上 下
14 / 102

和人から聞かされた事実

しおりを挟む
「そうか、柚希から聞いたか。 まぁ、柚希にも知る必要があるから伝えたがな」

「でも、あの子はそれでも支えたいと言ってくれたからな。 俺としてはありがたいよ」

 柚希ちゃんとのデートが終わって三日後、俺の家に来た和人とその時に知ったあの件について話をするところだった。
 あの嘘告白系の件は、柚希ちゃんが伝えてくれたが、和人にも確認を取っておきたいので向こうから来てくれて丁度良かった。

「それで、確認するがあのクソ母娘が関わってるんだな?」

「そうだ。 お前の生存が気にくわなかったらしいから、弱みを握ったあるスタッフの娘を使って心を削ったんだろうな」

「弱み?」

 弱みを握ったという言葉に何故か引っかかりを感じたので、聞き返した。

「何でも、あのクソ母娘に借金をしていたらしい」

「マジか…。 まぁ、あの時の件でものらりくらりと躱して何事もなかったようにする奴らだからな」

 振られた相手の親が、あのクソ母娘から借金をしていたという事実に何とも言えない感じがした。 だが、あの母娘ならやりかねない。

「聞けば聞くほど、あいつらの狡猾さが浮かび上がるな…。 だから平気でアイドルなんかも出来るわけか」

「それだけじゃないぞ」

「どういう事だ?」

 和人からあの母娘の件を色々と聞いたが、それだけじゃないというらしく、どういう事なんだろうと再び聞き返す。

「お前とあの姉…実は血が繋がってないんだよ」

「…は!?」

 まさかの事実に開いた口が塞がらない。 俺とあの姉とは血が繋がってない? どういう事なんだ?

「元々あの母親は色々あってな、それを矯正させるために拒否権なしのお見合いで結婚したようだ」

「拒否権なしか…。 いつの時代だよ」

「俺もそう思ったさ。 そうしないといけない問題があったのは確かだ」

 お見合い結婚で俺を産んだとか、問題ありまくりだな。 父さんも当時は家のしたきりとかで苦労したんだろうな。

「しかもだ。 お前の元母は、女の子が欲しかったようでな。 男だったら中絶しようとしていたらしい。 二つの親族から止められたが」

「おいおい…」

 どう考えても元母の考えがおかしく感じる。

「お前を産んだ後、育児を父に丸投げして、自分は養女を求めて施設に行き来していたそうだ」

 そこまで俺を嫌っていたのか…。 最悪だな、元母は。
 
「それでようやく手にした義理の娘を可愛がったそうだ。 別のマンションを購入して隣に事務所を作る位にな」

 そして、俺を捨てた…と。
 そこで死んでたら完璧だったんだろうが、俺はこうして生きているから気にくわないとか…なんて奴らだ。

「とにかく、今後はお前を直接狙ってくる可能性が強い。 親父が色々と根回ししてお前を守るようにするからそこは安心して欲しい」

「分かった。 あいつらを社会的に駆逐できればいい。 頼むよ」

「ああ…!」

 俺は和人に改めて狡猾な奴らをどうにかするように頼んだ。
 今、俺が出来ることは限られる。 こういう時は人に頼るしかないからな。 強いて言えば、何事もないように振舞って普通に生活する事くらいだ。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

【実話】高1の夏休み、海の家のアルバイトはイケメンパラダイスでした☆

Rua*°
恋愛
高校1年の夏休みに、友達の彼氏の紹介で、海の家でアルバイトをすることになった筆者の実話体験談を、当時の日記を見返しながら事細かに綴っています。 高校生活では、『特別進学コースの選抜クラス』で、毎日勉強の日々で、クラスにイケメンもひとりもいない状態。ハイスペックイケメン好きの私は、これではモチベーションを保てなかった。 つまらなすぎる毎日から脱却を図り、部活動ではバスケ部マネージャーになってみたが、意地悪な先輩と反りが合わず、夏休み前に退部することに。 夏休みこそは、楽しく、イケメンに囲まれた、充実した高校生ライフを送ろう!そう誓った筆者は、海の家でバイトをする事に。 そこには女子は私1人。逆ハーレム状態。高校のミスターコンテスト優勝者のイケメンくんや、サーフ雑誌に載ってるイケメンくん、中学時代の憧れの男子と過ごしたひと夏の思い出を綴ります…。 バスケ部時代のお話はコチラ⬇ ◇【実話】高1バスケ部マネ時代、個性的イケメンキャプテンにストーキングされたり集団で囲まれたり色々あったけどやっぱり退部を選択しました◇

俺は先輩に恋人を寝取られ、心が壊れる寸前。でも……。二人が自分たちの間違いを後で思っても間に合わない。俺は美少女で素敵な同級生と幸せになる。

のんびりとゆっくり
恋愛
俺は島森海定(しまもりうみさだ)。高校一年生。 俺は先輩に恋人を寝取られた。 ラブラブな二人。 小学校六年生から続いた恋が終わり、俺は心が壊れていく。 そして、雪が激しさを増す中、公園のベンチに座り、このまま雪に埋もれてもいいという気持ちになっていると……。 前世の記憶が俺の中に流れ込んできた。 前世でも俺は先輩に恋人を寝取られ、心が壊れる寸前になっていた。 その後、少しずつ立ち直っていき、高校二年生を迎える。 春の始業式の日、俺は素敵な女性に出会った。 俺は彼女のことが好きになる。 しかし、彼女とはつり合わないのでは、という意識が強く、想いを伝えることはできない。 つらくて苦しくて悲しい気持ちが俺の心の中であふれていく。 今世ではこのようなことは繰り返したくない。 今世に意識が戻ってくると、俺は強くそう思った。 既に前世と同じように、恋人を先輩に寝取られてしまっている。 しかし、その後は、前世とは違う人生にしていきたい。 俺はこれからの人生を幸せな人生にするべく、自分磨きを一生懸命行い始めた。 一方で、俺を寝取った先輩と、その相手で俺の恋人だった女性の仲は、少しずつ壊れていく。そして、今世での高校二年生の春の始業式の日、俺は今世でも素敵な女性に出会った。 その女性が好きになった俺は、想いを伝えて恋人どうしになり。結婚して幸せになりたい。 俺の新しい人生が始まろうとしている。 この作品は、「カクヨム」様でも投稿を行っております。 「カクヨム」様では。「俺は先輩に恋人を寝取られて心が壊れる寸前になる。でもその後、素敵な女性と同じクラスになった。間違っていたと、寝取った先輩とその相手が思っても間に合わない。俺は美少女で素敵な同級生と幸せになっていく。」という題名で投稿を行っております。

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

My Doctor

west forest
恋愛
#病気#医者#喘息#心臓病#高校生 病気系ですので、苦手な方は引き返してください。 初めて書くので読みにくい部分、誤字脱字等あると思いますが、ささやかな目で見ていただけると嬉しいです! 主人公:篠崎 奈々 (しのざき なな) 妹:篠崎 夏愛(しのざき なつめ) 医者:斎藤 拓海 (さいとう たくみ)

[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件

森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。 学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。 そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……

処理中です...