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【第七章】シベリザード連合国
【第五十一話】侵攻 ①
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「フハハハ…………ッ!!コレが噂の『シベリザード連合国』かッ!!」
一方、恭司たち魔族軍は、とうとう『シベリザード連合国』へと辿り着いていた。
とは言っても、今はまだ国から少し離れた草原で、中までは入っていない。
連合国に対抗する術があるのかは不明だが、とりあえず様子見するためだ。
流石に着いて早々すぐに突撃することはない。
「魔王様…………。少し休憩を挟んだ方が宜しいかと思われますが……」
そんな中、ドライダスは恭司にそう提案してきた。
あの『準備』の後、恭司はすぐさま進行を再開させたのだが、そのせいで魔族たちの疲弊が思いの外激しかったのだ。
恭司と『竜種』たちだけは相変わらず涼しい顔をしているが、なんだかんだと国を跨ぐほどの進行なため、体力自慢の魔族たちでも限界はある。
中には遅れている者すら出ているくらいだ。
まぁ、魔族たちはそれぞれで個体差も大きいため、それもある程度は仕方がない。
「そうだな…………。いざって時にへばられても困るし、そうするか。遅れている奴らもフォローしてやれ」
「ハッ。承知致しました。魔王様はここでお待ちになられますか?」
「いや…………」
恭司はそこで言葉を止めて、まだ少し距離のある連合国の方に目を向けた。
今頃、連合国は大慌てになっていることだろう。
なんせ、いきなり10万以上の魔族が突然やって来たのだ。
年中内乱を繰り返している国にちゃんとした防衛機能が整っているのかは謎だが、そうでなくとも気付ける者は察知しているに違いない。
「俺は少し様子を見てくるよ。ちょっとした『探しモノ』もあることだしなァ……」
「…………?探し物…………ですか?」
「あぁ…………。探し"者"だよ」
恭司はそう言って、首を傾げるドライダスを尻目に、先を歩いていった。
一応は偵察だ。
ドライダスとは何かあった時の合図だけを決め、恭司は連合国に向けて一足先に向かうことにする。
すると…………
「主人様…………ッ!!」
そこで目敏く、ウルスが声をかけてきた。
一人で陣を離れていく恭司を見て心配になったのだろう。
やはり、あの時の言葉だけでは何も安心できなかったのだ。
ウルスの後ろには配下である『餓狼族』たちが揃って膝をつき、恭しく頭を下げている。
「あぁ、ウルスか…………。ちょうど今、呼ぼうと思っていたんだ。これから連合国に偵察に向かう所でなぁ……」
「で、では…………ッ!!」
「いや…………言ったろう?お前たちには『役目』があると。それが、"今"なんだよ」
「え…………?そ、それは一体、どのような……」
ウルスは首を傾げた。
結局『役目』と言われながら何も指示されていなかったウルスだが、まさかここでそれを言ってくるとは思わなかったのだ。
てっきり戦争が始まってから奇襲でもさせられるのかと思っていただけに、少しばかり拍子抜けでもある。
そして…………
「なぁに、そう難しいことじゃねぇさ。俺たちはこれから、この群勢を率いてあの国を攻め落とすだろう…………?だから、その前にあの国にいる亜人種たちを導いて、亡命してほしいんだよ」
「え…………ッ!?よ、よろしいのですかッ!?」
恭司の指示は、ウルスにとっては正に渡りに船のような内容だった。
要はこれから恭司が国を攻め落とすから、その前に大事な者たちは先に逃がしておけという話だ。
あまりにもマトモすぎて、正直言って気味が悪い。
「おいおい、何を驚いてるんだよ?言っていただろう?亜人種の皆だけでも救ってやるって。俺や魔族がいけばその瞬間に争いになるだろうからな…………。これこそが、お前たち亜人種にしかできない、『役目』だよ」
恭司はそう言って微笑んだ。
確かに、コレはウルスたちにしかできない役割だ。
対立真っ最中のヒューマンである恭司はもちろん、魔族だって亜人種たちは信用しないに違いない。
しかも、
ウルスたち自身が元々この国出身の戦士なのだ。
単に同種というだけでなく、元仲間という点が大きい。
あの国の亜人種たちにどういう事情や背景があるのかは知らないが、何も知らない奴が一から説得するよりはずっとハードルも低くなるだろう。
まぁ、それでもこの国の内乱になった原因を放棄するわけだから、相応に苦労はするだろうが…………。
恭司はただ…………ただ、ニッコリと笑う。
「ですが…………我々だけでそう上手く事が運ぶでしょうか…………。それに、亡命と言っても、一体どこに行けば……」
ウルスはそう言って項垂れた。
