17 / 267
【第一章】脱獄
【第五話】最後の関門 ③
しおりを挟む
「目にモノ見せてやる…………ッ!!」
途端────。
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドォォォォォォォォオオオオオオオオ…………ッ!!
光線による爆撃で広がる白煙────。
恭司も視界が悪い状況だったが、ある程度の軌道が見えた以上、避けるのはそれほど難しくなかった。
杖の方向だけ見ておけば良いのだ。
そのまま煙の中で全て躱しきり、躱した先で、白煙の中から飛び出す。
そして…………
恭司は先頭にいる白いローブの一団に、颯爽と襲いかかった。
「な、何ィ…………ッ!?」
「ば、バカな…………ッ!!聞いていた話と違うぞッ!?何故生きているんだッ!?」
「ど、どどどど、どういうことなんだッ!?コレで終わるはずじゃなかったのかッ!?」
まさか2発とも避けられるとは想定していなかったのか、白いローブの連中は慌てふためいていた。
そもそもこんな土壇場の作戦で、カザル相手の対策など全く想定できていなかったのだろう。
ある意味、当然のことだ。
処刑当日で練達者を割いているとはいえ、無能者相手にここまで攻め込まれるなど、予想できていなくても仕方がない。
後ろの隊長クラスの兵士たちも状況に対応しようと動き出すが、前にいる彼らが邪魔で上手く前に進めずにいた。
「どけぇ、貴様らァッ!!邪魔だァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
「ひ、ヒィィィィィィイイイイイイイイイイイイイイ…………ッ!!そ、そう言われましても…………ッ!!い、一体どこに動けば…………ッ!!」
「貴様らの仕事は終わっただろうがッ!!ここからは我らの仕事だッ!!我らの攻撃に巻き込まれたいのかッ!!」
「そ、そんな滅相も……ッ!!アギャァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
この土壇場でそんな会話をしているくらいだ。
彼らにとっては、この二射で全てが完了しているはずだったのだろう。
恭司は悠々と、前にいる人間から順に始末していく。
慌てふためいているおかげで余裕だった。
パニックになった射撃兵たちを近接で始末することくらい、恭司にとっては造作もないことだ。
容赦なく片っ端から斬り裂いていく。
しかし…………そんな中────。
「…………ッ!!」
体が瞬時に反応した。
異常事態だ。
恭司のすぐ側で感じた異質な殺気────。
"単独"で放たれた凄まじい殺意────。
恭司は首を振ると、すぐにそちらへと目を向ける。
「く、くそオオオオオオオオオオオオオオオオオオ…………ッ!!皆をよくも……ッ!!よくもッ!!この化け物がァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
見ると、白いローブを着た人間のうち、1人の男の杖が光っていた。
このカオスな状況の中、パニックになって自発的に攻撃をしようとしているのだろう。
予想外の出来事────。
だが、
恭司はそれを見ると、慌てるでも慄くでもなく…………むしろニィィイイイイイイイイイイイイイイッと、嫌らしく笑った。
好機だ。
この人が密集した状況下で、射出系の技の独自使用なんて────。
利用しない手はない。
恭司は杖から光線が発射されるより前に、素早くその男へと近づいた。
男は逆に近付いてくるなど予想外だったのか、杖が光る中、慌てふためく。
恭司にとっては、その方が好都合だ。
恭司は無駄の無い動きで一瞬にしてその男に近づくと、流れるように肩を掴む。
そして…………
男の体を、無理矢理一団の方向へと向けた。
「へ………………?」
一瞬の静寂────。
あまりに突然の出来事で、恭司以外、誰も状況が分かっていなかった。
しかし…………
状況はあっという間に動き出す。
光った杖は輝きを増すと、男の味方に向けて、それは放たれたのだ。
ドォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
「き、貴様ァッ!!何をしているるるるるるるるるるるるるるるるるるッ!!」
「あ、熱いッ!!熱いイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ…………ッ!!」
兵士たちの絶叫が響き渡った。
たった1発とはいえ、ほぼ目の前でいきなり仲間が反転して攻撃してきたのだ。
誰も予想していなかったし、この混乱の中、防御することも儘ならない。
イレギュラーな事態だったが、上々の成果だ。
光線によって生じた爆発は数多の兵士たちの体を焼き、密集していたが故に散々な結果を及ぼしている。
恭司としては、笑いが止まらなかった。
「あ、アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア…………ッ!!そ、そんな…………ッ!!わ、私…………わわ、わ、私は……ッ!!そ、そそそ、そんなつもりでは…………ッ!!」
光線を引き起こしたその張本人は、ぶつぶつとそんなことを呟きながら、1人狼狽えていた。
だが、
恭司は構わない。
もう用無しとばかりに即座に男の首を斬って殺すと、一団の連中に追い討ちをかけにいった。
