122 / 140
第6章 脱走勇者は悪魔になる
122 クレアとの会話、そして告白
しおりを挟む
「やあ、よく来たね」
「ええ、とはいえ王城に入るのは初めてですが」
「確かにね。 では、クレア君がいる部屋に案内しよう」
ガイアブルクの王城の正門前でクリストフ国王が待っていた。
相変わらずの行動力だが、今はそれのおかげですんなり城の中に入れる。
「こういうのは私自ら出た方がいいからね。 一応、伝えてはいるがどうも聞き流している兵士や他国の人間を嫌う兵士が未だに燻ってるのでね」
「穴埋めのための兵士募集は?」
「しているが、なかなかこちらの願うような人材がいないのがね。 今回は特に君達異世界の人やヘキサ公国出身の人物を受け入れているからね」
「差別思想がトラブルの種になりやすいと」
「私が国王になる前からいる老年の兵士たちが他国民や魔族がこの国に住むことに尚も反対しているのがね。 しかも、その兵士たちはその手の思想を持った多数の貴族とのパイプを持っているのが厄介でね」
「叩いても叩いても湧いて出ると」
「繋がっている幾つかの貴族一家をかなり潰したのだが、そういうガルタイトに近い思想を潜在的に抱いている貴族は世界中にいるのがね」
クレアがいる部屋へ案内している最中に、クリストフ国王から現在のガイアブルクが抱える国内の情勢を語った。
国王が自ら出迎えたのも、兵士の中には俺達異世界人やシンシアさんやイリアさんなどの魔族、そして他国人を毛嫌いしている存在もいるようだ。
それが、若い世代はあまりいないが老人に近い世代に多いと言う事も。
さらにはその思想を抱く者の背後に、世界中の排他主義的な思想を抱く貴族たちがいるようで、国王が沢山それを潰してもゴキブリのように新たに湧いてくるみたいだ。
「さて、着いた。 ここがクレア君がいる部屋だ」
「ここが……」
着いたのは、来賓用の個室。
その中の一つの扉の奥に、彼女が……クレアがいる。
クレアは、ガイアブルクの国民になる事を自ら決めた。
その上で、彼女は俺に話したいと言うのだ。
「クレア君。 アキト君を連れて来たよ」
「はい、今開けます」
クレアの声が聞こえた。
エミリーの時といい、密かに緊張している。
そして、扉が開き、クレアが顔を覗かせて来た。
「来てくれて……、ありがとう、アキト君」
「ああ。 俺に……話があるんだって?」
「うん……。 入って……」
クレアが手招きするので、それにつられて部屋に入る。
来賓用の部屋だが、部屋の中にベッドや浴室、トイレが設置されている。
クレアがソファーに座ったので、俺はその隣に座らせてもらう。
「まず、国王様から聞いたと思うけど……、私、ガイアブルクの国民になる」
「ああ、聞いたよ。 エミリーも喜んでた節があったしな」
「あれからあの子と……、連絡できなかったし……、元気そうでよかった」
「やっぱり、その……」
「うん。 ヘキサ公国が……滅びちゃった……から。 両親共々」
「そうか……」
あまりいい気分はしないだろう。
やはり、クレアの両親は如月達の襲撃のせいで、公国壊滅と同時に死んでしまったようだ。
その上で、あいつらはクレアを……。
「リックさんもリリアさんも……、ここガイアブルクの……国民になるよ」
「あの二人も」
「うん」
リックさんもリリアさんも、どうやらガイアブルクの国民になる事が確定した。
あの二人も色々考えた結果なのだろう。
「記憶を完全に失ったカイゼルさんは……、身体が癒えた後で……、ゼイドラムのプロジェクトに参加するみたい」
カイゼルさんは、ヘキサ公国だった場所を共和国化して復興させるプロジェクトに参加か。
俺が知り合ったヘキサ公国の冒険者達の進退を知った事は収穫かな?
