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第1部 邂逅編
第28話 マギアクリスタル
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【side ザック】
「ミーナ、マギアクリスタルって言えば、数年前に発覚した魔王軍の者達……いわば魔族の心臓ともされる特殊鉱石だったな?」
「はい。 魔族の体内にある間は人間の心臓と同じ大きさですが、取り出した際には目の前にある大きさに変化するシロモノで、魔力が常に溜まった状態にありますが、今のように大きなヒビを入れれば魔力は放出され、灰色の石になると父から聞きました」
マギアクリスタル。
今回の帝国軍のMGTに組み込まれていた石。
それは魔力が放出され、なくなったが故の状態らしい。
元々、【マギアクリスタル】という名前は、連合軍が付けたコードネームに過ぎず、本来の名前は不明。
さらにそれは魔族の心臓とされており、本来は人間の心臓と同じ大きさで魔族の体内にあるが、無理やり取り出した際に、コクピットに収まる大きさに変化するようだ。
常に魔力を溜め込むそのマギアクリスタルは、大きなヒビを入れれば魔力は四散し、なくなることで灰色の石になる。
「帝国がマギアクリスタルを使って無人機を試験的に投入したとしても、なぜ多数投入を……? どうやって確保を?」
そこにミーナが何故帝国がマギアクリスタルを何故確保出来たのか、何故試験的とはいえ多数投入出来たのかという疑問を口にした。
俺は即座にある可能性に言及する。
「いや、今の帝国は指揮官クラスを魔王軍との戦いに集中しているらしいから、その際にマギアクリスタルも取り出して確保したんじゃないか?」
「え?」
「おそらくあの国賊の大臣の手引きで帝国に流された技師の中にその手の無人機の作成方法などを構築できる人員がいたんだろう。 でないと帝国がいとも簡単に量産できないはずだからな」
ここであの国賊のアーリントンがやらかしてくれた仕打ちが響いてくるとはな。
考えただけで腹が立ってくる。
「報告はどうします、お兄様?」
「まだ調査が必要だ。 マギアクリスタルに繋がれている管も気になるしな」
「そういえば、管が繋がれていましたね。 人間でいう所の血管みたいな役割なんでしょうか」
「多分な。 それが自動操縦の肝となってるかもしれないしな」
「お手伝いします、お兄様」
「頼む、ミーナ」
俺とミーナを中心に、手が空いた技師たちと共にもう少しこの帝国のMGTの調査をする事にした。
もしかしたら、帝国は無人MGTの技術を確立している可能性もあるからな……。
◇◇◇◇◇◇◇◇
【Side ルキア】
「マギアクリスタルだって!?」
「それがあの違和感の正体なんだね、お兄ちゃん」
「ああ、しかもマギアクリスタルの周囲についていた管を介して動きを制御していたみたいだ」
ミーティングが終わり、出撃の命令が来るまで、割り当てられた自室で休もうとしていた所、丁度ザック軍曹がもう一人の女の子と一緒に来た。
その子の名前はミーナ・ファルルさんと言って、マイア王女率いる【魔法少女部隊】の整備班の一人である。
その二人から、ミーティングが終わる前に調査が終わったらしいので、報告に行こうとしていたようだ。
その内容にアルムが驚き、マイア王女は自分が感じた違和感の正体がそれだった事に納得したような顔をしていた。
私はというと、また知らない単語が出てきたので、それは何なのかを聞いてみる。
「マギアクリスタルって?」
「常に魔力を発し続ける特殊な鉱石なんですよ。 手に入れるなら魔族を倒さないとダメみたいですが」
「魔族の心臓のようなモノで、取り出した際にコクピットぐらいの大きさになるらしい」
「魔族の心臓……」
思った以上にマギアクリスタルという存在は、かなりヤバい代物だという事か。
常に魔力を発し続けているから、魔族も気兼ねなく強力な力を使えるというわけか。
そんな魔族の心臓でもあるそのマギアクリスタルを帝国が取り出して集めているとなると、かなり厄介なのかもしれない。
「つまり、帝国はマギアクリスタルを利用した無人機を作っていると?」
「そうだと思います、ルキアさん。 でも、試作にしては数が多いですし」
「帝国もそれだけ本気なのかも知れないのか」
「アルム大尉、艦長と王国の基地に残っている司令官には?」
「俺が報告しておくから報告書を貸してくれ。 他のみんなは出撃命令が下りるまでは休んでくれ。 ザックやミーナを含んだ整備班の面々もな」
「了解しました」
今回の帝国のMGTの件は、アルムがザック軍曹から渡された報告書と共に艦長室に行くようだ。
そこから国の司令官にも伝えて貰う予定なんだろう。
「じゃあ、私はここなので、先に一休みしてますね」
「分かりました、ルキアさん。 少しの間、おやすみなさい」
「ええ」
丁度自分が使う部屋に着いたので、他のメンバーとここで別れる。
(しかし、この戦艦は動いてるのに揺れないなぁ。 重力制御魔法でも使ってるのかしら?)
そう思いながら自室に入り、ひと眠りしておく。
今回のような無人機の襲撃もありえない話ではなくなるだろうしね……。
「ミーナ、マギアクリスタルって言えば、数年前に発覚した魔王軍の者達……いわば魔族の心臓ともされる特殊鉱石だったな?」
「はい。 魔族の体内にある間は人間の心臓と同じ大きさですが、取り出した際には目の前にある大きさに変化するシロモノで、魔力が常に溜まった状態にありますが、今のように大きなヒビを入れれば魔力は放出され、灰色の石になると父から聞きました」
マギアクリスタル。
今回の帝国軍のMGTに組み込まれていた石。
それは魔力が放出され、なくなったが故の状態らしい。
元々、【マギアクリスタル】という名前は、連合軍が付けたコードネームに過ぎず、本来の名前は不明。
さらにそれは魔族の心臓とされており、本来は人間の心臓と同じ大きさで魔族の体内にあるが、無理やり取り出した際に、コクピットに収まる大きさに変化するようだ。
常に魔力を溜め込むそのマギアクリスタルは、大きなヒビを入れれば魔力は四散し、なくなることで灰色の石になる。
「帝国がマギアクリスタルを使って無人機を試験的に投入したとしても、なぜ多数投入を……? どうやって確保を?」
そこにミーナが何故帝国がマギアクリスタルを何故確保出来たのか、何故試験的とはいえ多数投入出来たのかという疑問を口にした。
俺は即座にある可能性に言及する。
「いや、今の帝国は指揮官クラスを魔王軍との戦いに集中しているらしいから、その際にマギアクリスタルも取り出して確保したんじゃないか?」
「え?」
「おそらくあの国賊の大臣の手引きで帝国に流された技師の中にその手の無人機の作成方法などを構築できる人員がいたんだろう。 でないと帝国がいとも簡単に量産できないはずだからな」
ここであの国賊のアーリントンがやらかしてくれた仕打ちが響いてくるとはな。
考えただけで腹が立ってくる。
「報告はどうします、お兄様?」
「まだ調査が必要だ。 マギアクリスタルに繋がれている管も気になるしな」
「そういえば、管が繋がれていましたね。 人間でいう所の血管みたいな役割なんでしょうか」
「多分な。 それが自動操縦の肝となってるかもしれないしな」
「お手伝いします、お兄様」
「頼む、ミーナ」
俺とミーナを中心に、手が空いた技師たちと共にもう少しこの帝国のMGTの調査をする事にした。
もしかしたら、帝国は無人MGTの技術を確立している可能性もあるからな……。
◇◇◇◇◇◇◇◇
【Side ルキア】
「マギアクリスタルだって!?」
「それがあの違和感の正体なんだね、お兄ちゃん」
「ああ、しかもマギアクリスタルの周囲についていた管を介して動きを制御していたみたいだ」
ミーティングが終わり、出撃の命令が来るまで、割り当てられた自室で休もうとしていた所、丁度ザック軍曹がもう一人の女の子と一緒に来た。
その子の名前はミーナ・ファルルさんと言って、マイア王女率いる【魔法少女部隊】の整備班の一人である。
その二人から、ミーティングが終わる前に調査が終わったらしいので、報告に行こうとしていたようだ。
その内容にアルムが驚き、マイア王女は自分が感じた違和感の正体がそれだった事に納得したような顔をしていた。
私はというと、また知らない単語が出てきたので、それは何なのかを聞いてみる。
「マギアクリスタルって?」
「常に魔力を発し続ける特殊な鉱石なんですよ。 手に入れるなら魔族を倒さないとダメみたいですが」
「魔族の心臓のようなモノで、取り出した際にコクピットぐらいの大きさになるらしい」
「魔族の心臓……」
思った以上にマギアクリスタルという存在は、かなりヤバい代物だという事か。
常に魔力を発し続けているから、魔族も気兼ねなく強力な力を使えるというわけか。
そんな魔族の心臓でもあるそのマギアクリスタルを帝国が取り出して集めているとなると、かなり厄介なのかもしれない。
「つまり、帝国はマギアクリスタルを利用した無人機を作っていると?」
「そうだと思います、ルキアさん。 でも、試作にしては数が多いですし」
「帝国もそれだけ本気なのかも知れないのか」
「アルム大尉、艦長と王国の基地に残っている司令官には?」
「俺が報告しておくから報告書を貸してくれ。 他のみんなは出撃命令が下りるまでは休んでくれ。 ザックやミーナを含んだ整備班の面々もな」
「了解しました」
今回の帝国のMGTの件は、アルムがザック軍曹から渡された報告書と共に艦長室に行くようだ。
そこから国の司令官にも伝えて貰う予定なんだろう。
「じゃあ、私はここなので、先に一休みしてますね」
「分かりました、ルキアさん。 少しの間、おやすみなさい」
「ええ」
丁度自分が使う部屋に着いたので、他のメンバーとここで別れる。
(しかし、この戦艦は動いてるのに揺れないなぁ。 重力制御魔法でも使ってるのかしら?)
そう思いながら自室に入り、ひと眠りしておく。
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