前の方にいた奴はともかく、後ろにいた人間や端にいた人間ほど、他の人間が盾になって被害が少なかったはずだ。
まだまだ全員は死んでいない。
なら、ここから先は────。
純粋な、斬り合いの勝負だ。
「き、貴様ァ…………ッ!!この我ら『銀翼師団』を相手に…………ッ!!よくもここまでやってくれたなァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
『銀翼師団』…………というのは知らないが、彼らの部隊名だと思われた。
彼らはその男の声を皮切りに、恭司に向けて一斉に襲いかかってくる。
ここにいるのは、全員が隊長クラスだ。
おそらくは職業も『上位剣士』やそれ以上に違いない。
数は減らしたとはいえ、決して気を抜ける状況ではなかった。
むしろこれからこそが、正念場だと言っていい。
少しでも気を抜けば終わりだ。
恭司は覚悟を決めつつ、ナイフを構える。
途端────。
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドォォォォォォォォオオオオオオオオ…………ッ!!
光線による爆撃で広がる白煙────。
恭司も視界が悪い状況だったが、ある程度の軌道が見えた以上、避けるのはそれほど難しくなかった。
杖の方向だけ見ておけば良いのだ。
そのまま煙の中で全て躱しきり、躱した先で、白煙の中から飛び出す。
そして…………
恭司は先頭にいる白いローブの一団に、颯爽と襲いかかった。
「な、何ィ…………ッ!?」
「ば、バカな…………ッ!!聞いていた話と違うぞッ!?何故生きているんだッ!?」
「ど、どどどど、どういうことなんだッ!?コレで終わるはずじゃなかったのかッ!?」
まさか2発とも避けられるとは想定していなかったのか、白いローブの連中は慌てふためいていた。
そもそもこんな土壇場の作戦で、カザル相手の対策など全く想定できていなかったのだろう。
ある意味、当然のことだ。
処刑当日で練達者を割いているとはいえ、無能者相手にここまで攻め込まれるなど、予想できていなくても仕方がない。
後ろの隊長クラスの兵士たちも状況に対応しようと動き出すが、前にいる彼らが邪魔で上手く前に進めずにいた。
「どけぇ、貴様らァッ!!邪魔だァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
「ひ、ヒィィィィィィイイイイイイイイイイイイイイ…………ッ!!そ、そう言われましても…………ッ!!い、一体どこに動けば…………ッ!!」
「貴様らの仕事は終わっただろうがッ!!ここからは我らの仕事だッ!!我らの攻撃に巻き込まれたいのかッ!!」
「そ、そんな滅相も……ッ!!アギャァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
この土壇場でそんな会話をしているくらいだ。
彼らにとっては、この二射で全てが完了しているはずだったのだろう。
恭司は悠々と、前にいる人間から順に始末していく。
慌てふためいているおかげで余裕だった。
パニックになった射撃兵たちを近接で始末することくらい、恭司にとっては造作もないことだ。
容赦なく片っ端から斬り裂いていく。
しかし…………そんな中────。
「…………ッ!!」
体が瞬時に反応した。
異常事態だ。
恭司のすぐ側で感じた異質な殺気────。
"単独"で放たれた凄まじい殺意────。
恭司は首を振ると、すぐにそちらへと目を向ける。
「く、くそオオオオオオオオオオオオオオオオオオ…………ッ!!皆をよくも……ッ!!よくもッ!!この化け物がァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
見ると、白いローブを着た人間のうち、1人の男の杖が光っていた。
このカオスな状況の中、パニックになって自発的に攻撃をしようとしているのだろう。
予想外の出来事────。
だが、
恭司はそれを見ると、慌てるでも慄くでもなく…………むしろニィィイイイイイイイイイイイイイイッと、嫌らしく笑った。
好機だ。
この人が密集した状況下で、射出系の技の独自使用なんて────。
利用しない手はない。
恭司は杖から光線が発射されるより前に、素早くその男へと近づいた。
男は逆に近付いてくるなど予想外だったのか、杖が光る中、慌てふためく。
恭司にとっては、その方が好都合だ。
恭司は無駄の無い動きで一瞬にしてその男に近づくと、流れるように肩を掴む。
そして…………
男の体を、無理矢理一団の方向へと向けた。
「へ………………?」
一瞬の静寂────。
あまりに突然の出来事で、恭司以外、誰も状況が分かっていなかった。
しかし…………
状況はあっという間に動き出す。
光った杖は輝きを増すと、男の味方に向けて、それは放たれたのだ。
ドォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
「き、貴様ァッ!!何をしているるるるるるるるるるるるるるるるるるッ!!」
「あ、熱いッ!!熱いイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ…………ッ!!」
兵士たちの絶叫が響き渡った。
たった1発とはいえ、ほぼ目の前でいきなり仲間が反転して攻撃してきたのだ。
誰も予想していなかったし、この混乱の中、防御することも儘ならない。
