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【第八章】魔王城
【第五十六話】代表者 ①
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『総督府』に入って中を進むと、やはりというべきか、かなり豪奢な造りだった。
小規模とはいえ、まるで王宮のようだ。
この国は"元"貴族が溢れかえっているため、ある種の意趣返しなのかもしれない。
廊下を進めば武装した兵士がキリッと姿勢を整えて等間隔に並んでいるが、その威圧感や戦力は帝国の兵士と比べても遜色ないものだった。
世界一治安の悪いと称されるこの国にしては少し意外な光景だ。
シャーキッドはそれらの兵士たちの前を颯爽と歩いていくと、1つの大きな扉の前で立ち止まる。
「………………ここは?」
純粋な疑問と"訝しさ"の混じった声────。
ただ付いていくだけのドリオーからすれば、今のコレは本当にまったく訳の分からない状況だった。
この中央区に入って以来、ドリオーからすればずっと驚きの連続なのだ。
相変わらずシャーキッドは何も語らないが、この大きな扉の先くらいはドリオーでも予想がつく。
聞いたのは確認のためと、流石に"まさか"という思いがあったからだ。
シャーキッドは案の定ドリオーを無視してその扉を見ると、ハァーーッと嫌そうにため息を吐き出す。
「チッ、気乗りはしねぇが仕方ねぇ…………。…………とりあえず行くぞ」
シャーキッドはそう言うが早いか、金ピカに装飾されたそのドアノブに手をかけた。
細かい所までいちいち豪奢な造りだ。
そして…………
シャーキッドはノックも声掛けも無しのまま、目の前の扉を一気に開け放つ。
「ケッケッケッケッ!!あぁ、"お帰り"────というべきなのかな?シャーキッドッ!!」
中に入ると、そこは予想通り『王座』のような場所だった。
というよりそのまんまだ。
その王座には一人の男が座っており、他には誰もいない。
廊下に並んでいた兵士たちも侍女や召使いでさえも、この『玉座の間』には他に誰もいないようだった。
『王』のような場所に鎮座する割には少し不用心だと思うが、とりあえずはまぁ"不要"だということなのだろう。
それが実力による自信なのかシャーキッドへの信頼なのかは分からないが、肝心のその男には何一つ動じた様子は無い。
むしろ泰然自若とした様子だ。
2人はそんな中、赤いカーペットの上をサクサクと進むと、玉座に座るその男と対峙する。
「カッ!!どっちでもいい話だッ!!相変わらず元気そうで嫌気が刺すよッ!!」
シャーキッドは玉座の前に立って早々そう言って舌打ちを漏らした。
『玉座の間』とはいえこの男がもちろん跪くわけもなく、ドリオーと共に立ったままの姿勢だ。
男はそれに対して特に気にしてもなさそうにフッと余裕な笑みを浮かべると、玉座の手摺りで余裕綽々に頬杖をつく。
そう…………
この男こそ、先の話にあった『代表者』だった。
ここにきた目的の人物だ。
このシベリザード連合国の実質的なトップであり、この亜人種とヒューマンの"共生"を繋いだ功労者────。
そして…………
この国を『中央区』と『外周区』に分け、意図的に差別的な社会を産み出した"元凶"でもある。
そんな大物である男はずいぶんと痩せ型で、あまりトップらしからぬ様相をしていた。
吊り上がった目はどこか細長く、頬は少しばかりこけ、全体的にはかなり暗い雰囲気だ。
ハッキリ言うと小物っぽい。
とてもじゃないが、シャーキッドがいうような立派な存在には見えなかった。
どちらかというと事務方にでもいそうな見た目だ。
見た感じでは、ほとんどマトモに戦えそうにすら思えない。
「…………おい、シャーキッド。"自他共に認める"強い王って話じゃなかったのか?」
「黙ってろ」
本人に聞こえないよう小声で尋ねてきたドリオーに、シャーキッドはプイッとそっぽを向いた。
やはりシャーキッドのテンションは相変わらずのようだ。
