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【第29話】一騎討ち
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不死鳥の炎によって人と魔物の間に炎の壁ができた。
壁の向こうでは、冒険者達と兵士達が避難誘導をジークの指示で行っていた。
クルミは魔物の方にいた。そして、ローマンも
「ローマンなんで、こっちにきちゃたの?」
クルミが声をかけた。
「1人で、行かせるわけにはいきません!」
魔物は少し減ったがまだ半分の150体は残っていた。
「全く、少しさがって!一気にいくから!」
「何を?」
【疾風竜胆一閃】
クルミが横凪の一閃を放った。
数十体の魔物が切られた。
魔物が恐怖して、敗走していく。
敗走した魔物が炎の壁により、人々の方へ行けない状況だから、クルミは力業にでたのだった。
今までは、逃げた魔物が人々のいる方に逃げてしまう可能性があったから時間を稼いでいて、本来殲滅ならクルミ1人でも可能だった。
「これは夢なのか....」
ローマンが呆けていた。
そして、近づいてくる親衛隊をクルミは察知していたのだった。
「フリード、そっちに逃げた魔物を可能な限り撃破して!」
「かしこまりました!親衛隊今こそ力をクルミ様に見せるときだ!」
「おおーーー!」
魔物相手に怯まず向かっていく、クルミが鍛えたこともあるが、妖精達が、【妖精の加護】を施していたのだ。
クルミは、短期間で妖精に気に入られたことに驚いていた。
「これならいける!」
クルミも殲滅に加わったのだった。
ほどなくして、魔物は消え去り窮地を脱したのだった。
「ジーク王子!」
「ありがとう!」
避難誘導をしている、人々が感謝の言葉を告げているのを聞いてクルミも嬉しい気持ちになっていた。
その頃、レオパルドとミン宰相、セオドは玉座にたどり着いていた。
「さてそろそろ本番を始めようか!」
レオパルドがルーク公爵に化けた中級悪魔のガウラに話しかけた。
「お前は竜王の息子か?邪魔ばかりしおって。」
「ルーク公爵は、死んでるのか?」
悪魔は死体を操ることが多いので死んでいるのかと思ったが、
「まだ生きているよ。その方が利用価値がありますから。」
「こざかしい!」
レオパルドは、ルーク公爵は殺しても仕方がないと考えた。
ルーク公爵と激しい打ち合いになったが、こちらにはミン宰相の援護魔法があった。
徐々にレオパルドが有利になっていったのであった。
「このままでは、厳しいですか。どうやら魔物もやられてしまったようです。」
「それでどうするんだ?」
「今回は引き上げましょう。この屈辱はいずれ必ず返しにきます!」
ルーク公爵から、黒い煙が消えた。
「逃げられたか、中級程度の悪魔ってところだろうな。」
「あれで中級ですか....」
セオドは、驚いていた。自分ではかなわなかっただろう。
「さて、ルーク公爵。意識は戻りましたか?」
「あーぁ。そなたは?竜神王国のものか?」
「こちらはレオパルド王でございます。」
「此度の件、感謝いたします!
