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第2部 激戦編

第45話 アルムからの新たな報告

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「おーい、ルキアさん。 機体の修理が完了したぞー!」

 数時間休み、魔力回復が完了した私はトイレに行ってから格納庫へ向かった。
 そこでザック軍曹が私を呼んでいた。
 アパタイトの修理が完了したみたいだ。

「お手数お掛けしてすみません」

「なに、気にしないでくれ。 これが俺の仕事だしな。 あ、お前らは休憩しといていいぞ」

「「「はい!!」」」

 他の整備班の人達を休憩させて、私とザック軍曹の二人になる。

「それにしても、よくアパタイトを修理できましたね」

「アパタイトも装甲の材質がアダマンチウムだと分かってな。 予備の装甲パーツで補えたよ。 他も汎用の駆動パーツで賄えるのが大きかったな」

『まぁ、MGTの元祖ですからね。 私の本体は』

 フォレストグリーンのショルダーキャノン砲を直撃し、70%以上の損傷率を叩き出す程に大破したにも関わらず、装甲はアダマンチウムで補強可能。 さらには他の部分も汎用パーツで賄えるらしい。
 アパ子曰く、アパタイトはMGTの元祖だからだとか。
 確かに【オリジネイター】と呼ばれただけはあるけどね。

「そういえばマイア王女の機体は?」

「あっちも無事に修理が完了したよ。 今は武装のバージョンアップ待ちだ」

「そうですか。 安心しましたよ。 私と同じくキャノン砲の直撃を受けて損傷したみたいですから」

「まぁ、アルム大尉とジョージ中尉の連携をすり抜けてキャノン砲を撃ったフォルスを認めるしかないわな」

「ははは……」

 私は苦笑いをしながら、ザック軍曹と共にアルムの元へ向かう。
 その最中に出くわしたマイア王女と彼女の母親による後にレッドプリンセスという名前だと判明されるマイア王女の機体の武装バージョンアップ後の名称で言い争っていた内容に呆れ返ったのは、また別の話としておこう。

◇◇◇◇◇◇◇◇

「あ、ザック軍曹とルキアさんが来ました」

「やっと来たか。で、やつれてるみたいだが、どうしたんだ?」

「途中で見てしまったマイア王女とフィーネ女王のしょーもない揉め事に巻き込まれました……」

「同じく。 武装に変な拘りを持ちすぎだろ……と思ったよ」

「あー、あれですか? 『マグナムの次はファントムがお約束でしょ!!』って言ってましたね、フィーネ女王様が。 あの直後に私はすぐに逃げましたが」

「あー、確かマイア王女の機体……【レッドプリンセス】のメイス風の武器の【スターライトマグナム】の改良バージョンアップするって言ってたな。 二人は逃げられなかったのか」

 少し遅れて小隊内でのミーティングの場所であるアルムの部屋に着いた私とザック軍曹。
 遅れた理由も偽りなく話すと、アルムやフェリア軍曹達は理解を示してくれた。
 というか、フェリア軍曹。
 貴方はあの時に格納庫にいたなら逃げてないで助けて下さいよ。

「よし、じゃあミーティングを始めようか。 ルキアとザックはココアを飲みながらでいいからな」

 仕切り直してアルムがミーティングの開始を宣言した。
 私とザック軍曹は、ココアを飲みながら聞いてもいいらしい。
 あ、このココア……私好みの濃いめだ。

「現在、戦艦は目的地のフィーアクロイツに向かっている。 そして、目的は内乱の早期解決とそこを突いて攻めてきた帝国軍の駆逐なのは聞いているな?」

「はい」

「フィーアクロイツの内乱が影響し、二番艦の出航が延期されたのを受け、【アウルシード王国】で建造された三番艦が先に出航する運びとなった」

 ここまでクラウド艦長の放送の内容と同様。
 キスクに追放された第一皇子の派閥を共和国政府が保護したのを辺境の住民たちは大反発。
 戦犯として処刑すべきと言う辺境とそれでは解決しないという軍、政府、首都に住む国民達による内乱が発生してしまったのだ。
 出航予定の二番艦もその影響で取りやめとなったが、報告を聞いた【アウルシード王国】が建造した三番艦が先に出航し、私達がいる一番艦【フィールラスクス】と合流する算段だ。

「そこで新たな指令が入ってな。 三番艦と合流したら俺達アルム小隊は一時的にそこに乗り込んで欲しいと言われた」

「え? どういう事ですか?」

 アルムの耳に入ったという不可解な指令。
 一時的にではあるが、アルム小隊は三番艦に乗り込んで欲しいという。
 何故なのかと私はアルムに理由を尋ねた。
 他のアルム小隊のみんなも同じような感情を抱えているしね。

「どうもファシナシオン王国にルキアがゲートから出て来た時と同じタイミングで【アウルシード王国】にもゲートが開いてルキアやアリシア、ゼネアのいた世界から来た女性を保護していたらしい。 そしてその女性は三番艦に乗っているらしい」

「え!?」

「本当なのですか? ルキアさんやアリシアさんと同じ世界に住んでいた人がアウルシード王国にも」

「そうだ。 ルキアの存在も連合軍間で共有していたからな。 そこで知ったらしい」

 まさか、私やアリシアと同様にこの世界に飛ばされた人がいるなんて……。

「それで、どんな人なんですか?」

「どうやらその人はクラフトマジックとやらを使えるみたいで、彼女がそれを行使したおかげで三番艦の完成が早められたんだ。 時期的にも丁度よかったらしい」

(クラフトマジック……まさか……)

 ミュリア軍曹からどんな人なのかと聞かれて、アルムが答えた内容に私はある人物を思い出す。
 記憶に間違いがないなら、その女性も魔女で伊達眼鏡を掛けて白衣を身にまとったボクっ娘魔女だったはず。
 もしや……?

『ブリッジよりアルム小隊へ。 三番艦【ヒルデガルド】が我が艦に隣接したようです。 すぐに三番艦に向かってください』

「もう来たのか、早いな」

「なら、早速行こうか」

「「「了解」」」

 三番艦がすでに隣接しているとブリッジから連絡があったので、早速三番艦に向かった。
 さて、どうなるやら……。

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