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第6章 脱走勇者は悪魔になる
109 悪魔退治その1
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「まさかクレアさんにそんな事をしていたなんてね……。 ある意味最低だよ」
「まさに悪魔の所業ですね……」
俺が来栖を殴り飛ばしている隙に、エミリーがクレアを介抱したその背後でひなたとシンシアさんが如月をゴミを見る目で見ていた。
エミリー達を見ると、彼女に抱えられているクレアは心なしか震えている。
「アキト……くん……」
「ごめん、もう少し早く来れば……」
「ううん……、アキトくんのおかげで……この程度で済んだから……」
クレアは気丈に振舞っているが、あの光景を見てしまった俺としてはショックが大きいはず。
「エミリー、アイリス。クレアを頼む」
「分かったよ、おにいちゃん。 バスの所まで連れて行くね」
「行こう、クレア。 着替えもそこに用意してるから」
「うん……」
クレアは、エミリーとアイリスと一緒に軍用バスの方に向かった。
それを見届けた後、来栖を見る。
「どうやら悪魔化しただけあって、防御力が高そうだな」
「そのようだね。 暁斗君の全力のコークスクリューを顔に受けてるのに鼻血が出る程度だしね」
「うぐぐ……」
鼻を押さえてこちらに戻ってくる来栖。
その様子を俺とひなたは感心した様子で見た。
「まさか、佐々木達が来るとは……。 だが、俺達は新たな力を得たんだ。 負けはしないぞ」
如月も臨戦態勢を整えていた。
どうやら奴らは戦う事でしか選択肢はないようだ。
無論、俺自身もそれ以外を選択するつもりはないが。
「なら、私も相応の力を解放しましょうか」
そう言ってシンシアさんは、杖を手に集中し始めた。。
すると、杖を介して彼女の周囲から魔力が発生し、髪の色も金髪に変わっていく。
「シンシアさん、これは……!?」
シンシアさんの変化に驚きながらも由奈は彼女に尋ねた。
「かの威圧と並ぶ、獣人特有のスキルの一つの【獣戦士化】です。 これによって通常の4倍くらい能力が高まります。 効果時間も魔術師なら1時間、戦士系の場合は魔力が少ないために30分程度しか保てませんが」
魔術師系は1時間、戦士系は30分間は能力が4倍になるのか。
時間制限はあれど使いこなせば強力だな。
「なら妾も仕掛けようではないか」
「な、それはバズーカ!?」
シャルロット女王もそう言ってバズーカ砲を来栖達に向けた。
向けられた二人は、警戒心を強めていた。
「対悪魔用の砲弾の威力、とくと味わうがいい!!」
そして、バズーカ砲が火を噴いた。
砲弾は二人を目掛けて進んでいき、丁度二人にまとめて直撃する。
爆発音が鳴り響いた所で、俺とシンシアさんが仕掛けに入る。
煙で目視できないが、俺は気の流れで察知でき、【獣戦士化】したシンシアさんは魔力の流れで察知できるようだ。。
そのため、煙の中でもそれぞれ相手を捉え、攻撃を仕掛けることができた。
「おらあぁぁぁっ!!」
俺が捉えた相手は来栖。
今度はボディに向けて、ストマックブローを放った。
「ぐぼあぁぁぁぁっ!?」
直撃したかのようなうめき声を放ち、腹を押さえのけぞる来栖。
「疾風打!!」
「ごはぁぁっ!!?」
一方のシンシアさんは如月を捉え、風の魔力を纏った杖の打撃技を繰り出していた。
強化された杖の攻撃に風の魔力を乗せて、回転打ちを繰り出す技のようだ。
当然、それによって如月は吹き飛ばされていく。
「よ、よくもやったな……! お返ししてやる……!!」
来栖が爪を伸ばして俺に斬りかかる。
