上 下
72 / 102

座間葛葉、憎しみの末路

しおりを挟む
 俺と静香の家付近で待ち伏せしていたと思われる座間ざま 葛葉くずはは、発狂しながらナイフで俺を刺そうとしていた。
 だが、そのナイフは俺に届くことはなく……。

「させないよ!!」

「あつっ!」

 すかさず縁が手刃で座間の手首を叩き、ナイフを落とす。

「今だ!!」

「ぐっ!?」

「大人しくしろ!」

 その後、警視総監の号令で刑事さん達が座間を取り押さえる。
 座間が落としたナイフは、裕也が回収し警視総監に渡した。

「しかし、真人君をダイレクトに狙うなんてね。 それほど死んで欲しがったのかしら?」

「そうよ! 男という無能が産まれたことが憎かった! だから、あの時捨てて、そのまま死んでくれたら良かったのよ!」

「だが、俺はこうして生きてるぜ。 楠家という支えもあってな」

「楠が……、またしても楠が……」

 座間が憎しみをさらに募らせる。
 楠家にも憎しみを持っているあたり、奴は楠家に家族にも殺されたのか?

「あの楠が……、妹を退学に追い込ませ死なせたた楠が……また私を阻むのか……」

「そうなのか?」

 座間が言っている発言について裕也に聞いてみた。

「奴の妹もかなりのDQNだったらしくてな。当時の和人の両親が16歳の時だが、そいつの妹に多数のクラスメイトが被害にあったらしいぜ」

「二人はその人物の悪事の証拠を集め、教師や校長、そして当時の教育委員会にも提出して、明るみにさせたのよ」

 裕也が言うには、座間の妹も相当な奴だったようで、当時のおじさんとおばさんは奴の悪事の証拠を集めて、明るみにさせたらしい。

「んで、その悪事がどうしようもないレベルの代物だったらしくてな、協議の結果、取り巻きの奴らと共に退学にしたんだ」

「ああ、そいつもこの座間と同じだった訳か。 ならおじさんとおばさんの行動は正解だったんだな」

「おのれ……」

「逆恨みもいい加減にしなよ。 あんた、極刑は免れない事をしたんだから」

 相変わらずの憎しみを向ける座間に、縁は見下した様子で座間に言い放つ。

「さて、座間ざま 葛葉くずはを殺人ならびに傷害、銃刀法違反で逮捕する」

 警視総監がそう言うと、刑事さんの一人が、奴の腕に手錠を掛ける。
 再犯になったし、無差別殺人を犯したから極刑は免れない……そう思いたいが、別の奴らがうるさいんだよなぁ。

「あそこまでやったんだし、最早死刑相当じゃないかな?」

「また死刑反対派が騒ぎ立てるなぁ」

「そこは当主に相談かな? 弁護士を用意してくるみたいだし」

「慰謝料とか取れるかな?」

「奴に金があればの話だがな……」

 刑事さんが、座間を無理やり車に乗せた後、車を発進させた。
 小さくなる車を見届けると、ようやくか……という思いで一杯だった。

「お兄ちゃん、落ち着いたら柚希ちゃんと和人さんを呼ぼうよ」

「ああ、そうだな。 落ち着いたら呼ぼう」

 今までずっと黙って見ていた静香と共に俺は自宅へと入っていった。
 奴の呪縛はこれでようやく解けたのだ……。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

俺は先輩に恋人を寝取られ、心が壊れる寸前。でも……。二人が自分たちの間違いを後で思っても間に合わない。俺は美少女で素敵な同級生と幸せになる。

のんびりとゆっくり
恋愛
俺は島森海定(しまもりうみさだ)。高校一年生。 俺は先輩に恋人を寝取られた。 ラブラブな二人。 小学校六年生から続いた恋が終わり、俺は心が壊れていく。 そして、雪が激しさを増す中、公園のベンチに座り、このまま雪に埋もれてもいいという気持ちになっていると……。 前世の記憶が俺の中に流れ込んできた。 前世でも俺は先輩に恋人を寝取られ、心が壊れる寸前になっていた。 その後、少しずつ立ち直っていき、高校二年生を迎える。 春の始業式の日、俺は素敵な女性に出会った。 俺は彼女のことが好きになる。 しかし、彼女とはつり合わないのでは、という意識が強く、想いを伝えることはできない。 つらくて苦しくて悲しい気持ちが俺の心の中であふれていく。 今世ではこのようなことは繰り返したくない。 今世に意識が戻ってくると、俺は強くそう思った。 既に前世と同じように、恋人を先輩に寝取られてしまっている。 しかし、その後は、前世とは違う人生にしていきたい。 俺はこれからの人生を幸せな人生にするべく、自分磨きを一生懸命行い始めた。 一方で、俺を寝取った先輩と、その相手で俺の恋人だった女性の仲は、少しずつ壊れていく。そして、今世での高校二年生の春の始業式の日、俺は今世でも素敵な女性に出会った。 その女性が好きになった俺は、想いを伝えて恋人どうしになり。結婚して幸せになりたい。 俺の新しい人生が始まろうとしている。 この作品は、「カクヨム」様でも投稿を行っております。 「カクヨム」様では。「俺は先輩に恋人を寝取られて心が壊れる寸前になる。でもその後、素敵な女性と同じクラスになった。間違っていたと、寝取った先輩とその相手が思っても間に合わない。俺は美少女で素敵な同級生と幸せになっていく。」という題名で投稿を行っております。

【実話】高1の夏休み、海の家のアルバイトはイケメンパラダイスでした☆

Rua*°
恋愛
高校1年の夏休みに、友達の彼氏の紹介で、海の家でアルバイトをすることになった筆者の実話体験談を、当時の日記を見返しながら事細かに綴っています。 高校生活では、『特別進学コースの選抜クラス』で、毎日勉強の日々で、クラスにイケメンもひとりもいない状態。ハイスペックイケメン好きの私は、これではモチベーションを保てなかった。 つまらなすぎる毎日から脱却を図り、部活動ではバスケ部マネージャーになってみたが、意地悪な先輩と反りが合わず、夏休み前に退部することに。 夏休みこそは、楽しく、イケメンに囲まれた、充実した高校生ライフを送ろう!そう誓った筆者は、海の家でバイトをする事に。 そこには女子は私1人。逆ハーレム状態。高校のミスターコンテスト優勝者のイケメンくんや、サーフ雑誌に載ってるイケメンくん、中学時代の憧れの男子と過ごしたひと夏の思い出を綴ります…。 バスケ部時代のお話はコチラ⬇ ◇【実話】高1バスケ部マネ時代、個性的イケメンキャプテンにストーキングされたり集団で囲まれたり色々あったけどやっぱり退部を選択しました◇

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。

スタジオ.T
青春
 幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。  そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。    ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。

My Doctor

west forest
恋愛
#病気#医者#喘息#心臓病#高校生 病気系ですので、苦手な方は引き返してください。 初めて書くので読みにくい部分、誤字脱字等あると思いますが、ささやかな目で見ていただけると嬉しいです! 主人公:篠崎 奈々 (しのざき なな) 妹:篠崎 夏愛(しのざき なつめ) 医者:斎藤 拓海 (さいとう たくみ)

処理中です...