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第1章 異世界召喚編
13 悪徳貴族への断罪
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クーズ・キチレコー。
その歪んだ笑みを浮かべるこの男こそ、クリストフ国王が断罪対象とした悪徳貴族。
クリストフ国王の話によれば、最近この一家が表沙汰になったのは、この男の力にあったという。
その力とは【催眠術】。
対象を意思に関係なく、自分の思い通りの行動を取らせたり、恋愛感情を自分に無理やり向けさせたりする効果を持ついわゆる『呪術』の一種。
この男は、それを駆使し兵士や憲兵の記憶を改ざんさせたり、威力を調整してあたかも離婚成立を自分の意思でやったかのように仕向けたりしていた。
そんな男の思想は、全ての女は自分のものであるべきだという歪んだ思想。
他の男が、女を抱くことは許されないという考えで、女を奪っていこうという考えに至ったという。
しかし、クリストフ国王はその暴挙を許さなかった。
今までの事件が催眠術によるものだと判明したのは、国王も魔術師と呪術師の素質を持っていたから。
それによって多くの男性が寝取られたという被害も判明したため、寝取りの禁止という一夫多妻制度法を犯したということで断罪対象にしたという。
そんな悪徳貴族と俺たちは、今対峙している。
「いやぁ、本当に二人の女をものにしているとはなぁ。 その女どもは俺様が目を付けたんだから、俺様によこせよ」
(うわぁ……。 聞いた話以上に酷いね)
(うん。 本当に自分中心の屑だよ。 こんなのがガイアブルクにいたなんてね)
クーズの言葉に俺やひなた、アイリスは嫌悪感を覚えた。
こっちの事情などお構いなし、自分の都合しか考えない。
「断る……と言ったら?」
「そんな資格などないさ。 すぐに俺様の要求を受け入れることになるからなぁ」
クーズはそう言った。
その直後、周囲に淀みを感じた。
アイリス曰く、催眠術を行使する際に発生する現象で、これによって自分の意識が奪われるとのことだ。
しかし、俺たち三人は淀みを感じた以外はなんともない。
クリストフ国王が言うには、催眠術は『呪術』であると言っても魔術寄りらしく、勇者の素質か、呪術師の素質さえ持っていれば防げるレベルであることが判明されている。
それに最近は、催眠術などを防ぐための薬を開発中だとのことらしい。
それよりも、気になったのはそれが奴の目から発生していたことだ。
眼力によって編み出されるものなのか?
後でアイリスに聞いてみよう。
術の行使が終わったのか、クーズは勝ち誇った顔をしていた。
俺たちは何ともないのにな。
「ははは、これでその女と離婚させて、俺様のものにすることができる! さぁ…」
「さぁ……、その後はなんだって?」
「……は?」
俺の発言にクーズは驚愕していた。
それに構わず、俺は……いや、俺たち三人はクーズに近づく。
殺気をまとっての接近だったので、クーズは恐怖に顔を歪めていた。
「な、なぜだ!? なぜ、俺様の催眠術が効かないんだ!?」
「ああ、俺たちは催眠術に耐性があるんだ。 てめぇごときの催眠術じゃ効かねぇんだよ」
「あ……? あ……?」
恐怖におののくクーズに俺は手加減モードのボディーブローを叩きこんだ。
「ぐぼおぉぉ!!?」
手加減とはいえ、力を制御できないままなので、それでも一撃のダメージは大きかったようだ。
腹部を押さえ、口から胃液を嘔吐
四つん這いになって蹲るクーズを見下ろす形で、まずひなたが口を開いた。
「どこで私たちに目を付けたかは知らないけど、私たちと彼の仲を裂くような行為を許すわけにはいかないよ」
