上 下
11 / 140
第1章 異世界召喚編

11 ジョブについて

しおりを挟む
 この世界は、【ジョブ】という素質が存在しているようだった。
 俺は異世界に召喚された際に、勇者の素質はなかったため、無能扱いとされた。
 だが、召喚を実行した国……ガルタイト国とは敵対関係にあたるガイアブルク王国の国王であるクリストフ・ガイアブルク三世によるとそれ以外の全てのジョブの素質が俺には備わってるみたいだった。
 しかも、身体能力がワンランク高いというおまけ付きで。
 だが……、同時に疑問も生まれた。

「それなのになんで俺は今までわからなかったんだ?」

「あの国の水晶は、おそらく勇者の素質があるかないかでしか判定しない奴だったのかもね。 私は素質ありと判定された時は別の力が私の身体に入り込んだ感覚があったけど、暁斗君はどうだった?」

「確か、全く反応しなかったし、ひなたの言ってたような感覚もなかった」

 そう、ひなたと違い、俺が水晶に触れても何の反応も示さなかった。
 それ故に勇者の素質がないとされたが、身体能力関連はどう説明するのだろうか?
 そこにクリストフ国王が一つの答えを出していた。

「娘は君に対して奴らが掛けたのは呪いの類と言ってたな。 勇者以外でなら、おそらく、あるジョブの素質を鍛えれば、呪い全般は効かなくなるよ」

「そのジョブとは?」

「【呪術師】だよ。 【魔術師】、【回復術師】と違い呪術という呪いを駆使したジョブなんだが、これを鍛えれば耐性は確実に付くよ。 さっきも言ったが君は勇者以外の全てのジョブの素質を持っているからやってみる価値はあるよ。 というか、それがないと身体能力は高くても確実に呪いが掛かるからね」

「確実に呪いが掛かるんですか…」

「そう。 多分ガルタイト国の城内は、勇者の素質を持つもの以外は能力を下げる永続効果のデバフの呪いが掛かっているものと思われる。 勇者の素質がなかった君はその時は呪いの耐性すらなく、身体能力も下がってたはずだ」

 言われてみれば、たしかに身体が怠いままだった。
 風邪でも引いたのかなと思っていたが、どうも違ってたようだ。
 ん、待てよ、それじゃアイリスちゃんは……?

「大丈夫だよ、お兄ちゃん。私は【呪術師】の素質もあるから、呪いは効かないんだよ」

 ああ、それなら安心だ。
 今後、追手が呪いを使わないとは限らないからなぁ。
 あと、もう一つの疑問……ウェアラットや最初の追手の女子勇者を粉みじんにした件もクリストフ国王は答えてくれた。

「あと、君がウェアラットや追手の勇者を拳で粉みじんにしたというのも、【格闘家】というジョブの素質が働いていたと思う。 その時は素質を制御できていない状態だったんだろう」

 確かにあの時、必死で応対しようとして正拳突きを繰り出していたな。
 これで一応、俺にとっての納得のいく答えが聞けた。

「それで、ジョブというのは後、何があるんですか?」

 ひなたが今までの会話の中で気になった事を聞いてきた。
 現在、勇者以外で判明してるのが【魔術師】、【呪術師】、【回復術師】、【格闘家】。
 そしてアイリスちゃんから聞いた【錬金術師】だ。
 他にもあるんじゃないのかと言うことなのだろう。

「他には【剣士】、【槍術師】、【重戦士】、【ガンナー】、【テイマー】、【騎士】、【サモナー】、【シーフ】、【ニンジャ】かな」

 結構出て来たなぁ。
 というか、ガンナーってこの世界には銃もあるのか?

「ガンナーは、本来は機械技術国ゼイドラムの住人しかなれないジョブなんだけどね。 結果を見るとお兄ちゃんは何故かその素質も持ってるね」

「ああ、それって私たちの世界にも銃があるからかも」

「あ、そっかお兄ちゃんとひなたお姉ちゃんは異世界から来たんだった。 なら納得だね」

 そこであっさり納得するのか、アイリスちゃん。

「とにかく、今現在のプランは【呪術師】と【剣士】の素質を鍛え上げることだ。 【呪術師】の方はさっき言った呪い対策、【剣士】は力の制御を行うにうってつけのジョブだからね」

 国王からは俺に対するプランが提示された。
 剣士を提案したのは、力の制御のためか。
 アイリスちゃんに聞いたところ、剣士はパワーとスピードのバランスが取れたジョブらしい。 

「分かりました。 まずはその2つのジョブを重点的にですね」

「そういう事だ。 次の手続きが終わったら、冒険者ギルドで冒険者登録をさせる。 依頼をこなす事で各ジョブのレベルを上げてほしい」

「はい!」

 こうして、俺に関する最初のプランが決定した。
 いつかあいつらやガルタイト国を見返すための一歩と思えばどうにかなりそうだ。
 しかし、俺にそんなチートめいたものがあったとはなぁ。
 その後、国王は次の手続きに関係する発言をしだした。

「さて、次の手続きなのだが、わが国は『一夫多妻制』を採用している。 多くの国民もそれを遂行している。 ガイアブルク王国の国民となった暁斗くんもそれを遂行する資格を持っているんだ」

 一夫多妻……、つまりハーレムという事か。
 どういう過程でこの制度を採用したかは分からない。
 多分、人口の男女比に偏りがあるからなんだろうけど……。
 そんな事を考えていたら……。

「そこで、暁斗くん。 君にはひなたくんとうちの娘のアイリスを嫁にしてはいかがだろうか?」

 クリストフ国王は俺に、とんでもない事を提案してきた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

未来人の予言を信じて最強国家インドに投資してみた🇮🇳

ゆっち
経済・企業
2062年から来た未来人を信じて新NISA枠でインド投資信託を始めてみた。 インド経済についてのレポートと日々の投資に関する運用結果をメモ替わりに報告していく。 インド株は3種類のファンドを積立・成長投資で所有しているが、ここでは「楽天・インド株Nifty50インデックス・ファンド」の運用結果のみを記録する。

親友に婚約者を取られたはずだったのに!でもなぜか男になった親友に溺愛され囚われそうなのですが…

Karamimi
恋愛
貴族学院1年生、14歳の伯爵令嬢アリスには悩みがある。それは、婚約者で侯爵令息のアーロが物凄くモテる事だ。 親同士が決めた婚約ではあるが、それでもアリスはアーロを慕っていた。そんなある日、アリスと婚約破棄をし、別の女性と婚約を結び直したいと言って来たのだ!その決意は強く、アリスは泣く泣く婚約破棄する事に。 さらに相手の女性は第3王女でもあるアリスの親友、エドリーンだったのだ。アーロに婚約破棄された事よりも、絶大な信頼を寄せていたエドリーンに裏切られたショックで落ち込むアリス。 そんなアリスの元にやって来たのは、なんと男性の姿をしたエドリーンだったのだ! 一体どういう事?動揺するアリスにエドリーンは 「アリス、俺は初めて会ったあの日から君を愛してきた。どうか俺と婚約して欲しい!」 そう詰め寄って来たのだ。ちょっと待って!エドリーンが男!そして私を愛しているですって! そもそもアーロ様はどうなったの?完全にパニック状態のアリスは、あろう事かエドリーンから逃げようとするが… ずっと親友で女性だと思っていた人に詰め寄られ、逃げ腰のアリスと、今まで抑えていた感情を爆発させ、何が何でもアリスを手に入れようとする王子のお話です。

冷徹女王の中身はモノグサ少女でした ~魔女に呪われ国を奪われた私ですが、復讐とか面倒なのでのんびりセカンドライフを目指します~

日之影ソラ
ファンタジー
タイトル統一しました! 小説家になろうにて先行公開中 https://ncode.syosetu.com/n5925iz/ 残虐非道の鬼女王。若くして女王になったアリエルは、自国を導き反映させるため、あらゆる手段を尽くした。時に非道とも言える手段を使ったことから、一部の人間からは情の通じない王として恐れられている。しかし彼女のおかげで王国は繁栄し、王国の人々に支持されていた。 だが、そんな彼女の内心は、女王になんてなりたくなかったと嘆いている。前世では一般人だった彼女は、ぐーたらと自由に生きることが夢だった。そんな夢は叶わず、人々に求められるまま女王として振る舞う。 そんなある日、目が覚めると彼女は少女になっていた。 実の姉が魔女と結託し、アリエルを陥れようとしたのだ。女王の地位を奪われたアリエルは復讐を決意……なーんてするわけもなく! ちょうどいい機会だし、このままセカンドライフを送ろう! 彼女はむしろ喜んだ。

アルファポリスで投稿するにあたって。と、各投稿サイトやsns等に関して

ヘロヘロデス
エッセイ・ノンフィクション
アルファポリスでの投稿に関して思った事を書き連ねています。 また今までやっている各サイトへの投稿や各sns、自身のHPなどの広報活動や収益化に関しても述べていきます。 どの様にフォロワーを増やしたり、増えていったりしていったのか。 また、どうやって審査を通過していったのかなどを述べていきます。

異世界召喚されました……断る!

K1-M
ファンタジー
【第3巻 令和3年12月31日】 【第2巻 令和3年 8月25日】 【書籍化 令和3年 3月25日】 会社を辞めて絶賛無職中のおっさん。気が付いたら知らない空間に。空間の主、女神の説明によると、とある異世界の国の召喚魔法によりおっさんが喚ばれてしまったとの事。お約束通りチートをもらって若返ったおっさんの冒険が今始ま『断るっ!』 ※ステータスの毎回表記は序盤のみです。

引退したオジサン勇者に子供ができました。いきなり「パパ」と言われても!?

リオール
ファンタジー
俺は魔王を倒し世界を救った最強の勇者。 誰もが俺に憧れ崇拝し、金はもちろん女にも困らない。これぞ最高の余生! まだまだ30代、人生これから。謳歌しなくて何が人生か! ──なんて思っていたのも今は昔。 40代とスッカリ年食ってオッサンになった俺は、すっかり田舎の農民になっていた。 このまま平穏に田畑を耕して生きていこうと思っていたのに……そんな俺の目論見を崩すかのように、いきなりやって来た女の子。 その子が俺のことを「パパ」と呼んで!? ちょっと待ってくれ、俺はまだ父親になるつもりはない。 頼むから付きまとうな、パパと呼ぶな、俺の人生を邪魔するな! これは魔王を倒した後、悠々自適にお気楽ライフを送っている勇者の人生が一変するお話。 その子供は、はたして勇者にとって救世主となるのか? そして本当に勇者の子供なのだろうか?

【完結】復讐の館〜私はあなたを待っています〜

リオール
ホラー
愛しています愛しています 私はあなたを愛しています 恨みます呪います憎みます 私は あなたを 許さない

【完結】10引き裂かれた公爵令息への愛は永遠に、、、

華蓮
恋愛
ムールナイト公爵家のカンナとカウジライト公爵家のマロンは愛し合ってた。 小さい頃から気が合い、早いうちに婚約者になった。

処理中です...