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134・ゲーセンダンジョン・六店目! 王都へ行こう03
しおりを挟む「急にすまないな。
まさか騎士団長が出てくるとは
思わなかったぞ」
「いえ!
マリアお姉さま直々のお手紙を持って
いらっしゃったのです!
最高責任者の自分が出迎えるのは
当然の事……!」
何というか、ハーレイドッグ子爵夫人の
マリア様―――
女性騎士団の中では神格化されているっぽいな。
ルランさんがララベルさん、メグさん、
リミットさんに一通りあいさつすると、
「それで、こちらの方々は……
青年の方は確か、ハーレイドッグ子爵家
お抱えの治癒師の方でしたよね?」
ようやく俺とリナ、ミュランさんの方を向く。
「ああ、治癒師のミュランに―――
少年の方はヒロト殿、そして隣りの少女は
その奥方のリナ殿だ」
メグさんの言葉に、ルランさんはやや表情を
固くする。
「ずいぶんとお若いご夫婦ですね……
うらやま、いえ、それで今回来たご用件は
彼らにも関係が?」
現女性騎士団長の質問に、メグさんと
リミットさんが、
「まあそうですけど。
だけど百聞は一見に如かず、ですよぉ」
「……取り敢えずヒロト殿。
作成を要請する」
俺はその言葉に室内をキョロキョロと見回すが、
「ああ、何をしようとしているのかは
知らないが、ここは関係者以外入っては
来れない場所だ。
どのような事でも外に漏れる心配は無い。
安心してくれ」
「そうですか、では―――」
俺はルランさんの言葉にうなずき、部屋の
一角にエレベーターを出現させた。
「何ですかコレ!?
何なんですかコレ!?」
地下に取り敢えずダンジョンとして
〇FOキャッチャーフロアを作成。
そこに休憩エリアを隣接させ、さらに会議室と
管理者部屋を設置した後、
『コンビニ』『大浴場』『ドラッグストア』を、
元女性騎士団メンバーの要望に従い追加する。
「そういえば『上』は大丈夫かい?」
ララベルさんが驚きまくっているルランさんに
たずねると、
「は、ははい。
自分からの呼びかけが無ければ、誰も
入るなと伝えておりますゆえ」
その答えにメグさんとリミットさんが
顔を見合わせ、
「じゃあお風呂に浸かりながら詳細を話すと
しましょー」
「ん、同意」
俺は妻の方を見て、
「じゃあリナも一緒に入って来たら?
俺はミュランさんとでも―――」
すると彼女は俺の片腕をガッチリと
ホールドし、
「何言っているんですか?
お兄ちゃんが当事者でしょ?
当然、一緒に入りますよ」
「いやでも俺はミュランさんと男湯の方に……
ってアレ?」
ふと振り返ると彼の姿はどこにも無く、
「あの治癒師なら、吸い寄せられるように
『どらっぐすとあ』へ入っていったぞ。
何でも、聖女様への手土産を選ぶとか
言って」
「んっふっふ。
とゆーわけで……」
「不可避」
そして俺はなぜか連行されるようにして、
そのまま女湯の方へ連れ込まれた。
「なるほど。
カミュ王女様の仕業でしたか。
王女様の話はこちらにも入っておりますので、
別段、驚きもしませんけどね」
湯舟に浸かりながら、俺とリナ、そして
新旧の女性騎士団メンバーは話し合う。
ただそれはなぜか、俺の顔や腕、背中、
髪などを触りながら進行する。
「いや~キレイなお体ですねぇ」
「この髪質、うらやましい」
「水滴を弾く肌……
これが若さ……!」
そしてそれをなぜかリナが、満足気な表情で
見守る。
「そ、それで―――
王宮にいる勇者たちは無事なんでしょうか」
俺からも情報交換のために問いかけると、
「それがちょっと面白い事になっている
みたいなんですよ。
『裏』の連中の話なのですが……
カミュ王女様、どうも男勇者の一人に
ホの字のようでしてね」
ルランさんの言葉に、俺以外の女性陣の目が
妖しく光り輝き、
「ほぉ?」
「それはそれは……」
「詳細を求む」
いつの間にかリナも鼻息荒く俺の隣りに来て、
「ぜひとも!」
そしてカミュ王女の恋の噂話で、
彼女たちは盛り上がった。
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