「本当はすぐに断罪したいけどね、許可が出てるから。 でも、それは国王が……私の父が来てるからね」
「へ……?」
アイリスの言葉にクーズは後ろを向くと、そこには仁王立ちをしたクリストフ国王が立っていた。
その殺気は、当然クーズに向けられている。
「ようやくだな、クーズ・キチレコー。 ついさっき貴様の家系の強制捜査が終わったよ」
「え、あ……!?」
何の事かわからないと言わんばかりの表情でクーズはクリストフ国王を見つめる。
自分が蒔いた種だろうが……。
「捜査の結果、いやぁ出るわ出るわ法を犯した証拠がたんまり出たよ。 それを隠滅しようとしていた貴様の家族も断罪させてもらったよ」
「う、うそだ……、うそだこんなことが……」
「というか、家族がクーズの行為を隠蔽していたの?」
「その通りさ」
クーズの罪を隠蔽した家族も断罪されたのか。
一家そろって人間の屑だったか。
「人格、意識の強制改ざんは複数の法律に反する事項だからな、もはや貴様もこれ以上生かしておくわけにはいかんのだよ」
「わ、悪くない、俺様は悪くなーい! 俺様が正しいんだぁぁ!」
「おぉ、いい加減にせーよ……」
最早奴の狂った言い分に我慢できなくなった俺は、奴の胸倉を掴んだ。
「ひ、ひぃ……!!」
「今からてめぇは死ぬんだからよ……。 国王の立ち合いの元でなぁ」
「う、うわぁ……」
「お兄ちゃん、キレてるね……」
相当俺はキレてるのか、ひなたとアイリスはドン引きしていた。
国王は何食わぬ顔で、クーズの恐怖の顔を堪能していた。
この人、何気に性格わるいなぁ。
「や、やめ……!!」
やめてと言い切る前に、力を入れた俺の拳は奴の顔に触れ、その瞬間に奴の頭部は粉砕され、首から下が残った。
「おお……、実際に見てみると、格闘家の素質の影響がすごいね。 力の制御をしない時でこれだから……」
「あ、相変わらずグロい……」
「それは慣れない方がいいよ、ひなたお姉ちゃん。 前例があったでしょ」
「あの最初の追手の女子勇者の顔を粉みじんにした事? 今回はアレ以上だよ……」
国王は、感心してたものの、ひなたは当然ドン引き、アイリスも流石に顔を引きつった。
まぁ、俺も今回は仕方なくやったが、よほどのことがない限りこんな事はしたくないな。
◇◇◇◇◇◇
「なにはともあれ、これで断罪は完了だ。 明日、報酬を持ってここに来るよ」
「お疲れ様です、国王様」
「お父さん、またねー」
その後、頭部のないクーズの遺体を火で消し炭にし、一部の汚れをアイリスが魔法できれいにした。
国王は明日、今回の件の報酬を持ってくるそうだ。
「とりあえず、これで何とかなった……んだよな」
「うん、今はそう割り切ったほうがいいよ」
「だね、それより暁斗君も気になってたっぽいけど、あの男、目から催眠術を発していたよね? あれは何なのかな?」
ひなたが話題を切り替えるついでに、アイリスに気になった事を聞き始めた。
まぁ、俺も確かに気にはなっていたが。
「さっきのは多分【魔眼】だね。 生まれつきでしか備わらないから、魔眼持ちは希少な存在とされてはいるんだけどね。 今回のように悪用するような相手は例え、希少でも断罪に処してるんだよ」
「生まれつき備わった魔眼か。 だからあいつは催眠術を目で行使していたのか」
「そうなるね。魔眼を介してなら催眠術の効力も上がるみたいだし。 私たちは効かなかったけどね」
耐性があればいくら効力を上げようとも、意味を成さないからな。
呪術師の素質があって助かったよ。
「さぁ、遅くなった事だしそろそろ寝よっか」
「そうだな、明日も国王様が来るんだし」
「そだね、私も今日は疲れたからね。 いい頃合いだよ」
そう言いながら俺たちは眠りにつくことにした。
昨日と同じように俺を中心にして両側に二人、しかも下着が見えてる姿のままで。
