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71・みんなでお食事
しおりを挟む「だーっ! ここで雷ー!?」
「やったー! 1位になった!」
「ああ~、せっかく使わず持っていた
アイテムがぁ~!」
地下四階―――
『体感レーシング・シューティング系』にて、
ロイ様と女子組がとあるカートゲームで
バトルを繰り広げていた。
「次が終わったらお昼だから戻りなさーい!
あとロイ様、病み上がりなんですから、
ほどほどにお願いします」
フロア全体から、「「「はーい」」」という
声が戻ってきて……
ちょうどそこで、エレベーターから出てきた
リナが、
「ヒロトお兄ちゃん。
上の階の『体感スポーツ系』にいた、
マリア様と子供たちは先に地下1階へと
戻りました」
「ありがとう。
そういえば、どんなゲームやってた?」
「マリア様はふいっしんぐ? とかいうのを
やってました。
魔道具で大きなお魚を捕まえるやつで―――
他の男の子たちは、ヒモで繋がれた犬と
一緒に走るのとか、ボールになる動物を
転がしていくのとか……」
釣りゲーやっているのか、マリア様。
意外と渋いな。
子供たちは子供たちで、やっぱり体を
動かす系のヤツが好きなんだろう。
「なるほど。
ところで、アマンダさんは見た?」
「え?
そういえば見ていませんね。
地下1階の休憩エリアと、3階の
『体感レーシング・シューティング系』でも
見なかったような―――」
リナは首を傾げながら、知っている事を報告する。
まさか、まだ〇FOキャチャーフロアにハマって
いるんじゃ……
今は基本どの台もフリープレイ―――
無料で出来るし、日本の金を流通させるわけには
いかないのと、メダルか何かで代用するにしろ
手間がかかるので……
実際にお金を入れて、というのは考えていない
のだが。
何か手を打たないといけないかもなあ。
「わかった。
多分、地下1階のダンジョン側にいると
思うから……
俺が回収、もとい見つけて戻るよ。
悪いんだけど、リナはこの階にいるロイ様と
他の子たちを引率して戻ってくれないか」
「任せておいて、あなた♪」
すっかり妻というか奥さんというポジが
定着しているなあ。
当人がそれで幸せならいいんだけど。
まあ俺も手を出した以上は、最後まで責任取る
つもりではあるけど―――
そんな事を考えながら俺は、エレベーターへと
乗り込んだ。
「……練習や理解するために操作してくださるのは
有難いのですが、ほどほどに」
「うぅ、面目ない」
案の定、地下一階のキャッチャーフロアにいた
アマンダさんを見つけ、俺はそのまま連行。
そして昼食の時間になり、俺とリナはロビーで
子供たちと食事をする事になったのだが、
「はいグレン君、あーん」
「あーん」
と、マリア様が子供たちに料理を食べさせ、
「ロイ様ー、あーん」
「ロイ様、これもー」
と、女の子たちがハーレイドッグ子爵家の
ご子息の口に食事を運ぶ。
「あの、いいんでしょうか。
身分とかその、いろいろと」
俺が困惑していると、ブロンドの長髪を持つ
奥方が、
「あら……だって私たちも、ヒロト殿の眷属に
なったんですよね?
それなら眷属みんなで食事をしても、
問題無いのでは?」
次いでダークパープルのミドルショートをした
護衛騎士の女性も、女の子を一人膝の上に
乗せながら、
「うむ。それに自分たちは秘密を共有した、
いわば運命共同体。
むしろより関係を密にするためにも、こうした
交流は必要であろう」
言っている事は正論とは思うのだが……
何か言いくるめられている気がしないでもない。
まあ仲悪いよりはマシだろう。
そんな事を考えながら、俺も料理を腹に
入れ始めた。
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