで、戦力としては申し分なかった。
「今夜、鈴多達に会って話したいことがあるけど~ 大丈夫かな?」
「わしから話しをしておきましょう。」
「ありがとう、頼むね。」
草薙についても話しを聞きたかったというのが本音だった。
その夜、イサカリ商店に鈴多、久遠、陽向の3人がやってきた。志津婆さんは留守番してるとのことだった。
「この度はお招きいただきありがとうございます。」
鈴多が挨拶をしてきた。
「普通にしていいよ。鈴多も大変だったね。こっちにおいで。」
クルミは鈴多を優しく抱きしめた。
顔を赤くする鈴多。
「大丈夫です!」
しばらくして鈴多が離れた。目は少し潤んでいた。
それを見ていた陽向が、クルミに抱きついてくる。
「陽向も!!だっこ!」
クルミが抱っこしてあげる。嬉しそうだった。
それから用意していた食事をみんなで食べた。食事が終わったところでクルミは鈴多に話しかけた。
「この街でどうするの?」
「与太郎様のお力になれるように頑張ります。」
「そう、困ったら言ってね。何かこのお店で好きな物をもって行っていいよ。」
「ありがとうございます! 陽向行こう。」
鈴多も気が利くようになった。久遠が目的なのを察したみたいだった。
2人が部屋から出ていく。
「鈴多に感謝ね。あなたに聞きたいことがあったの?草薙についだけど。」
「おれにも詳しくはわからんぞ。陽向と手を握ったら自然と出てきただけだ。」
「そうなの。この剣は不思議な剣は何だと改めて理解したわ。」
「それでこれからどうするの?うちにくる?」
「嫌、鈴多について行くつもりだ。陽向も育てないといけないからな。」
何か、アリスとドレドラスを見ているようだった。なのでその結末が同じにならないように願うしかなかった。
「もし何かあったら私を頼ってね。」
「あぁ この世界で俺より強いのはお前だけだからな。」
少し違う気がするが、まぁ素直になったのはいいことだった。
そして2人を迎えに行ったら、驚くほど大量な荷物を荷馬車に載せていた。
いつの間にか志津婆さんもきていた。
「ありがとうございます!クルミ様!」
鈴多は元気に挨拶をした。
あとでフリードに2回目ですよと注意されてしまったのだった。
統治するのが私って、正直意味がわからなかった。
部屋に入ると、ミン宰相が先に待っていた。
「この度は、おめでとうございます。」
「何がおめでたいのよ!どういうこと?」
「それは・・・・」
「とにかく、もとの姿に戻って。」
ミン宰相は、ミンシアの姿になった。
「複雑な状況で、アリスさんをそのまま新しい統治者にすることができなかったのですわ。」
要約すると、アリスを統治者にすると富士の国、トルゴラムと間違いなく揉めるとのこと。そして戦争継続の危険性が高い。全く別の国で、ラルセット公国、竜神王国の支持があれば手を出されないとのことだった。
「それはわかるけどなんで私よ!!」
「それについては、竜王様がそろそろクルミ様も腰を据えてもらったほうがいいとのお言葉をいただきまして。」
「それに、ジーク王子との今後も有利になるかと思いますよ。」
ミンシアがこそっと告げる。
「そうかな?」
クルミも考える、ただの冒険者よりも一国の王女だったら付き合うなら王女の方が有利なのは確かである。
「もう今さら断れないしね。はぁ~。やるしかないかぁ。」
ドアが開いた。
「クルミ様おめでとうございます!」
「多少不謹慎な時期ですが、我々にとっては記念すべき日ですね。」
ローマンとフリードが入ってきた。
「あなた達、あとでちょっとお話があります。」
「はい・・・」
「それはそうとアリスの状況は?」
「与太郎殿からの話では、まだ塞ぎ込んでいる様子とのこと。言葉も話せないくらいに落ち込んでいるようです。」
クルミが統治者として引き受けた最大の理由はアリスの為だった。
避難民としては、アリスが富士の国の正当な後継者になるわけだが、まだ幼い女の子だった。
他にできる立場の人がいないのも事実だった。
「今はそっとしてあげてて。」
「わかりました。」