なお、今夜の二人の白い下着を見つつも眠れない夜を過ごすことになったのは、別の話という事にしよう。
その歪んだ笑みを浮かべるこの男こそ、クリストフ国王が断罪対象とした悪徳貴族。
クリストフ国王の話によれば、最近この一家が表沙汰になったのは、この男の力にあったという。
その力とは【催眠術】。
対象を意思に関係なく、自分の思い通りの行動を取らせたり、恋愛感情を自分に無理やり向けさせたりする効果を持ついわゆる『呪術』の一種。
この男は、それを駆使し兵士や憲兵の記憶を改ざんさせたり、威力を調整してあたかも離婚成立を自分の意思でやったかのように仕向けたりしていた。
そんな男の思想は、全ての女は自分のものであるべきだという歪んだ思想。
他の男が、女を抱くことは許されないという考えで、女を奪っていこうという考えに至ったという。
しかし、クリストフ国王はその暴挙を許さなかった。
今までの事件が催眠術によるものだと判明したのは、国王も魔術師と呪術師の素質を持っていたから。
それによって多くの男性が寝取られたという被害も判明したため、寝取りの禁止という一夫多妻制度法を犯したということで断罪対象にしたという。
そんな悪徳貴族と俺たちは、今対峙している。
「いやぁ、本当に二人の女をものにしているとはなぁ。 その女どもは俺様が目を付けたんだから、俺様によこせよ」
(うわぁ……。 聞いた話以上に酷いね)
(うん。 本当に自分中心の屑だよ。 こんなのがガイアブルクにいたなんてね)
クーズの言葉に俺やひなた、アイリスは嫌悪感を覚えた。
こっちの事情などお構いなし、自分の都合しか考えない。
「断る……と言ったら?」
「そんな資格などないさ。 すぐに俺様の要求を受け入れることになるからなぁ」
クーズはそう言った。
その直後、周囲に淀みを感じた。
アイリス曰く、催眠術を行使する際に発生する現象で、これによって自分の意識が奪われるとのことだ。
しかし、俺たち三人は淀みを感じた以外はなんともない。
クリストフ国王が言うには、催眠術は『呪術』であると言っても魔術寄りらしく、勇者の素質か、呪術師の素質さえ持っていれば防げるレベルであることが判明されている。
それに最近は、催眠術などを防ぐための薬を開発中だとのことらしい。
それよりも、気になったのはそれが奴の目から発生していたことだ。
眼力によって編み出されるものなのか?
後でアイリスに聞いてみよう。
術の行使が終わったのか、クーズは勝ち誇った顔をしていた。
俺たちは何ともないのにな。
「ははは、これでその女と離婚させて、俺様のものにすることができる! さぁ…」
「さぁ……、その後はなんだって?」
「……は?」
俺の発言にクーズは驚愕していた。
それに構わず、俺は……いや、俺たち三人はクーズに近づく。
殺気をまとっての接近だったので、クーズは恐怖に顔を歪めていた。
「な、なぜだ!? なぜ、俺様の催眠術が効かないんだ!?」
「ああ、俺たちは催眠術に耐性があるんだ。 てめぇごときの催眠術じゃ効かねぇんだよ」
「あ……? あ……?」
恐怖におののくクーズに俺は手加減モードのボディーブローを叩きこんだ。
「ぐぼおぉぉ!!?」
手加減とはいえ、力を制御できないままなので、それでも一撃のダメージは大きかったようだ。
腹部を押さえ、口から胃液を嘔吐
四つん這いになって蹲るクーズを見下ろす形で、まずひなたが口を開いた。
「どこで私たちに目を付けたかは知らないけど、私たちと彼の仲を裂くような行為を許すわけにはいかないよ」
「本当はすぐに断罪したいけどね、許可が出てるから。 でも、それは国王が……私の父が来てるからね」
「へ……?」
アイリスの言葉にクーズは後ろを向くと、そこには仁王立ちをしたクリストフ国王が立っていた。
その殺気は、当然クーズに向けられている。