なんとお礼をもうしたらよいか。」
「悪魔の仕業だから仕方がないけど、それで許されるのか?」
「無理でしょう。責任は取ります。あなた様が来られていると言うことはジーク王子もこちらへ」
「あーぁ 人々の避難誘導をしている。」
ルーク公爵は、考え込んでいるようだ。そして、操られていたが多少意識もあり今まで何をしたのか白状した。
魂をもらうと言うことで、定期的に国民を上級悪魔への生け贄にしていたのだった。
それも数百人にも及ぶとのこと。
それして一番の罪はジークの父親である王を殺したのだった。
普通の国では死罪は免れないだろう。
ここは、他国なのでレオパルドはこの国の者に判断を任せることにした。
ジークのもとへルーク公爵を連れていく。
ルーク公爵は、ジークへ問いかけた。
「これ以上は、言葉は無用!騎士らしく一騎討ちで勝敗を決めようではないか!」
レオパルドはこの発言に驚いたが、悪魔に利用されたと言っても王を殺すことは重罪。この言葉の意味を理解していた。
「叔父上、何を全ては悪魔の企みだったのではないのですか?」
「悪魔でも何でもこの国を強くするために利用したまでのこと。いざ!」
「待ってください!」
ルーク公爵は切りつける。
それを防ぐジーク。
攻めるルーク公爵に守るジーク。
クルミが止めに入ろうとしたが、レオパルドに止められる。
「はなせ!」
「一騎討ちの重さを理解できないのか?」
この戦いには、深い意味があるのかもしれないがジークは人を殺すことなどまだできないだろうと考えていた。
「大丈夫だから、見てろ。」
「何が大丈夫だ、もしジークに何かあったらあなたを許さないから!!」
本来なら王にそのような言葉を言うなど許されないのだが、ミン宰相は思わず身震いをして何も言えなかった。
クルミの覇気がすごすぎたのだ。
悪魔と戦っているレオパルドよりも濃密で重い覇気だった。
竜王が話していた。クルミを怒らせるなとの忠告が理解できた気がした。
戦いは、あっけなく終わった。
攻めるルーク公爵に対して、ジークは剣を捨てたのだった。
「ジーク!!」叫ぶクルミ。
迫るルーク公爵。そして、剣を振りかぶった。ジークは目を閉じた。
「グハッ」
ルーク公爵は、自分で胸を刺したのだった。
ジークは目を開くと、倒れかけたルーク公爵が見えた。
「叔父上!!」
抱きかかえるジーク。
「これで全ての責任を渡しに!
レオパルド王!見届け人をお願い...」
「しかと! 竜神王国の王、レオパルドが宣言する。反逆人ルーク公爵は、ジーク王子によって処罰された!」
最初からレオパルドには、分かっていた。罪の重さに耐えきれていなかったルーク公爵を。人はそれほど強くはないのだと。
「オーーー!」
回りの人々からは歓喜の声があがる。
ジークは、涙を流していた。
走りよるクルミ。ジークを抱きしめた。まわりにはその姿を見せないように、そっと優しく。
壁の向こうでは、冒険者達と兵士達が避難誘導をジークの指示で行っていた。
クルミは魔物の方にいた。そして、ローマンも
「ローマンなんで、こっちにきちゃたの?」
クルミが声をかけた。
「1人で、行かせるわけにはいきません!」
魔物は少し減ったがまだ半分の150体は残っていた。
「全く、少しさがって!一気にいくから!」
「何を?」
【疾風竜胆一閃】
クルミが横凪の一閃を放った。
数十体の魔物が切られた。
魔物が恐怖して、敗走していく。
敗走した魔物が炎の壁により、人々の方へ行けない状況だから、クルミは力業にでたのだった。
今までは、逃げた魔物が人々のいる方に逃げてしまう可能性があったから時間を稼いでいて、本来殲滅ならクルミ1人でも可能だった。
「これは夢なのか....」
ローマンが呆けていた。
そして、近づいてくる親衛隊をクルミは察知していたのだった。
「フリード、そっちに逃げた魔物を可能な限り撃破して!」
「かしこまりました!親衛隊今こそ力をクルミ様に見せるときだ!」
「おおーーー!」
魔物相手に怯まず向かっていく、クルミが鍛えたこともあるが、妖精達が、【妖精の加護】を施していたのだ。
クルミは、短期間で妖精に気に入られたことに驚いていた。
「これならいける!」
クルミも殲滅に加わったのだった。
ほどなくして、魔物は消え去り窮地を脱したのだった。
「ジーク王子!」
「ありがとう!」
避難誘導をしている、人々が感謝の言葉を告げているのを聞いてクルミも嬉しい気持ちになっていた。
その頃、レオパルドとミン宰相、セオドは玉座にたどり着いていた。
「さてそろそろ本番を始めようか!」
レオパルドがルーク公爵に化けた中級悪魔のガウラに話しかけた。
「お前は竜王の息子か?邪魔ばかりしおって。」
「ルーク公爵は、死んでるのか?」
悪魔は死体を操ることが多いので死んでいるのかと思ったが、
「まだ生きているよ。その方が利用価値がありますから。」
「こざかしい!」
レオパルドは、ルーク公爵は殺しても仕方がないと考えた。
ルーク公爵と激しい打ち合いになったが、こちらにはミン宰相の援護魔法があった。
徐々にレオパルドが有利になっていったのであった。
「このままでは、厳しいですか。どうやら魔物もやられてしまったようです。」
「それでどうするんだ?」
「今回は引き上げましょう。この屈辱はいずれ必ず返しにきます!」
ルーク公爵から、黒い煙が消えた。
「逃げられたか、中級程度の悪魔ってところだろうな。」
「あれで中級ですか....」
セオドは、驚いていた。自分ではかなわなかっただろう。
「さて、ルーク公爵。意識は戻りましたか?」
「あーぁ。そなたは?竜神王国のものか?」
「こちらはレオパルド王でございます。」
「此度の件、感謝いたします!
