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04 聖女である従妹が彼を治してくれました

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「【メディカル】!!」

 アメリアが詠唱を終えて放った魔法は、傷を治して体力も回復させる【メディ】系の上級魔法だ。
 この回復魔法は【メディ】、【メディア】、【メディカル】という順で効果が高くなる。
 従妹いとこのアメリアは『聖女』の力を持つため、上級回復魔法も使えるのだ。

(やはりアメリアはすごいなぁ。 一瞬でルーくんの傷を治したよ)

 魔法学校を主席卒業したボクでさえも、このアメリアの聖女としての力のすごさに感心する。

「ふぅ、これで大丈夫でしょう」

「流石は回復魔法の達人のアメリアだね」

「『聖女』の力は伊達ではないわけね」

 回復魔法を掛け終えたアメリアは、ボクに向けて報告をした。
 カタリナ叔母さんもやはりアメリアの回復魔法の力に感心していたようだ。
 あれだけボロボロだったルーくんの身体は、ほぼ綺麗になったのだから。

「ん……」

「あっ、ルーくんの意識が」

 ボクが感心していた所で、ルーくんの意識が戻り、彼の瞼が開いていく。

「あれ……、ここは……?」

「ルーくん!」

「え? その声……、まさかネディなのか?」

「そうだよ! こんな形だけどやっと会えたよ!」

「ああ、ネディ……! 俺もだよ」

 意識を取り戻して目覚めたルーくんにボクは声を掛ける。
 すると即座に反応し、ボクを認識したみたいだ。
 学校の三年縛りを含めたら四年ぶりに再会できた嬉しさで、思わず彼の手を握りつつ涙を零した。
 ルーくんもボクの頭を優しく撫でてくれてたようだ。
 その後で、アメリアも彼の傍に来た。

「ルー兄様」

「アメリアもか? ひょとして……?」

「うん、ボロボロになっていたルーくんをアメリアが治してくれたんだよ」

「そう……か。 ありがとう、アメリア」

「いえいえ。 無事に姉様と再会できてよかったです。 でも、一応お聞きしますが、何故あんなボロボロの状態で?」

「それは……」

(ルーくん……)

 自身に回復魔法を掛けて治してくれたアメリアにもお礼を言うルーくん。
 そこでアメリアから発見した時にボロボロの状態だったのは何故なのかと疑問を投げかけた。
 ボクもそこは気になっていた所だ。
 だけど、彼の精神状態も考えると無理に答えを引き出したくはないけどね。

「結論から先に言うと……、俺はある冒険者パーティに捨てられたんだ」

「「捨てられたぁ!?」」

 結論から先に言うルーくんの口から見捨てられたという発言を聞きボクとアメリアは驚いた。
 カタリナ叔母さんも表情を歪めているみたい。
 そして、そこから彼の詳しい話が始まったのだ。

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