「フリード、私はお飾りの方がいいのはわかるよね?」
クルミは威圧を込めてフリードに問いかけた。
「くっ・・わかっております。雑務についてはお任せを。」
「ローマン、親衛隊を中心として軍隊を早急に作って。」
「わかりました!」
「当面の目的は、富士の国を取り戻す!!お願いね!」
『承知。』
「ミンシア、カーグシン竜王にも連絡取って話したいことを伝えて。」
「わかりました。早急に会談の手配をいたします。」
まずは、国としてトルゴラムの武力に対応できるようにしないといけないとクルミは考えていた。
「与一将軍、与太郎にも会わないとね。今2人は?」
「まもなくお越しになるかと。」
「コンコン、与一でございます。」
ローマンがドアを開ける。
「この度は、国主として・・・」
「ストップ!!」
クルミが話を止めた。
「はっきりさせるけど、なる気がないけどアリスの為だからね!そこだけは間違えないで、あと普段はいつもどおりでお願い。」
「わかりました。しかし助けられたことには違いがありません。この恩は必ずお返しいたします!」
深々と頭を下げた。
「与太郎は?怪我がまだ治らないの?」
「いえ、アリス様の部屋で見張りをしております。傷はいただいた薬で治っていますが、党首として不甲斐ない自分を許せぬのでしょう。」
2人ともまだ傷が癒えてないのね。
しばらくは与太郎が見張りをしているのならば、安全面でも助かるとプラスに考えることにした。
「それで、鈴多は大丈夫?親が亡くなったのでしょ?」
「はい、鈴多の父も母も厳しい方で、泣いていては父上、母上に怒られると。避難民達への案内など雑用をお願いしています。治安維持にもなりますしな。」
久遠がいるのは助かる。話ではジャイブ大臣を倒したようで、戦力としては申し分なかった。
「今夜、鈴多達に会って話したいことがあるけど~ 大丈夫かな?」
「わしから話しをしておきましょう。」
「ありがとう、頼むね。」
草薙についても話しを聞きたかったというのが本音だった。
その夜、イサカリ商店に鈴多、久遠、陽向の3人がやってきた。志津婆さんは留守番してるとのことだった。
「この度はお招きいただきありがとうございます。」
鈴多が挨拶をしてきた。
「普通にしていいよ。鈴多も大変だったね。こっちにおいで。」
クルミは鈴多を優しく抱きしめた。
顔を赤くする鈴多。
「大丈夫です!」
しばらくして鈴多が離れた。目は少し潤んでいた。
それを見ていた陽向が、クルミに抱きついてくる。
「陽向も!!だっこ!」
クルミが抱っこしてあげる。嬉しそうだった。
それから用意していた食事をみんなで食べた。食事が終わったところでクルミは鈴多に話しかけた。
「この街でどうするの?」
「与太郎様のお力になれるように頑張ります。」
「そう、困ったら言ってね。何かこのお店で好きな物をもって行っていいよ。」
「ありがとうございます! 陽向行こう。」
鈴多も気が利くようになった。久遠が目的なのを察したみたいだった。
2人が部屋から出ていく。
「鈴多に感謝ね。あなたに聞きたいことがあったの?草薙についだけど。」
「おれにも詳しくはわからんぞ。陽向と手を握ったら自然と出てきただけだ。」
「そうなの。この剣は不思議な剣は何だと改めて理解したわ。」
「それでこれからどうするの?うちにくる?」
「嫌、鈴多について行くつもりだ。陽向も育てないといけないからな。」
何か、アリスとドレドラスを見ているようだった。なのでその結末が同じにならないように願うしかなかった。
「もし何かあったら私を頼ってね。」
「あぁ この世界で俺より強いのはお前だけだからな。」
少し違う気がするが、まぁ素直になったのはいいことだった。
そして2人を迎えに行ったら、驚くほど大量な荷物を荷馬車に載せていた。
いつの間にか志津婆さんもきていた。
「ありがとうございます!クルミ様!」
鈴多は元気に挨拶をした。
あとでフリードに2回目ですよと注意されてしまったのだった。
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