いつもの耳をつんざくような喧しさはナリをひそめ、少しばかり苛立った雰囲気を醸し出している。
小規模とはいえ、まるで王宮のようだ。
この国は"元"貴族が溢れかえっているため、ある種の意趣返しなのかもしれない。
廊下を進めば武装した兵士がキリッと姿勢を整えて等間隔に並んでいるが、その威圧感や戦力は帝国の兵士と比べても遜色ないものだった。
世界一治安の悪いと称されるこの国にしては少し意外な光景だ。
シャーキッドはそれらの兵士たちの前を颯爽と歩いていくと、1つの大きな扉の前で立ち止まる。
「………………ここは?」
純粋な疑問と"訝しさ"の混じった声────。
ただ付いていくだけのドリオーからすれば、今のコレは本当にまったく訳の分からない状況だった。
この中央区に入って以来、ドリオーからすればずっと驚きの連続なのだ。
相変わらずシャーキッドは何も語らないが、この大きな扉の先くらいはドリオーでも予想がつく。
聞いたのは確認のためと、流石に"まさか"という思いがあったからだ。
シャーキッドは案の定ドリオーを無視してその扉を見ると、ハァーーッと嫌そうにため息を吐き出す。
「チッ、気乗りはしねぇが仕方ねぇ…………。…………とりあえず行くぞ」
シャーキッドはそう言うが早いか、金ピカに装飾されたそのドアノブに手をかけた。
細かい所までいちいち豪奢な造りだ。
そして…………
シャーキッドはノックも声掛けも無しのまま、目の前の扉を一気に開け放つ。
「ケッケッケッケッ!!あぁ、"お帰り"────というべきなのかな?シャーキッドッ!!」
中に入ると、そこは予想通り『王座』のような場所だった。
というよりそのまんまだ。
その王座には一人の男が座っており、他には誰もいない。
廊下に並んでいた兵士たちも侍女や召使いでさえも、この『玉座の間』には他に誰もいないようだった。
『王』のような場所に鎮座する割には少し不用心だと思うが、とりあえずはまぁ"不要"だということなのだろう。
それが実力による自信なのかシャーキッドへの信頼なのかは分からないが、肝心のその男には何一つ動じた様子は無い。
むしろ泰然自若とした様子だ。
2人はそんな中、赤いカーペットの上をサクサクと進むと、玉座に座るその男と対峙する。
「カッ!!どっちでもいい話だッ!!相変わらず元気そうで嫌気が刺すよッ!!」
シャーキッドは玉座の前に立って早々そう言って舌打ちを漏らした。
『玉座の間』とはいえこの男がもちろん跪くわけもなく、ドリオーと共に立ったままの姿勢だ。
男はそれに対して特に気にしてもなさそうにフッと余裕な笑みを浮かべると、玉座の手摺りで余裕綽々に頬杖をつく。
そう…………
この男こそ、先の話にあった『代表者』だった。
ここにきた目的の人物だ。
このシベリザード連合国の実質的なトップであり、この亜人種とヒューマンの"共生"を繋いだ功労者────。
そして…………
この国を『中央区』と『外周区』に分け、意図的に差別的な社会を産み出した"元凶"でもある。
そんな大物である男はずいぶんと痩せ型で、あまりトップらしからぬ様相をしていた。
吊り上がった目はどこか細長く、頬は少しばかりこけ、全体的にはかなり暗い雰囲気だ。
ハッキリ言うと小物っぽい。
とてもじゃないが、シャーキッドがいうような立派な存在には見えなかった。
どちらかというと事務方にでもいそうな見た目だ。
見た感じでは、ほとんどマトモに戦えそうにすら思えない。
「…………おい、シャーキッド。"自他共に認める"強い王って話じゃなかったのか?」
「黙ってろ」
本人に聞こえないよう小声で尋ねてきたドリオーに、シャーキッドはプイッとそっぽを向いた。
やはりシャーキッドのテンションは相変わらずのようだ。
いつもの耳をつんざくような喧しさはナリをひそめ、少しばかり苛立った雰囲気を醸し出している。
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