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1章

それから

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 それから。
 クレディのファイアランスを見て駆け付けてきた応援のパーティーとも合流し、呪印も無事聖女様が処理をした。
 強化された魔物も見つけたものは狩り終え、いずれ強化されていない魔物だけになるだろう。

「それで、ケルヴィンをなんで詰め所送りまでしたの、あんな下手な挑発まで打って」

 そして今、街でクレディの問い詰めに必死に答えているところである。
 未来の俺に任せる、つまりノープラン。何も考えてないし、そのままのことを聞かれるまま答えるしかなかった。
 そのクレディからは、とりあえず割り切ったけど納得はしていない、という感情があふれ出ていた。

「時間がなかった、ほら、朝に決着をつけたかったのに、あれ以上時間を食われても困るから」

「それならなんで妥協して連れていく判断ができないのよ」

「マルコがいないのにケルヴィンだけ連れて行ったらいつ暴行されるかわかったもんじゃあないだろ!」

 だんだんとヒートアップしていく会話。
 結局、その日の晩まで二人はひたすらに、あの時、あの時と話し続けていた。




「――――はい、無事に」

 場所は変わって治療院。聖女様は、自室にある通信機を使い、連絡を取っていた。
 その相手は――――

「――――教皇様」

 七神教、その教皇だった。

「――――討伐作戦は成功。今後はそちらの勢力拡大も見込めるだろう。良く働いた。何か、褒美をやろう」

 通信機越しに、上機嫌なのが伝わってきた。
 それほどに、今回の件の宗教的意味は大きかった。

 まず、単純な名前を知られるというもの。
 国の危機を救った七神教、という名前を広められるのだ。

 そして被害なく解決した、ということ。
 つまりそれは、力のあまり回ってこなかったところでも、それだけの実力を持つ人がいるということ。

「褒美はいりません。ですが、一人聖者認定してほしい方がいますので、そちらの申請を」

「――――ほう、実力のほうは」

「私以上です」

 その瞬間、ガタゴト、と物音が聞こえる。
 だが、すぐに音は止んで、少し息切れした教皇様の声が聞こえてくる。

「――――すぐに申請しておこう。それでは、今後の活躍を期待している」

「ありがとうございます。七神様のご加護があらんことを」

「七神様のご加護があらんことを」

 定型文で、通信は終了した。
 ふぅ、とため息をつき、聖女様はベッドに転がり込む。

「これで、少しは落ち着きそうです......」

 その声は霧に溶けていくように消えていった。
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