なんとお礼をもうしたらよいか。」
「悪魔の仕業だから仕方がないけど、それで許されるのか?」
「無理でしょう。責任は取ります。あなた様が来られていると言うことはジーク王子もこちらへ」
「あーぁ 人々の避難誘導をしている。」
ルーク公爵は、考え込んでいるようだ。そして、操られていたが多少意識もあり今まで何をしたのか白状した。
魂をもらうと言うことで、定期的に国民を上級悪魔への生け贄にしていたのだった。
それも数百人にも及ぶとのこと。
それして一番の罪はジークの父親である王を殺したのだった。
普通の国では死罪は免れないだろう。
ここは、他国なのでレオパルドはこの国の者に判断を任せることにした。
ジークのもとへルーク公爵を連れていく。
ルーク公爵は、ジークへ問いかけた。
「これ以上は、言葉は無用!騎士らしく一騎討ちで勝敗を決めようではないか!」
レオパルドはこの発言に驚いたが、悪魔に利用されたと言っても王を殺すことは重罪。この言葉の意味を理解していた。
「叔父上、何を全ては悪魔の企みだったのではないのですか?」
「悪魔でも何でもこの国を強くするために利用したまでのこと。いざ!」
「待ってください!」
ルーク公爵は切りつける。
それを防ぐジーク。
攻めるルーク公爵に守るジーク。
クルミが止めに入ろうとしたが、レオパルドに止められる。
「はなせ!」
「一騎討ちの重さを理解できないのか?」
この戦いには、深い意味があるのかもしれないがジークは人を殺すことなどまだできないだろうと考えていた。
「大丈夫だから、見てろ。」
「何が大丈夫だ、もしジークに何かあったらあなたを許さないから!!」
本来なら王にそのような言葉を言うなど許されないのだが、ミン宰相は思わず身震いをして何も言えなかった。
クルミの覇気がすごすぎたのだ。
悪魔と戦っているレオパルドよりも濃密で重い覇気だった。
竜王が話していた。クルミを怒らせるなとの忠告が理解できた気がした。
戦いは、あっけなく終わった。
攻めるルーク公爵に対して、ジークは剣を捨てたのだった。
「ジーク!!」叫ぶクルミ。
迫るルーク公爵。そして、剣を振りかぶった。ジークは目を閉じた。
「グハッ」
ルーク公爵は、自分で胸を刺したのだった。
ジークは目を開くと、倒れかけたルーク公爵が見えた。
「叔父上!!」
抱きかかえるジーク。
「これで全ての責任を渡しに!
レオパルド王!見届け人をお願い...」
「しかと! 竜神王国の王、レオパルドが宣言する。反逆人ルーク公爵は、ジーク王子によって処罰された!」
最初からレオパルドには、分かっていた。罪の重さに耐えきれていなかったルーク公爵を。人はそれほど強くはないのだと。
「オーーー!」
回りの人々からは歓喜の声があがる。
ジークは、涙を流していた。
走りよるクルミ。ジークを抱きしめた。まわりにはその姿を見せないように、そっと優しく。
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