しかし、どうにも動きが遅く、回避しやすくなっている。
「ふむ、対悪魔用の砲弾は効いたようじゃな」
シャルロット女王は、その様子を見て勝ち誇った顔をしていた。
「女王様、さっきの砲弾は弱体化効果が乗ってたのですか?」
「正確には【悪魔の力】のみを取り除く効果を持つ砲弾じゃ。 いわば間接的な悪魔祓いじゃよ。 まぁ、【悪魔化】の解除だけは無理じゃったが」
あの防弾はそういう効果があったのか。
奴等は悪魔の力を取り除かれたために、攻撃もスピードも並の人間に戻ったのだ。
ただ、悪魔化だけは解除できなかったようだ。
道理で、悪魔の姿になったままなのに動きが遅かったわけだ。
ならばと剣を手にして、来栖に斬りかかった。
「ぎゃああああぁぁっ!!」
やはりか。
悪魔化によって得ていた防御力も徐々に低下していた。
自分の斬撃で奴の片腕を一発で切り落とす事が出来たからだ。
「た、たか……ゆき……」
一方、シンシアさんにやられた如月は自己回復魔法を掛けていた。
おそらく悪魔を殺した事が経験とされ、スキルを習得したのだろう。
「ま、まだだ……」
ある程度回復した所で立ち上がる。
来栖も自己回復魔法で少しだけ回復させていた。
なのだが、どうも様子がおかしい。
「俺は……、俺達は……、まだ死ねない……!」
「な、何をする気……!?」
嫌な予感を感じたひなたが、二人を止めようとするが僅かに遅かった。
二人の腕に異質な魔力が纏っていく。
「「死ねないんだぁぁぁっ!!」」
そう叫んだ二人は、お互いの拳を突き合せた。
「うおっ!?」
「きゃっ!?」
その瞬間、眩しい光が発生する。
何が起こるっていうんだ……!?
あまりにも眩しすぎて、全員動けないでいる。
しばらくして、光が収まったが……。
「な……!?」
「なんじゃあれは!?」
「マジものの……、悪魔だと!?」
そこにいたのは……、悪魔化した如月と来栖がいなくなった代わりにとてつもない容姿をした悪魔だった。
「まさに悪魔の所業ですね……」
俺が来栖を殴り飛ばしている隙に、エミリーがクレアを介抱したその背後でひなたとシンシアさんが如月をゴミを見る目で見ていた。
エミリー達を見ると、彼女に抱えられているクレアは心なしか震えている。
「アキト……くん……」
「ごめん、もう少し早く来れば……」
「ううん……、アキトくんのおかげで……この程度で済んだから……」
クレアは気丈に振舞っているが、あの光景を見てしまった俺としてはショックが大きいはず。
「エミリー、アイリス。クレアを頼む」
「分かったよ、おにいちゃん。 バスの所まで連れて行くね」
「行こう、クレア。 着替えもそこに用意してるから」
「うん……」
クレアは、エミリーとアイリスと一緒に軍用バスの方に向かった。
それを見届けた後、来栖を見る。
「どうやら悪魔化しただけあって、防御力が高そうだな」
「そのようだね。 暁斗君の全力のコークスクリューを顔に受けてるのに鼻血が出る程度だしね」
「うぐぐ……」
鼻を押さえてこちらに戻ってくる来栖。
その様子を俺とひなたは感心した様子で見た。
「まさか、佐々木達が来るとは……。 だが、俺達は新たな力を得たんだ。 負けはしないぞ」
如月も臨戦態勢を整えていた。
どうやら奴らは戦う事でしか選択肢はないようだ。
無論、俺自身もそれ以外を選択するつもりはないが。
「なら、私も相応の力を解放しましょうか」
そう言ってシンシアさんは、杖を手に集中し始めた。。
すると、杖を介して彼女の周囲から魔力が発生し、髪の色も金髪に変わっていく。
「シンシアさん、これは……!?」
シンシアさんの変化に驚きながらも由奈は彼女に尋ねた。