「私も……、ガイアブルクの国民になるという事で……、アキト君に伝えたい事があるの」
そして、クレアは伝えたいことがあると言った後で一時俯いた。
その後すぐに顔を上げて、俺に向かってこう言ってきた。
「私を……、アキト君のお嫁さんの一人に……してください」
そう告白してきたクレアの瞳は、真剣そのものだった。
「ええ、とはいえ王城に入るのは初めてですが」
「確かにね。 では、クレア君がいる部屋に案内しよう」
ガイアブルクの王城の正門前でクリストフ国王が待っていた。
相変わらずの行動力だが、今はそれのおかげですんなり城の中に入れる。
「こういうのは私自ら出た方がいいからね。 一応、伝えてはいるがどうも聞き流している兵士や他国の人間を嫌う兵士が未だに燻ってるのでね」
「穴埋めのための兵士募集は?」
「しているが、なかなかこちらの願うような人材がいないのがね。 今回は特に君達異世界の人やヘキサ公国出身の人物を受け入れているからね」
「差別思想がトラブルの種になりやすいと」
「私が国王になる前からいる老年の兵士たちが他国民や魔族がこの国に住むことに尚も反対しているのがね。 しかも、その兵士たちはその手の思想を持った多数の貴族とのパイプを持っているのが厄介でね」
「叩いても叩いても湧いて出ると」
「繋がっている幾つかの貴族一家をかなり潰したのだが、そういうガルタイトに近い思想を潜在的に抱いている貴族は世界中にいるのがね」
クレアがいる部屋へ案内している最中に、クリストフ国王から現在のガイアブルクが抱える国内の情勢を語った。
国王が自ら出迎えたのも、兵士の中には俺達異世界人やシンシアさんやイリアさんなどの魔族、そして他国人を毛嫌いしている存在もいるようだ。
それが、若い世代はあまりいないが老人に近い世代に多いと言う事も。
さらにはその思想を抱く者の背後に、世界中の排他主義的な思想を抱く貴族たちがいるようで、国王が沢山それを潰してもゴキブリのように新たに湧いてくるみたいだ。
「さて、着いた。 ここがクレア君がいる部屋だ」
「ここが……」
着いたのは、来賓用の個室。
その中の一つの扉の奥に、彼女が……クレアがいる。
クレアは、ガイアブルクの国民になる事を自ら決めた。
その上で、彼女は俺に話したいと言うのだ。
「クレア君。 アキト君を連れて来たよ」
「はい、今開けます」
クレアの声が聞こえた。
エミリーの時といい、密かに緊張している。
そして、扉が開き、クレアが顔を覗かせて来た。
「来てくれて……、ありがとう、アキト君」
「ああ。 俺に……話があるんだって?」
「うん……。 入って……」
クレアが手招きするので、それにつられて部屋に入る。
来賓用の部屋だが、部屋の中にベッドや浴室、トイレが設置されている。
クレアがソファーに座ったので、俺はその隣に座らせてもらう。
「まず、国王様から聞いたと思うけど……、私、ガイアブルクの国民になる」
「ああ、聞いたよ。 エミリーも喜んでた節があったしな」
「あれからあの子と……、連絡できなかったし……、元気そうでよかった」
「やっぱり、その……」
「うん。 ヘキサ公国が……滅びちゃった……から。 両親共々」
「そうか……」
あまりいい気分はしないだろう。
やはり、クレアの両親は如月達の襲撃のせいで、公国壊滅と同時に死んでしまったようだ。
その上で、あいつらはクレアを……。
「リックさんもリリアさんも……、ここガイアブルクの……国民になるよ」
「あの二人も」
「うん」
リックさんもリリアさんも、どうやらガイアブルクの国民になる事が確定した。
あの二人も色々考えた結果なのだろう。
「記憶を完全に失ったカイゼルさんは……、身体が癒えた後で……、ゼイドラムのプロジェクトに参加するみたい」
カイゼルさんは、ヘキサ公国だった場所を共和国化して復興させるプロジェクトに参加か。
俺が知り合ったヘキサ公国の冒険者達の進退を知った事は収穫かな?
「私も……、ガイアブルクの国民になるという事で……、アキト君に伝えたい事があるの」
そして、クレアは伝えたいことがあると言った後で一時俯いた。
その後すぐに顔を上げて、俺に向かってこう言ってきた。
「私を……、アキト君のお嫁さんの一人に……してください」
そう告白してきたクレアの瞳は、真剣そのものだった。
0
お気に入りに追加
72
あなたにおすすめの小説
未来人の予言を信じて最強国家インドに投資してみた🇮🇳
ゆっち
経済・企業
2062年から来た未来人を信じて新NISA枠でインド投資信託を始めてみた。
インド経済についてのレポートと日々の投資に関する運用結果をメモ替わりに報告していく。
インド株は3種類のファンドを積立・成長投資で所有しているが、ここでは「楽天・インド株Nifty50インデックス・ファンド」の運用結果のみを記録する。
親友に婚約者を取られたはずだったのに!でもなぜか男になった親友に溺愛され囚われそうなのですが…
Karamimi
恋愛
貴族学院1年生、14歳の伯爵令嬢アリスには悩みがある。それは、婚約者で侯爵令息のアーロが物凄くモテる事だ。
親同士が決めた婚約ではあるが、それでもアリスはアーロを慕っていた。そんなある日、アリスと婚約破棄をし、別の女性と婚約を結び直したいと言って来たのだ!その決意は強く、アリスは泣く泣く婚約破棄する事に。
さらに相手の女性は第3王女でもあるアリスの親友、エドリーンだったのだ。アーロに婚約破棄された事よりも、絶大な信頼を寄せていたエドリーンに裏切られたショックで落ち込むアリス。
そんなアリスの元にやって来たのは、なんと男性の姿をしたエドリーンだったのだ!
