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幕間~苦悩アイドルとゴシップ記者
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真人達が楠家に匿ってもらってから一週間。
七草祭も中止が通達、葉月中自体も学校開始を遅らせた。
いずれも長月中に転入してきたアイドルユニット『フェアリー・ライト』と共に現れたゴシップ記者達が原因だ。
そして、『フェアリー・ライト』が所属する事務所で一人頭を抱える少女がいた。
「私が……私がアイドルなんかになったから……」
「佳苗ちゃん……」
頭を抱えていた少女は、聖川 佳苗という。
彼女は、小学生時代はほとんど友達がいなかった。
というより、ある人物からいじめを受けていた為に、自分に構うとその人物にもいじめの魔の手が延びるため、友達をあえて作らなかった。
両親が学校に相談や抗議をしても取り合って貰えず、警察も民事不介入と言われ相手にしてもらえなかったので、転校を繰り返していた。
その最中に、両親は娘をアイドルオーディションをさせて合格。
アイドルとしてのデビューとなり、中学生になった直後にアイドルユニットの加入を事務所から勧められ、そこからブレイクした。
だが、同時にゴシップ記者の的にされた。
特に、佳苗がその被害に遭っており、マネージャーも警察に何度も相談したが、進展はないどころか、余計に悪化した。
SNSによる誹謗中傷があったり、脅迫状も届くようになり、家に帰る事事態が怖くなったのだ。
「佳苗ちゃん、大丈夫でしょうか……」
「彼女が一番ダメージが大きいな。 何せ、彼女の小学生時代のクラスメイトだった人物の家族にまでゴシップ記者の魔の手が伸びているんだから……」
一人の少女が佳苗の心配をし、マネージャーも辛い表情を見せながら彼女の身を案じていた。
「あの、マネージャー。 弁護士さんが来られました」
「あ、そうか。 社長から弁護士が来るって言ったんだった。 すぐに行くよ。 みんなは佳苗ちゃんを支えてやってくれ」
「はい!」
マネージャーが応対の為に部屋から出る。
佳苗と同じユニットに属する少女達がこの部屋に残されたのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「周辺には誰もいないな?」
「もちろんです」
一方で、聖川 佳苗の住むマンションに男二人が待ち構えていた。
手には針金。
おそらく、両親が不在の所を狙って佳苗の粗を探そうとしていたようだ。
「さて、彼女の粗を探して我々の記事にさせてもらおう」
「ああ、報道の自由だからな」
「はい、そこまで」
男二人が針金で鍵穴に差し込んだ所で、何者かが声を掛けてきた。
「誰だ!!」
「警察ですよ。 今、ピッキングしてましたよね。 住居侵入しようとしてましたね?」
「そもそもこのマンション、大家によって入り口にもロックが掛かってた筈なんですよ。 あんた達の不法侵入が大家の所の防犯カメラに写ってましたよ」
二人の警察が、二人の記者に圧力を掛ける。
だが、二人の記者はそんなのは知らんと言わんばかりに捲し立てる。
「そんなのは関係ない! 報道の自由を無視するつもりか!!」
「だからといって、他人のプライバシーを侵害していい訳じゃないんですよ。 ここでは近所迷惑になりますから、署で話しましょうか」
「い、嫌だ! 離せー!!」
こうして、二人の記者は警察に連れていかれた。
後の取り調べで二人が、ある筋から弁護士を通じて通報された『葛川新聞社』の記者だった事が判明するのであった……。
七草祭も中止が通達、葉月中自体も学校開始を遅らせた。
いずれも長月中に転入してきたアイドルユニット『フェアリー・ライト』と共に現れたゴシップ記者達が原因だ。
そして、『フェアリー・ライト』が所属する事務所で一人頭を抱える少女がいた。
「私が……私がアイドルなんかになったから……」
「佳苗ちゃん……」
頭を抱えていた少女は、聖川 佳苗という。
彼女は、小学生時代はほとんど友達がいなかった。
というより、ある人物からいじめを受けていた為に、自分に構うとその人物にもいじめの魔の手が延びるため、友達をあえて作らなかった。
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SNSによる誹謗中傷があったり、脅迫状も届くようになり、家に帰る事事態が怖くなったのだ。
「佳苗ちゃん、大丈夫でしょうか……」
「彼女が一番ダメージが大きいな。 何せ、彼女の小学生時代のクラスメイトだった人物の家族にまでゴシップ記者の魔の手が伸びているんだから……」
一人の少女が佳苗の心配をし、マネージャーも辛い表情を見せながら彼女の身を案じていた。
「あの、マネージャー。 弁護士さんが来られました」
「あ、そうか。 社長から弁護士が来るって言ったんだった。 すぐに行くよ。 みんなは佳苗ちゃんを支えてやってくれ」
「はい!」
マネージャーが応対の為に部屋から出る。
佳苗と同じユニットに属する少女達がこの部屋に残されたのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「周辺には誰もいないな?」
「もちろんです」
一方で、聖川 佳苗の住むマンションに男二人が待ち構えていた。
手には針金。
おそらく、両親が不在の所を狙って佳苗の粗を探そうとしていたようだ。
「さて、彼女の粗を探して我々の記事にさせてもらおう」
「ああ、報道の自由だからな」
「はい、そこまで」
男二人が針金で鍵穴に差し込んだ所で、何者かが声を掛けてきた。
「誰だ!!」
「警察ですよ。 今、ピッキングしてましたよね。 住居侵入しようとしてましたね?」
「そもそもこのマンション、大家によって入り口にもロックが掛かってた筈なんですよ。 あんた達の不法侵入が大家の所の防犯カメラに写ってましたよ」
二人の警察が、二人の記者に圧力を掛ける。
だが、二人の記者はそんなのは知らんと言わんばかりに捲し立てる。
「そんなのは関係ない! 報道の自由を無視するつもりか!!」
「だからといって、他人のプライバシーを侵害していい訳じゃないんですよ。 ここでは近所迷惑になりますから、署で話しましょうか」
「い、嫌だ! 離せー!!」
こうして、二人の記者は警察に連れていかれた。
後の取り調べで二人が、ある筋から弁護士を通じて通報された『葛川新聞社』の記者だった事が判明するのであった……。
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