「かの威圧と並ぶ、獣人特有のスキルの一つの【獣戦士化】です。 これによって通常の4倍くらい能力が高まります。 効果時間も魔術師なら1時間、戦士系の場合は魔力が少ないために30分程度しか保てませんが」
魔術師系は1時間、戦士系は30分間は能力が4倍になるのか。
時間制限はあれど使いこなせば強力だな。
「なら妾も仕掛けようではないか」
「な、それはバズーカ!?」
シャルロット女王もそう言ってバズーカ砲を来栖達に向けた。
向けられた二人は、警戒心を強めていた。
「対悪魔用の砲弾の威力、とくと味わうがいい!!」
そして、バズーカ砲が火を噴いた。
砲弾は二人を目掛けて進んでいき、丁度二人にまとめて直撃する。
爆発音が鳴り響いた所で、俺とシンシアさんが仕掛けに入る。
煙で目視できないが、俺は気の流れで察知でき、【獣戦士化】したシンシアさんは魔力の流れで察知できるようだ。。
そのため、煙の中でもそれぞれ相手を捉え、攻撃を仕掛けることができた。
「おらあぁぁぁっ!!」
俺が捉えた相手は来栖。
今度はボディに向けて、ストマックブローを放った。
「ぐぼあぁぁぁぁっ!?」
直撃したかのようなうめき声を放ち、腹を押さえのけぞる来栖。
「疾風打!!」
「ごはぁぁっ!!?」
一方のシンシアさんは如月を捉え、風の魔力を纏った杖の打撃技を繰り出していた。
強化された杖の攻撃に風の魔力を乗せて、回転打ちを繰り出す技のようだ。
当然、それによって如月は吹き飛ばされていく。
「よ、よくもやったな……! お返ししてやる……!!」
来栖が爪を伸ばして俺に斬りかかる。
しかし、どうにも動きが遅く、回避しやすくなっている。
「ふむ、対悪魔用の砲弾は効いたようじゃな」
シャルロット女王は、その様子を見て勝ち誇った顔をしていた。
「女王様、さっきの砲弾は弱体化効果が乗ってたのですか?」
「正確には【悪魔の力】のみを取り除く効果を持つ砲弾じゃ。 いわば間接的な悪魔祓いじゃよ。 まぁ、【悪魔化】の解除だけは無理じゃったが」
あの防弾はそういう効果があったのか。
奴等は悪魔の力を取り除かれたために、攻撃もスピードも並の人間に戻ったのだ。
ただ、悪魔化だけは解除できなかったようだ。
道理で、悪魔の姿になったままなのに動きが遅かったわけだ。
ならばと剣を手にして、来栖に斬りかかった。
「ぎゃああああぁぁっ!!」
やはりか。
悪魔化によって得ていた防御力も徐々に低下していた。
自分の斬撃で奴の片腕を一発で切り落とす事が出来たからだ。
「た、たか……ゆき……」
一方、シンシアさんにやられた如月は自己回復魔法を掛けていた。
おそらく悪魔を殺した事が経験とされ、スキルを習得したのだろう。
「ま、まだだ……」
ある程度回復した所で立ち上がる。
来栖も自己回復魔法で少しだけ回復させていた。
なのだが、どうも様子がおかしい。
「俺は……、俺達は……、まだ死ねない……!」
「な、何をする気……!?」
嫌な予感を感じたひなたが、二人を止めようとするが僅かに遅かった。
二人の腕に異質な魔力が纏っていく。
「「死ねないんだぁぁぁっ!!」」
そう叫んだ二人は、お互いの拳を突き合せた。
「うおっ!?」
「きゃっ!?」
その瞬間、眩しい光が発生する。
何が起こるっていうんだ……!?
あまりにも眩しすぎて、全員動けないでいる。
しばらくして、光が収まったが……。
「な……!?」
「なんじゃあれは!?」
「マジものの……、悪魔だと!?」
そこにいたのは……、悪魔化した如月と来栖がいなくなった代わりにとてつもない容姿をした悪魔だった。
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