一体どういう事?動揺するアリスにエドリーンは
「アリス、俺は初めて会ったあの日から君を愛してきた。どうか俺と婚約して欲しい!」
そう詰め寄って来たのだ。ちょっと待って!エドリーンが男!そして私を愛しているですって!
そもそもアーロ様はどうなったの?完全にパニック状態のアリスは、あろう事かエドリーンから逃げようとするが…
ずっと親友で女性だと思っていた人に詰め寄られ、逃げ腰のアリスと、今まで抑えていた感情を爆発させ、何が何でもアリスを手に入れようとする王子のお話です。
冷徹女王の中身はモノグサ少女でした ~魔女に呪われ国を奪われた私ですが、復讐とか面倒なのでのんびりセカンドライフを目指します~
日之影ソラ
ファンタジー
タイトル統一しました!
小説家になろうにて先行公開中
https://ncode.syosetu.com/n5925iz/
残虐非道の鬼女王。若くして女王になったアリエルは、自国を導き反映させるため、あらゆる手段を尽くした。時に非道とも言える手段を使ったことから、一部の人間からは情の通じない王として恐れられている。しかし彼女のおかげで王国は繁栄し、王国の人々に支持されていた。
だが、そんな彼女の内心は、女王になんてなりたくなかったと嘆いている。前世では一般人だった彼女は、ぐーたらと自由に生きることが夢だった。そんな夢は叶わず、人々に求められるまま女王として振る舞う。
そんなある日、目が覚めると彼女は少女になっていた。
実の姉が魔女と結託し、アリエルを陥れようとしたのだ。女王の地位を奪われたアリエルは復讐を決意……なーんてするわけもなく!
ちょうどいい機会だし、このままセカンドライフを送ろう!
彼女はむしろ喜んだ。
アルファポリスで投稿するにあたって。と、各投稿サイトやsns等に関して
ヘロヘロデス
エッセイ・ノンフィクション
アルファポリスでの投稿に関して思った事を書き連ねています。
また今までやっている各サイトへの投稿や各sns、自身のHPなどの広報活動や収益化に関しても述べていきます。
どの様にフォロワーを増やしたり、増えていったりしていったのか。
また、どうやって審査を通過していったのかなどを述べていきます。
異世界召喚されました……断る!
K1-M
ファンタジー
【第3巻 令和3年12月31日】
【第2巻 令和3年 8月25日】
【書籍化 令和3年 3月25日】
会社を辞めて絶賛無職中のおっさん。気が付いたら知らない空間に。空間の主、女神の説明によると、とある異世界の国の召喚魔法によりおっさんが喚ばれてしまったとの事。お約束通りチートをもらって若返ったおっさんの冒険が今始ま『断るっ!』
※ステータスの毎回表記は序盤のみです。
引退したオジサン勇者に子供ができました。いきなり「パパ」と言われても!?
リオール
ファンタジー
俺は魔王を倒し世界を救った最強の勇者。
誰もが俺に憧れ崇拝し、金はもちろん女にも困らない。これぞ最高の余生!
まだまだ30代、人生これから。謳歌しなくて何が人生か!
──なんて思っていたのも今は昔。
40代とスッカリ年食ってオッサンになった俺は、すっかり田舎の農民になっていた。
このまま平穏に田畑を耕して生きていこうと思っていたのに……そんな俺の目論見を崩すかのように、いきなりやって来た女の子。
その子が俺のことを「パパ」と呼んで!?
ちょっと待ってくれ、俺はまだ父親になるつもりはない。
頼むから付きまとうな、パパと呼ぶな、俺の人生を邪魔するな!
これは魔王を倒した後、悠々自適にお気楽ライフを送っている勇者の人生が一変するお話。
その子供は、はたして勇者にとって救世主となるのか?
そして本当に勇者の子供なのだろうか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる