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第1部 邂逅編
第1話 私が異世界に飛ばされた日
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私、ルキア・フィーブルは元は別の世界に住んでいた魔女だった。
元々、緑が豊かで住みやすい世界だったのが、突如現れた『破壊の魔神』によって無差別に破壊され、今は人々がほぼいなくなり、荒れ果てた大地が広がる黄昏の世界と化してしまった。
その魔神は、私を含めた魔女や人間をいくら集めても歯が立たない程の最悪な存在だったので、人類は成すすべもなかったのだ。
辛うじて私や他の魔女が生きているのみで、それもいつかは死にゆく……そんな状態だった。
「さて、今日の食料を調達しないと……」
私は今日も食料と水を調達するために、森へ向かっていた。
魔神が破壊の限りを尽くし、満足してこの世界を去ってからはや三年。
ほとんどの人間が居ない中、辛うじて森が少し残っているのみで、後は何もない。
かつて町や城が存在した場所はみな、瓦礫と化している。
(あの森の近くにいた私は運がいいのか悪いのか……)
心の中でそう嘆いた私は、目的の森の中に入ろうとしたその時だった。
「なっ!?」
突然私の足元に魔法陣が現れたのだ。
あまりの突然の事なので、私は反応が遅れたのだ。
「不味い、魔法陣から離れないと……!」
だが、時すでに遅し。
私の足元の魔法陣から眩い光が発生し、私を包み込む。
「逃げられな……あああぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」
何も出来ないままに光に包まれた私は、そのまま意識を手放してしまった。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「……んぅ」
意識を取り戻した私は、重い瞼をゆっくり開いた。
「ここ……は?」
そして、目覚めた先が王城のような建物の中だったことに私は驚きを隠せなかった。
確かに私の世界も王城や町はあったが、一部鉄のからくりみたいなものが動いたりしているため、どういう文明なのか分からない。
(まさか……?)
私はある可能性が頭を過った。
ここは私の知る世界ではないのでは……と。
「お、気が付いたかい?」
ノックの音が鳴り、そのまま入って来た男性が私に声を掛ける。
あれ? 普通に言語が分かる?
どういう事?
「君を保護する際に翻訳用の魔法を掛けさせてもらったんだ。 この王都に帰還した直後に突然『ゲート』が現れ、君が出てきたのだから」
(翻訳用の魔法……それでか)
いきなり言葉が通じた事に困惑したものの、男性から私を保護する際に翻訳の魔法を掛けたとの事。
どうやら、彼がここに帰還した直後に私が現れたらしい。
しかし、この世界には翻訳の魔法があるのか……。
私の世界にはなかったものだから、便利過ぎて羨ましい限りだ。
丁度いい。 私は頭が過ったある可能性の事を彼に伝えてみた。
「あの……やはりここは?」
「ああ、その通りだ。 ここは君からしたら異世界みたいなものだ」
やはりそうだった。
ここは異世界……。
あの魔法陣は、私を異世界に誘うゲートだったわけだ。
でも、何のために?
「君が何故、この世界に現れたかは分からない。 だが、この世界は今、戦争を続けている世界なんだ」
「戦争……」
まさかの衝撃の話に開いた口が塞がらない。
何とこの世界、戦争が続いているらしいのだ。
「君がよければ、この世界の情勢を話そうと思う。 ただ、君は目覚めたばかりで、体力も戻ってない。 後で話の機会を設ける事もできるが」
「今……お願いします」
どのみち、私にはいずれ聞かされる羽目になると思う。
だったら早い方がいいだろう。
私はそう決意して、彼にそう伝えた。
「分かった。 じゃあまずは戦争している相手の事とその理由を話そうか。 おっと、俺はアルム・クレストだ。君は?」
「ルキア……。 ルキア・フィーブルです」
「ルキアか。 よろしく頼む。 じゃあ早速だけど、ここは『ファシナシオン連合軍』という軍の中心国『ファシナシオン王国』だ。 俺はその連合軍の一部隊を率いている隊長みたいなものだ」
「連合軍……って事は?」
「そうさ。 他の国もこの連合軍の仲間みたいなものだ。 俺達は現在『オライオン帝国』との戦争状態になっているんだ」
「オライオン帝国?」
どうやら、この国とその仲間として動いてる国は、『オライオン帝国』という国との戦争状態にあるみたいだった。
元々、緑が豊かで住みやすい世界だったのが、突如現れた『破壊の魔神』によって無差別に破壊され、今は人々がほぼいなくなり、荒れ果てた大地が広がる黄昏の世界と化してしまった。
その魔神は、私を含めた魔女や人間をいくら集めても歯が立たない程の最悪な存在だったので、人類は成すすべもなかったのだ。
辛うじて私や他の魔女が生きているのみで、それもいつかは死にゆく……そんな状態だった。
「さて、今日の食料を調達しないと……」
私は今日も食料と水を調達するために、森へ向かっていた。
魔神が破壊の限りを尽くし、満足してこの世界を去ってからはや三年。
ほとんどの人間が居ない中、辛うじて森が少し残っているのみで、後は何もない。
かつて町や城が存在した場所はみな、瓦礫と化している。
(あの森の近くにいた私は運がいいのか悪いのか……)
心の中でそう嘆いた私は、目的の森の中に入ろうとしたその時だった。
「なっ!?」
突然私の足元に魔法陣が現れたのだ。
あまりの突然の事なので、私は反応が遅れたのだ。
「不味い、魔法陣から離れないと……!」
だが、時すでに遅し。
私の足元の魔法陣から眩い光が発生し、私を包み込む。
「逃げられな……あああぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」
何も出来ないままに光に包まれた私は、そのまま意識を手放してしまった。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「……んぅ」
意識を取り戻した私は、重い瞼をゆっくり開いた。
「ここ……は?」
そして、目覚めた先が王城のような建物の中だったことに私は驚きを隠せなかった。
確かに私の世界も王城や町はあったが、一部鉄のからくりみたいなものが動いたりしているため、どういう文明なのか分からない。
(まさか……?)
私はある可能性が頭を過った。
ここは私の知る世界ではないのでは……と。
「お、気が付いたかい?」
ノックの音が鳴り、そのまま入って来た男性が私に声を掛ける。
あれ? 普通に言語が分かる?
どういう事?
「君を保護する際に翻訳用の魔法を掛けさせてもらったんだ。 この王都に帰還した直後に突然『ゲート』が現れ、君が出てきたのだから」
(翻訳用の魔法……それでか)
いきなり言葉が通じた事に困惑したものの、男性から私を保護する際に翻訳の魔法を掛けたとの事。
どうやら、彼がここに帰還した直後に私が現れたらしい。
しかし、この世界には翻訳の魔法があるのか……。
私の世界にはなかったものだから、便利過ぎて羨ましい限りだ。
丁度いい。 私は頭が過ったある可能性の事を彼に伝えてみた。
「あの……やはりここは?」
「ああ、その通りだ。 ここは君からしたら異世界みたいなものだ」
やはりそうだった。
ここは異世界……。
あの魔法陣は、私を異世界に誘うゲートだったわけだ。
でも、何のために?
「君が何故、この世界に現れたかは分からない。 だが、この世界は今、戦争を続けている世界なんだ」
「戦争……」
まさかの衝撃の話に開いた口が塞がらない。
何とこの世界、戦争が続いているらしいのだ。
「君がよければ、この世界の情勢を話そうと思う。 ただ、君は目覚めたばかりで、体力も戻ってない。 後で話の機会を設ける事もできるが」
「今……お願いします」
どのみち、私にはいずれ聞かされる羽目になると思う。
だったら早い方がいいだろう。
私はそう決意して、彼にそう伝えた。
「分かった。 じゃあまずは戦争している相手の事とその理由を話そうか。 おっと、俺はアルム・クレストだ。君は?」
「ルキア……。 ルキア・フィーブルです」
「ルキアか。 よろしく頼む。 じゃあ早速だけど、ここは『ファシナシオン連合軍』という軍の中心国『ファシナシオン王国』だ。 俺はその連合軍の一部隊を率いている隊長みたいなものだ」
「連合軍……って事は?」
「そうさ。 他の国もこの連合軍の仲間みたいなものだ。 俺達は現在『オライオン帝国』との戦争状態になっているんだ」
「オライオン帝国?」
どうやら、この国とその仲間として動いてる国は、『オライオン帝国』という国との戦争状態にあるみたいだった。
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