イレギュラーな事態だったが、上々の成果だ。
光線によって生じた爆発は数多の兵士たちの体を焼き、密集していたが故に散々な結果を及ぼしている。
恭司としては、笑いが止まらなかった。
「あ、アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア…………ッ!!そ、そんな…………ッ!!わ、私…………わわ、わ、私は……ッ!!そ、そそそ、そんなつもりでは…………ッ!!」
光線を引き起こしたその張本人は、ぶつぶつとそんなことを呟きながら、1人狼狽えていた。
だが、
恭司は構わない。
もう用無しとばかりに即座に男の首を斬って殺すと、一団の連中に追い討ちをかけにいった。
前の方にいた奴はともかく、後ろにいた人間や端にいた人間ほど、他の人間が盾になって被害が少なかったはずだ。
まだまだ全員は死んでいない。
なら、ここから先は────。
純粋な、斬り合いの勝負だ。
「き、貴様ァ…………ッ!!この我ら『銀翼師団』を相手に…………ッ!!よくもここまでやってくれたなァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
『銀翼師団』…………というのは知らないが、彼らの部隊名だと思われた。
彼らはその男の声を皮切りに、恭司に向けて一斉に襲いかかってくる。
ここにいるのは、全員が隊長クラスだ。
おそらくは職業も『上位剣士』やそれ以上に違いない。
数は減らしたとはいえ、決して気を抜ける状況ではなかった。
むしろこれからこそが、正念場だと言っていい。
少しでも気を抜けば終わりだ。
恭司は覚悟を決めつつ、ナイフを構える。
0
お気に入りに追加
108
あなたにおすすめの小説
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
【短編】冤罪が判明した令嬢は
砂礫レキ
ファンタジー
王太子エルシドの婚約者として有名な公爵令嬢ジュスティーヌ。彼女はある日王太子の姉シルヴィアに冤罪で陥れられた。彼女と二人きりのお茶会、その密室空間の中でシルヴィアは突然フォークで自らを傷つけたのだ。そしてそれをジュスティーヌにやられたと大騒ぎした。ろくな調査もされず自白を強要されたジュスティーヌは実家に幽閉されることになった。彼女を公爵家の恥晒しと憎む父によって地下牢に監禁され暴行を受ける日々。しかしそれは二年後終わりを告げる、第一王女シルヴィアが嘘だと自白したのだ。けれど彼女はジュスティーヌがそれを知る頃には亡くなっていた。王家は醜聞を上書きする為再度ジュスティーヌを王太子の婚約者へ強引に戻す。
そして一年後、王太子とジュスティーヌの結婚式が盛大に行われた。
虐げられた令嬢、ペネロペの場合
キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。
幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。
父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。
まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。
可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。
1話完結のショートショートです。
虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい……
という願望から生まれたお話です。
ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。
R15は念のため。
婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな
カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界
魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた
「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね?
それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」
小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く
塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう
一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが……
◇◇◇
親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります
(『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です)
◇◇◇
ようやく一区切りへの目処がついてきました
拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる