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第2章 異世界邂逅編

23 指名依頼

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 一昨日に討伐依頼を遂行中に盗賊集団【漆黒】に襲撃された事を報告した。
 そして今日、ギルドでさらなる依頼をするために訪れた所、サラトガさんから声を掛けられた。

「指名依頼?」

「はい、クリストフ国王様からです」

「お父さんから?  どんな内容?」

 クリストフ国王からの指名依頼だと聞いて、首を傾げつつ訪ねるアイリス。
 俺もひなたもその内容について気になった。

「アイリスちゃん達が報告してくれた例の盗賊集団が3日前から、ガイアブルク西側とヘキサ公国の境界線付近にいるみたいでして……」

「まさか、【漆黒】?」

 ひなたは嫌な予感がしたのか、サラトガさんに聞き返した。

「はい。 その【漆黒】という名前の盗賊集団です」

 外れて欲しかった予感が的中した。
 あいつらだったとは……。

「構成員が元冒険者らしいんですが、なぜ冒険者が盗賊に堕ちたんです?」

 アイリスは後で言うと言ったが、昨日と一昨日は聞きそびれたので、サラトガさんに聞いてみる。

「まず、構成員から話しますが、リーダーも元Bランクの実力持っており、手下の中には【魔術師】も混じっているとのことです」

 手下に【魔術師】までいるのか……。
 これは厄介だな。

「そして、リーダーである元Bランク冒険者は、実力は高いものの素行に問題がありまして、気にくわない内容があると喚き散らし、正論を言った人に対して首を絞め殺したりしていました」

 そこまでヤバい奴だったのか、その元冒険者は。
 ひなたは真っ青になり、アイリスも知っているらしいが、何度聞いてもいい気分じゃないのか表情を歪ませている。

「冒険者のモラルが問われますね、今の話を聞く限りは」

「当然、これには国王様も黙っていませんでした。 ギルドに憲兵を派遣し、殺害で捕らえました。 ライセンスも剥奪し、処刑を待つばかりでしたが、脱走したようでして……」

「手引きがあったんですか?」

「はい、ヘキサ公国の元冒険者による手引きでした。その冒険者は【シーフ】と【錬金術師】の素質持ちで、鉄格子等を解体して、脱走させたと言う事でした。 今回の盗賊集団は、その二人を中心に作られたとされてます」

 俺が尋ねた内容に、サラトガさんは苦笑しながら答えた。
 双方の元冒険者が手を組んで盗賊となって活動してるのか。

「実際、双方の国の商人や護衛の兵士や冒険者が被害に遭っており、女性に限ってはさらに性的暴行を受けたりしています。 クリストフ国王様は重く見ており、ランク以上の実力を持ったあなた達に指名依頼する形になりました。 まぁ、最もパーティーランクがCなので、指名依頼される条件を満たしてますし」

 ああ、そうだった。
 ソロランクかパーティランクのいずれかがC以上ならば指名依頼をされる可能性があるわけか。
 となると今回の指名依頼はパーティでの依頼だろうな。

「で、どうするんだ、アイリス?」

 いくらなんでも独断では決められないのと、今現在のパーティーリーダーがアイリスなので彼女に判断してもらうことにした。

「一昨日の手下は、お兄ちゃんの呪術で事なきを得たけど、それでも厄介な相手だからね。 でも、お父さんからの指名依頼だし何より今のアキトお兄ちゃんならやってくれそうだしね。 この依頼は受けるよ」

「私もアイリスちゃんの判断に従うよ。 今までの話を聞いて許せない部分もあったしね」

 アイリスはもとより、ひなたも依頼受諾に同意したようだ。
 というかアイリス……何気に俺にプレッシャー掛けてない?

「というわけで、この依頼引き受けます」

 こっちの心境をスルーしてアイリスはサラトガさんに依頼を受けることを伝えた。

「ありがとうございます。 では準備が完了次第、西地区の門の前に行ってください」

 そして、俺たちは買い物やらトイレやらを済ませて、待ち合わせ場所の西地区の門の前に行くことにした。


◇◇◇◇◇◇


「お父さん?」

「いやー、アイリスに暁斗くんとひなたくん。 悪いね、指名依頼をさせて」

 西地区の門の前にはクリストフ国王と何人かの付き添いの兵士たちが待っていた。

「クリストフ国王様自身が行かれるのですか?」

「ああ、今回の事件は我々の落ち度でもあるからね。 我々に恥をかかせた連中に地獄に送ってもらうつもりさ」

 クリストフ国王は力強く決意していた。
 その様子を見ていたアイリスは若干呆れ顔だ。

「これから転移アイテムを使って、ヘキサ公国側の冒険者たちと合流する。 奴の拠点は掴んでるからな。 実際にはあそこには王都から馬車で行くには4日は掛かるからね。 転移アイテムを使って行った方がいいのさ」

「なるほど、わかりました」

「では、出発しよう」

 そう言って、クリストフ国王が転移アイテムを使う。
 すると景色が変わり、そこは俺たちの目の前に冒険者らしき人たちと国のお偉いさんが待っている森の中だった。
 もしかして、拠点は森の奥なのだろうか?

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