ようやく見えた光明ではあるが、実質的には勝手に行って何とかしてこいという話なのだ。
心配になるのも仕方がない。
一方、恭司たち魔族軍は、とうとう『シベリザード連合国』へと辿り着いていた。
とは言っても、今はまだ国から少し離れた草原で、中までは入っていない。
連合国に対抗する術があるのかは不明だが、とりあえず様子見するためだ。
流石に着いて早々すぐに突撃することはない。
「魔王様…………。少し休憩を挟んだ方が宜しいかと思われますが……」
そんな中、ドライダスは恭司にそう提案してきた。
あの『準備』の後、恭司はすぐさま進行を再開させたのだが、そのせいで魔族たちの疲弊が思いの外激しかったのだ。
恭司と『竜種』たちだけは相変わらず涼しい顔をしているが、なんだかんだと国を跨ぐほどの進行なため、体力自慢の魔族たちでも限界はある。
中には遅れている者すら出ているくらいだ。
まぁ、魔族たちはそれぞれで個体差も大きいため、それもある程度は仕方がない。
「そうだな…………。いざって時にへばられても困るし、そうするか。遅れている奴らもフォローしてやれ」
「ハッ。承知致しました。魔王様はここでお待ちになられますか?」
「いや…………」
恭司はそこで言葉を止めて、まだ少し距離のある連合国の方に目を向けた。
今頃、連合国は大慌てになっていることだろう。
なんせ、いきなり10万以上の魔族が突然やって来たのだ。
年中内乱を繰り返している国にちゃんとした防衛機能が整っているのかは謎だが、そうでなくとも気付ける者は察知しているに違いない。
「俺は少し様子を見てくるよ。ちょっとした『探しモノ』もあることだしなァ……」
「…………?探し物…………ですか?」
「あぁ…………。探し"者"だよ」
恭司はそう言って、首を傾げるドライダスを尻目に、先を歩いていった。
一応は偵察だ。
ドライダスとは何かあった時の合図だけを決め、恭司は連合国に向けて一足先に向かうことにする。
すると…………
「主人様…………ッ!!」
そこで目敏く、ウルスが声をかけてきた。
一人で陣を離れていく恭司を見て心配になったのだろう。
やはり、あの時の言葉だけでは何も安心できなかったのだ。
ウルスの後ろには配下である『餓狼族』たちが揃って膝をつき、恭しく頭を下げている。
「あぁ、ウルスか…………。ちょうど今、呼ぼうと思っていたんだ。これから連合国に偵察に向かう所でなぁ……」
「で、では…………ッ!!」
「いや…………言ったろう?お前たちには『役目』があると。それが、"今"なんだよ」
「え…………?そ、それは一体、どのような……」
ウルスは首を傾げた。
結局『役目』と言われながら何も指示されていなかったウルスだが、まさかここでそれを言ってくるとは思わなかったのだ。
てっきり戦争が始まってから奇襲でもさせられるのかと思っていただけに、少しばかり拍子抜けでもある。
そして…………
「なぁに、そう難しいことじゃねぇさ。俺たちはこれから、この群勢を率いてあの国を攻め落とすだろう…………?だから、その前にあの国にいる亜人種たちを導いて、亡命してほしいんだよ」
「え…………ッ!?よ、よろしいのですかッ!?」
恭司の指示は、ウルスにとっては正に渡りに船のような内容だった。
要はこれから恭司が国を攻め落とすから、その前に大事な者たちは先に逃がしておけという話だ。
あまりにもマトモすぎて、正直言って気味が悪い。
「おいおい、何を驚いてるんだよ?言っていただろう?亜人種の皆だけでも救ってやるって。俺や魔族がいけばその瞬間に争いになるだろうからな…………。これこそが、お前たち亜人種にしかできない、『役目』だよ」
恭司はそう言って微笑んだ。
確かに、コレはウルスたちにしかできない役割だ。
対立真っ最中のヒューマンである恭司はもちろん、魔族だって亜人種たちは信用しないに違いない。
しかも、
ウルスたち自身が元々この国出身の戦士なのだ。
単に同種というだけでなく、元仲間という点が大きい。
あの国の亜人種たちにどういう事情や背景があるのかは知らないが、何も知らない奴が一から説得するよりはずっとハードルも低くなるだろう。
まぁ、それでもこの国の内乱になった原因を放棄するわけだから、相応に苦労はするだろうが…………。
恭司はただ…………ただ、ニッコリと笑う。
「ですが…………我々だけでそう上手く事が運ぶでしょうか…………。それに、亡命と言っても、一体どこに行けば……」
ウルスはそう言って項垂れた。
ようやく見えた光明ではあるが、実質的には勝手に行って何とかしてこいという話なのだ。
心配になるのも仕方がない。
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