「ようやくだな、クーズ・キチレコー。 ついさっき貴様の家系の強制捜査が終わったよ」
「え、あ……!?」
何の事かわからないと言わんばかりの表情でクーズはクリストフ国王を見つめる。
自分が蒔いた種だろうが……。
「捜査の結果、いやぁ出るわ出るわ法を犯した証拠がたんまり出たよ。 それを隠滅しようとしていた貴様の家族も断罪させてもらったよ」
「う、うそだ……、うそだこんなことが……」
「というか、家族がクーズの行為を隠蔽していたの?」
「その通りさ」
クーズの罪を隠蔽した家族も断罪されたのか。
一家そろって人間の屑だったか。
「人格、意識の強制改ざんは複数の法律に反する事項だからな、もはや貴様もこれ以上生かしておくわけにはいかんのだよ」
「わ、悪くない、俺様は悪くなーい! 俺様が正しいんだぁぁ!」
「おぉ、いい加減にせーよ……」
最早奴の狂った言い分に我慢できなくなった俺は、奴の胸倉を掴んだ。
「ひ、ひぃ……!!」
「今からてめぇは死ぬんだからよ……。 国王の立ち合いの元でなぁ」
「う、うわぁ……」
「お兄ちゃん、キレてるね……」
相当俺はキレてるのか、ひなたとアイリスはドン引きしていた。
国王は何食わぬ顔で、クーズの恐怖の顔を堪能していた。
この人、何気に性格わるいなぁ。
「や、やめ……!!」
やめてと言い切る前に、力を入れた俺の拳は奴の顔に触れ、その瞬間に奴の頭部は粉砕され、首から下が残った。
「おお……、実際に見てみると、格闘家の素質の影響がすごいね。 力の制御をしない時でこれだから……」
「あ、相変わらずグロい……」
「それは慣れない方がいいよ、ひなたお姉ちゃん。 前例があったでしょ」
「あの最初の追手の女子勇者の顔を粉みじんにした事? 今回はアレ以上だよ……」
国王は、感心してたものの、ひなたは当然ドン引き、アイリスも流石に顔を引きつった。
まぁ、俺も今回は仕方なくやったが、よほどのことがない限りこんな事はしたくないな。
◇◇◇◇◇◇
「なにはともあれ、これで断罪は完了だ。 明日、報酬を持ってここに来るよ」
「お疲れ様です、国王様」
「お父さん、またねー」
その後、頭部のないクーズの遺体を火で消し炭にし、一部の汚れをアイリスが魔法できれいにした。
国王は明日、今回の件の報酬を持ってくるそうだ。
「とりあえず、これで何とかなった……んだよな」
「うん、今はそう割り切ったほうがいいよ」
「だね、それより暁斗君も気になってたっぽいけど、あの男、目から催眠術を発していたよね? あれは何なのかな?」
ひなたが話題を切り替えるついでに、アイリスに気になった事を聞き始めた。
まぁ、俺も確かに気にはなっていたが。
「さっきのは多分【魔眼】だね。 生まれつきでしか備わらないから、魔眼持ちは希少な存在とされてはいるんだけどね。 今回のように悪用するような相手は例え、希少でも断罪に処してるんだよ」
「生まれつき備わった魔眼か。 だからあいつは催眠術を目で行使していたのか」
「そうなるね。魔眼を介してなら催眠術の効力も上がるみたいだし。 私たちは効かなかったけどね」
耐性があればいくら効力を上げようとも、意味を成さないからな。
呪術師の素質があって助かったよ。
「さぁ、遅くなった事だしそろそろ寝よっか」
「そうだな、明日も国王様が来るんだし」
「そだね、私も今日は疲れたからね。 いい頃合いだよ」
そう言いながら俺たちは眠りにつくことにした。
昨日と同じように俺を中心にして両側に二人、しかも下着が見えてる姿のままで。
なお、今夜の二人の白い下着を見つつも眠れない夜を過ごすことになったのは、別の話という事にしよう。
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